第166回国会 衆議院 厚生労働委員会   2007年05月11日

○櫻田委員長 次に、内山晃君。
○内山委員 民主党の内山晃でございます。
 今、多くの国民が将来不安を抱いています。特にその将来不安の中でも老後の不安、その老後の不安のやはり最大の原因というのが年金不信、年金不安であります。今回、五千万件もの宙に浮いた年金記録の件も、やはりさらに年金不信に拍車をかけることだろうと思います。
 柳澤大臣、お疲れのところ、もうしばらくおつき合いをいただきたいと思いますが、質問通告の順番を変えまして、五千万件の年金記録のところからお尋ねをさせていただきたい、こう思っております。
 まず、大臣、この五千万件の原因をどのように把握されておられますでしょうか。それをお答えいただけますか。
○柳澤国務大臣 年金記録の問題につきましては、御承知のとおり、平成九年に基礎年金番号を皆さんに付番するということをいたしたわけでございますが、そういう中から、実は、その付番の結果、すぐに統合できたという他の年金手帳の記号番号もあったわけでございますけれども、なかなかすぐに基礎年金番号と統合できない、そういうものとして、厚生年金、国民年金合わせて五千万の未統合の年金手帳記号番号のものが残った、こういうことでございます。
 それは中身はどうかということはるる御説明しておりますので、もう委員も御案内のとおりでございますけれども、この付番の前に亡くなられた方であるとか、さらには、そのときまでに支給要件を満足させないで保険料の納付等が終わってしまった、こういうような方々もいらっしゃいますし、さらにまた、現在、将来において一定の年齢等に達する等の要件を満たす事態になれば年金受給が行われる見込みの方々のものもある、こういうように分類できようかと思うわけでございます。
 したがって、私どもとしては、一番最後に申し上げました、今後において受給権が発生するような方々については、今後いろいろな機会をとらえて当方からも働きかけをさせていただきまして、その資料等で他の年金手帳の記号番号をお持ちの方はできるだけ申し出ていただいて、私どもの資料と突合することによってその統合を図ってまいりたい、そして、五千万件でそうした統合ができるものを、とにかく一〇〇%統合ができるように努めていかなければならない、このように考えているということでございます。
    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕
○内山委員 私は、なぜこの五千万件の記録が宙に浮いているのか、その原因をどのように大臣が把握されているかというところでお尋ねを実はしたかったわけであります。
 これは私の聞き及んでいるところでいきますと、やはり昭和の五十五年というところに、紙ベースから、大量のキーパンチャーを雇いましてデータを入力した、その際に、本来紙ベースには名前の振り仮名が振ってありませんでしたので、担当者がそれぞれの読み方で振り仮名を入力してしまった。
 年金の記録というのは、氏名と生年月日で検索をされるということになりますと、間違って振り仮名が振られておりますと当然出てこない。こういうやはり入力のヒューマンエラーといいますか、これが最大の原因だろう、私はそう思っているんですが、大臣はいかがでしょうか。
    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕
○青柳政府参考人 ただいま委員から、五千万件が生じた原因について、一つの事例をお挙げになりまして、そういったことがあったのではないかという御指摘があったところでございます。
 正直申し上げまして、私どもも、五千万件の記録につきましては、さまざまな原因が、さまざまな入力に至る過程のところで生じたのであろうということは容易に推測ができるわけでございますが、個別具体に、ではこの案件についてはどうだというようなことになりますと、なかなかこれを確定することは今となっては難しくなっておりますので、午前中から大臣からも何度も申し上げましたように、一つ一つの記録を丁寧に照合することによって統合に結びつけていきたいというふうに考えている次第でございます。
○内山委員 私が何を申し上げたいのかといいますと、発生する原因をつかんでいなければ対処ができないということです。
 やはり間違いというところには、いろいろ、御本人が偽名を使って資格を取得するケースがあるでしょう、生年月日を就職難のときに若くサバを読む方もいらっしゃるかもしれない、さらには事業所で資格取得届に転記をするときに記入間違いをするかもしれない。そして、先ほど申し上げましたとおり、社会保険事務所の方でデータ入力の際に間違った読みを、これは故意にというわけではありませんけれども、入れてしまう。例えば安倍総理、これを音とか訓とかというような読み方を変えまして、ヤスベというようなところで入れますと、これは絶対出てこないわけですね。やはりこういう入力ミスの部分が大半あると、私は当時お勤めであった方からも話は聞いています。入力が九九%ということでは、これはだめでありまして、一〇〇%じゃなければだめなんですよね。九九%の確率で入れた、でも、残り一%ではやはり物すごい間違いの量になってしまいます。
 だから、ここを、どこに間違った原因があるのかというところをまずきちっと把握をしていただいて、それを直すにはどうしたらいいのかということを、まず原因をつかんだらその原因を解決するために対策を打つべきだろう、こう思うわけでありまして、今どのようなシステムになっているかわかりませんけれども、いろいろデータをとるとかといいますと、やはりそれぞれプログラムを組む、それがレガシーシステムですから、一本データをとるにしても一億円単位の大変膨大な費用がかかるということは聞き及んでおります。
 例えば、振り仮名で検索ができないのであれば、漢字で名寄せをするようなことはできないのだろうかとか、こういう、今できる範囲で最大限の処理をすべきであろう、こう思うわけでありまして、何もお金をかけてやらなくても、今できることがあるんじゃなかろうか、こう思うんですけれども、その辺、現状で対応できる部分というのは、お考えになられる部分はないでしょうか。
○青柳政府参考人 具体的な検索の仕方について何かアイデアはないかというお尋ねがございました。
 まず、これはちょっとケースが違うぞというふうに最初におっしゃられるかもしれませんが、最後までちょっとお聞きいただきたいと思うんですが、似たようなケースで出てまいりますのが、旧姓で入力をされているものが、結婚によってお名前が変わって、それがもとのままになっているために変わらない、こういうものをどうするかというようなケースもございます。これは御本人が、ただ、自分は旧姓はこういうのだったので、それで検索をしてみてくれないかということで御照会いただければ、比較的容易にその旧姓を調べることはできるということだろうと思います。
 また、漢字の読み間違いということではないかと思われるような可能性がある場合には、ほかに読み方がないかということで、その名前を、例えば先ほどの例で申し上げれば、安倍さんをヤスベさんというふうに入力をして、これで検索をして探してみるということも、先ほどの旧姓の場合よりは若干時間もかかるかもしれませんが、十分に可能でございます。
 そういう意味では、私どもはやはり御相談に来ていただいた方のお立場に立って、いろいろな可能性というものを考えて必要な検索をするということで取り組ませていただきたいと考えております。
○内山委員 私も議員になる以前は、社会保険労務士として約五、六千人の年金相談に携わりました。
 昔から、記録は正確に出てこないというのはもう周知の事実でありまして、働いたんだけれども記録がないという方の相談を受けた場合には、年金加入期間確認通知書というものを書きます。何通りもの読みを書きまして、送ると、中にヒットするわけですね。どこかで間違いが入っているということなんですよ。それから、国民年金の納付記録なんかも、結婚して転居するなんということになりますと、転居先では氏名が変わってしまっておりますので、二重に番号があるなんというケースも過去にありましたね。
 やはり、年金受給をするときに、しっかりと加入歴とそれから職歴を丁寧に対応しなければ、これはつぶせないんですよね。でも、実際、今社会保険事務所の窓口でどのような処理をされているのかといったら、ほとんどの一般の方が年金制度には詳しくありませんから、通り一遍の裁定請求書を書いてそのまま出してしまう。窓口でも何ら精査をすることなく受け付けてしまう。そこに加入期間漏れというのが当然発生してくるということになるわけでありまして、ここはやはりもう少し、社会保険事務所の窓口の年金相談の担当者が知識をしっかり持って、受給者のために親切丁寧に対応すべきだろうと思うんです。
 青柳運営部長にはいつも、社会保険労務士が年金の裁定請求書に余りかかわっていない、こういうことを二度三度答弁をもらっていますけれども、それは明らかに間違っていまして、私ども、年金の記録がないという人を、社会保険事務所に行っても調べられない人を、相談を受けて、調べ上げて、きちっとした書類をつくって提出する、これはやはり相当貢献をしているんですよ。ですから、提出者代行印欄をつくるべきなんですよ。これはもうきょうのテーマとは違いますけれども、ぜひぜひこの五千万件をつぶすためにもやっていただきたい、こうお願いをする次第であります。
 大臣、五月の八日の本会議場の席で、大臣の発言ですけれども、「基礎年金番号に統合されていない五千万件の記録の中には、基礎年金番号導入前にお亡くなりになった方や受給要件を満たさなかった方、さらには今後において年金の受給資格を取得される方に係るものが含まれていると考えられます。五千万件の中に含まれるこれらそれぞれの内訳件数については、これを把握しておりません。」と答弁をされております。
 内訳を把握されていないで、亡くなった方とか受給資格を満たさなかったとかこれからと、どうして判断ができるのかと非常に疑問に思っていましたのですが、それをお尋ねしたいんですけれども、大臣にお尋ねをしたいと思います。
○柳澤国務大臣 お答え申し上げます。
 私どもは、この五千万件の、要するにほかの年金手帳の記号番号を持っている者について、どうしてこの年金手帳の方々が基礎年金番号に統合できないのだろうかということを考えて、そして定性的に言えばこういうことになるというふうに考えまして、それを御説明として申し上げたということでございます。
○内山委員 でも、それは余りにもいいかげんな根拠ですよね。根拠のないところで、把握していなくて、何人死んでいるのか、何人受給資格に結びつくのかと、これはやはり事の重大さを大臣は把握されていないんじゃないかなと強く感じるわけであります。
 年金というのは第二の給与と言われています。国民にとってみれば大変なことなんですよ。一カ月でも違えばずっと将来にわたる年金が少なくなるわけでありますから、ここはきちっと、この五千万件の記録、できる限りやはり国が調査をすべきだと、午前中長妻議員からも強く要望があったと思いますけれども、私からも強く要望を申し上げたいと思います。
 年金の知識を詳しく持った国民の方というのは非常に少ないです。そういう人たちを救うためには、文書を送ったなんということでは全く救済できません。一つ一つ、とにかく、あなたの年金が間違っているかどうか、国の方が、もらい忘れがありますよというぐらいのことを親切丁寧に教えてやらなきゃならない。だから、できる限り名寄せをするとか、類字で読めるような名前があるんだったら、例えば漢字で名寄せをするとか、いろいろ技術的なものが、考えられるものはあろうかと思いますよ。ぜひそれはやっていただきたいと思います。
 大臣の答弁に、もう一つ続きで、領収書等の納付した資料がない場合でも、「保険料納付に関する具体的な状況から納付があったことが確実と考えられる場合には、記録の訂正を行うこともあり得る」、こう大臣は答弁されていますけれども、具体的にはどういうことを指しておりますでしょうか。
○柳澤国務大臣 まず、内山委員には大変失礼なんですけれども、私は先ほど定性的に三つのことがあり得ると考えるということを御説明申し上げたんですけれども、私ども、この五千万件をそれぞれ三つに分類して、それが幾ら、それが幾ら、これが幾ら、合計五千万件ですという形ではお示しできないということを申し上げているわけでありまして、もう既にこの統合が途中でできている方、それから亡くなっていらっしゃるというような方とかいうものは、もちろん一部は把握しているわけでございます。そういう意味で、それが合計して五千万件で、すべて分類できるということでないものですから、そういうことを申し上げているということでございます。
 それから、領収書そのものがずばりなくても、かなりの確度でもってそこは納付が行われたということが推測される場合には、これを訂正させていただくということがあり得るという姿勢で臨んでいますということを申し上げたんですが、これは実例もございまして、ある期間は抜けているんですけれども、両方で、ちゃんとした納付が行われている、ここはどこどこに行ったとかというような、勤務先がこうですというようなことで、我々が推測できるというようなケースについてそうしたことも行わせていただいたということで、それを念頭に置きまして、先ほど申したような表現で申し上げた、こういう次第でございます。
○内山委員 ただいまのことで少し掘り下げて、具体的にお尋ねをしたいんですが、両方ということは、被保険者とそれから役所ということでしょうか。
 そして、厚生年金の期間にすれば、同じような期間が明示された、そして突合した段階で、これは間違いないだろう、こういうことなんでしょうか。どうでしょうか。
○青柳政府参考人 ただいまの大臣の御説明を補足いたします前に、具体的に記録訂正に至った事例ということに即して、既に五十五件の事例は、社会保険庁、市町村の資料には納付記録が記載されていないけれども客観的な証拠で直したものというのを御紹介しているわけでございますが、そのうち記録訂正に至った被保険者が所持していた資料としては、例えば年金手帳、これには、委員御存じのように、昔は印紙を張って検印をしておりましたので、それが残っておったものが例えば二十八件あったとか、それから領収書というのは二十九件であるとか、領収済み証明書という形で証明されたものは四件あった、これはまず具体的な例としてお示しができるものでございます。
 それから、ただいま大臣がおっしゃいました事例というのは、例えば長期にわたって保険料を納付しているという記録が、これは例えばオンラインの場合もあるでしょうし領収書の場合もあると思うんですが、途中に何か記録が抜けているような期間がたまたまあった、その期間については、直接のものはないけれども、その方が例えば銀行口座でそれを引き落としているというような、その時期に相当の金額のものの記録があったりすれば、複数のいわば材料の中から、総合的、客観的にそこでの納付が行われたと推測するのが適当じゃないかと思われるような事例もあるということを今御紹介したわけでございますので、何か一つの基準で、この場合にはオーケーだというものがあるというよりは、そういう複数のものを丁寧に突き合わせることによって判断できる事例があるというふうに御理解賜りたいと存じます。
○内山委員 今の青柳さんの説明では、それは領収書がない人がほとんどなわけですから、救済されないじゃないですか。そういう人たちを救済すると大臣はおっしゃったんじゃないんですか。
 納付した資料がない場合でも、保険料納付に関する具体的な状況から納付があったことが確実と考えられる、ですから、被保険者側の方から何らかのアクションとして提案できるものがなくても、何か役所の方からやっていただけるものがあるのかと私は判断したんですが、そうじゃないんですか。もう一回。
○青柳政府参考人 繰り返しになりますが、一方的に役所の側から何か御提示をするというのではなくて、あくまでも被保険者の方、受給権者の方がいろいろお示しをいただいている材料の中からそういうことで総合的に判断できるケースがあるというふうに御理解賜りたいと存じます。
○内山委員 ないから問題なんですよ。持っていくものがないから問題なんですよ。
 私は払った、集金に来た人がいて払った、こう言っているんです。それが届いていないわけですよ、その人が猫ばばしたのかどうかわかりませんけれども。でも実際、本人は払った。それで、役所の窓口に行ったら、領収書等がなければだめですよと。現に今、それで門前払いをされているんじゃないんですか。だから、その人たちをどうやって救済するのかなんですよ。何もないということじゃないですか、今。証拠も何もないんだったら救済しないということなんじゃないですか。
 大臣、どうですか、もう一回。ちょっと大臣に聞きたい。
○柳澤国務大臣 私は、先ほど申し上げたことなんですけれども、要するに、今青柳部長も言いましたけれども、例えば、時系列的にいって、しっかり長期にわたって納付をいただいているということは、これはもう我が方にも記録があってわかっている、ところが、途中がすぽんと抜けているというような、例えばのことですけれども、そういう場合に、これはもう領収書なりしっかり納付したと証明できるそのものずばりがないという場合に、これは私ども、申請者のおっしゃることに、申し出者のおっしゃることに全然耳を傾けないかというと、そういう姿勢ではありません。これについて、いろいろなことをおっしゃっていただいて、そして我々として、この周辺の状況からいって、これは納付があっただろうというような、いわば状況的なことが確度を持って確実に読み取れる、あるいはお聞き取りできるというような場合には、これを訂正するというような、そういう姿勢でもって臨んでいきますということを申し上げたわけであります。
 ですから、もうこれは申し出をいただく方々にできるだけ御自身の申し出の背景にある事情を我々に教えていただきたい、こういうことで私ども考えてまいりたいというふうに申し上げた次第であります。
○内山委員 大臣、そうしますと、そういう領収書等の資料がなくても、これからそういう方たちを受け付けますよとぜひ広報してくださいよ。門前払いを食らって泣き寝入りしている人がいるわけですから、現に。ですから、そういう人たちも、より詳しく相談に乗ります、こういうことでも受け付けますよという、ぜひ緊急に各社会保険事務所や何かに通知をしていただきたいな、こう思うんですが、いかがでしょうか。
○柳澤国務大臣 これは現在でも私どもそのような姿勢で臨んでいるわけでございます。それはどういうことを申し上げているかというと、社会保険事務所に来ていただいて、なおまだいろいろ自分で腑に落ちないという場合には、ぜひ本庁でそういう場を設けておりますので、本庁の方でよりいろいろ状況をつまびらかに伺って、我々としては判断してまいりたい、こういうふうなことで、今も本庁に上がってきている案件がそうしたところからございますので、我々としては、ある意味のそういうシステムでもって対応させていただいているということでございます。
○内山委員 要は、門前払いをしませんよということをぜひさらにPR、広報していただきたいな、こうお願いをする次第であります。
 そして、厚生労働省の方の、出ている資料で、年金額の決定をやり直した件数が毎年三万件を超えているというデータがありますけれども、この三万件を超えている、やり直す原因というのは一体何なんでしょうか、それを教えていただけますか。
○青柳政府参考人 裁定のやり直し、再裁定についてのお尋ねがございました。
 今、年間三万件を超えているというお尋ねでございましたが、これまでお求めに応じまして私ども明らかにしております数字は、平成十三年度から平成十九年二月末日までに約二十二万件、こういうものを受け付けている、これを一年当たりに直しますと、年によって若干の増減はありますけれども、大体一年当たり三万件強になっておる、こういう事情にまずあるものでございます。
 この裁定変更処理の主な理由といたしましては、三つぐらいのパターンがあるというふうに認識をしております。
 その一は、裁定請求の時点において、御本人がお申し出をされたわけでありますけれども、そういえば自分はこういうときにここに住んでいたこともある、あるいはこういう事業所に勤めていたこともあるということで、被保険者記録の一部がその時点では未確認である、しかし、既に二十五年という受給資格要件を満たしているので、その記録を探して年金の裁定が遅れるよりは、一日でも早く裁定をして年金を手にしたい、こういう御要望があるケースが少なくございません。その場合には、御本人の希望によりまして、まず先に裁定を行いまして、その後で、お申し出のあったことを含めたすべての被保険者期間を確認し、そのことにより記録の追加を行い、年金額の増額を行う、このようなケースがございます。
 それから、第二のパターンといたしましては、裁定の際には、御本人確認の上裁定を行ったわけですが、何らかの事情で、恐らく、お友達といろいろな情報交換をされたりとかなんとかというようなことが事情にあるのかと思いますけれども、後になって御本人から、実はこの期間を申告していなかったんだけれども、その期間があるんじゃないだろうかというようなお申し出があって、それに基づいて追加をするようなケースが考えられます。
 また、第三のパターンといたしましては、事業主の方から、例えば賞与等を記録訂正してくれというお申し出が後であって、それに基づきまして、被保険者であった方の裁定変更が必要になったというようなケースがございます。
 いずれにいたしましても、年金の裁定請求時には、御本人の請求に基づいて加入記録を確認した上で支給決定を行っております。
 現在では、委員も御承知のように、五十八歳の時点できちんと記録の確認をいただき、さらに、それをターンアラウンドという形で六十歳の時点でお手元にお届けをして、いわば裁定に結びつけるということにしておるわけでございますので、私どもは基本的に、例えば、受給者の方が早くそういうことで裁定を受けたいというような希望がある場合には、これを優先して対応させていただくわけでございますけれども、いずれにいたしましても、そういった事情のもとでの変更の依頼があってこれに対応したものでございますので、私どもの手続の不備によるというお受けとめ方はいかがかなというふうに思っている次第でございます。
○内山委員 不備とは私は思っていませんし、不備だということを申し上げたわけじゃないわけでして、どういう原因がこの三万件の原因なのかということをお尋ねしたわけであります。
 昔勤めた会社の記録というのを、やはり数十年前ですと忘れてしまう方はたくさんいらっしゃいます。そんなことがあるのかと若い方は思うかもしれませんけれども、あるんですよ。年金相談に来る方は、中には自分の生年月日も書けない方もいますから。転職を繰り返していると、東京の神田の方で勤めたけれども、何か、魚屋だった、そんな程度なんですね。
 そういう記録を、例えば、事業所の所在地の社会保険事務所に行きまして、年金相談のコーナーに座りまして窓口のコンピューター、ウィンドウマシンがありますね、そんな話をすると、ウィンドウマシンには、全部その方の会社名とデータが出ているんですね。だけれども、そのマシンは御本人には見せないんです。会社の名前を言わなければ、本人かどうか確認できない。
 そこで、一つは、窓口でいつも年金クイズみたいなものを担当者とやっているわけでして、あなたの会社の頭文字で「か」がつきますね、そんなようなところでヒントをもらって思い出せればいいんですけれども思い出せない方もいる。機械ではわかっているけれども御本人がわかっていない、こういうところで、もう少し何かうまい工夫がないんだろうか。
 ただ、一つ懸念することは、同姓同名の方、記録をとると、とても勤務したことのない場所にデータがあるなんということもありますから、よその方のデータを自分の年金記録に加算してしまう可能性もありますから、そこはきちっと精査、峻別をしなきゃならないんですが、そこのウィンドウマシンではその者のデータであるということがわかっている場合、もっと何か、本人の記録であるというような形にならないものだろうかといつも非常に悩んでいるところです。
 何かそういう方法で、これからその五千万件の記録をつぶしていくためにも工夫をしていただきたいな、また、考えられることがないだろうか、将来にわたって検討するようなものがもしあれば、お話をいただきたいなと思います。
○青柳政府参考人 まず、将来に向かってというふうに今委員の方から最後にございましたので、そこから申し上げます。
 御承知のように、先ほども申し上げました五十八歳通知ということで、これまでの加入履歴を私どもの方からお送りして、御確認いただき、それをターンアラウンドで裁定に結びつけるというのは既にとっている手段でございますが、これに加えまして、三十五歳の時点、これはことしの三月から既に実施しておりますが、それから四十五歳の時点、これはことしの十二月からを予定しておりますけれども、それぞれの時点において、それまで私どもが管理をさせていただいております記録をお一人お一人ずつ全部打ち出しをいたしまして、それをいわば見ていただく、すなわち、十年ごとに自分の年金履歴をきちんと確認できる機会というものをふやしていく、これが一つの、そういう意味で履歴というものの紛れを少なくしていくという、将来に向けての方法だろうと思います。
 また、現在、インターネットでお手続をしていただければ、比較的簡便な方法で御自身の加入履歴をいつでも確認できるというサービスもやらせていただいておりますので、こういったことで、将来的には加入履歴の紛れというものをなくしていくということは可能だろうと思います。
 ただ、委員が冒頭におっしゃいましたように、現に、例えば年金受給者になってしまっておられるような方々については、そういった形のサービスの利用が現時点ではできないわけでございますので、私どもとしては、大変煩瑣で申しわけございませんが、社会保険事務所においでいただいて、一つ一つの相談に丁寧に対応させていただくことによって、これを明らかにさせていただきたいと考える次第でございます。
○内山委員 やはり本人の年金に対する知識というのは、年金裁定請求というのは一生に一回しかつくらないわけですから、知っている人はいないわけですよ。記録が漏れているかどうかもわからない。だから、きちっと役所の方で名寄せをして、やはり詰めていかなきゃならないんですよ。そこをぜひやっていただきたい。だから、レガシーシステムの膨大なプログラムを組むときに、予算的なものがどのくらいかかるのか、ぜひそこの部分も検討していただいて、予算でなるのなら、何とかしてくださいよ、大臣。
 三号の特例届け出というものだってやったじゃないですか。サラリーマンの妻、国民年金の第三号被保険者として保険料を払わなくてもいいのに、事業所の届け出のミスとか本人のミスによって、三号の未納という期間をさかのぼって、たしかこれは平成九年だろうと思いますけれども、それはなぜできたのかといったら、予算的な措置だけだったと。
 だから、こういう五千万件ものデータが宙に浮いている、幽霊記録というんでしょうか、ぜひつぶすために、システム内でできるようであれば、漢字の名寄せをするとか、できる限りのことをやって、詰めていただきたい。それから、先ほど長妻委員の質疑にもありましたとおり、それぞれ保管されている紙ベースの資料、あとはマイクロとか、ぜひその辺は、お金で処理ができるのであれば、国民の年金制度を守るためにもぜひやっていただきたい。(発言する者あり)そのとおりです。それがやはり納付率を高める最大の方策だろうと思います。
 そして、私、知りたいなと思っていた書類が長妻議員の質疑のときに配付されまして、私の手元に、先ほど見て、年齢別のデータがあるじゃないか、これを知りたかったんです。
 そして、これを見ますと、長妻議員もやっておられましたけれども、私も重ねて確認をしたいんです。この別紙一の下のところに「生年月日を特定できないもの」、厚生年金が三十万六百七十五、国民年金が千百六十六、こういうデータがありますけれども、まず、生年月日を特定できないというその原因、理由は何でしょうか。
○青柳政府参考人 生年月日のデータそのものが入力されていない、あるいは、入力されているデータが生、年、月、日という形でそろっておらない、いろいろなケースがございますが、いずれにしろ特定できないというふうにお考えいただきたいと思います。
○内山委員 特定できないということは、それは入力ミスなんでしょうか。
○青柳政府参考人 さまざまな原因が推測できようかと思いますが、今となりましては、その個別個別について、どのような原因でそのような状況が起きているかについては推測のしようがないということで、お許しを願いたいと存じます。
○内山委員 推測をしようがなくても、でも非はやはりあるはずなんですよ。管理している側にあるんですから。こういうデータが出てくるということは、やはり管理が悪いということです。いいですか、青柳さん、こういうデータを管理する側にあなたはいるわけですから、推測できないじゃだめなんですよ。だったら、こういう人たちをどうやって救済するかですよ。それはどうやって救済するんですか。
○青柳政府参考人 これは午前中に大臣からも少し御説明ございましたので繰り返しになりますが、生年月日が欠けている方であっても、例えばその他の職歴でありますとかそういった情報を突き合わせることによりまして、生年月日がそろっている方よりは多少お時間もかかり、手間もかかるかもしれませんが、丁寧に一つずつ突き合わせをすることによって統合、復元が可能でありますので、少しお時間、お手間はとらせますけれども、私どもとしては丁寧に統合させていただきたいというふうにお答え申し上げたいと思います。
○内山委員 一度確認をしておきます。
 そうしますと、生年月日を特定できないものに対しては、皆さん方が確認をするための作業をこれから行うということですね。
○青柳政府参考人 これは先ほど来の繰り返しになって大変恐縮でございますが、生年月日の特定できないデータが紛れていた場合であっても、御相談なりで御本人が事務所等に御相談に見えた場合に、その方に相当するデータがないかということを捜し、その捜す過程の中で統合が可能であるというふうに考えております。
○内山委員 管理する側に問題があるんですから、この三十万件はあなた方が自発的にやらなきゃだめなんですよ。本人のミスじゃないじゃないですか。これはたったの三十万件じゃないですか。まずこれさえできなくて、あとの五千万件なんかどうなっちゃうんですか。年金というのは第二の給与なんですよ。しっかりやってくださいよ。皆さんの責任ですよ。こんなことをやれないで年金を守れるんですか、日本の年金。だれも保険料を払わなくなりますよ。
 もう一回、答弁をいただきたい。
○青柳政府参考人 年金記録の統合に関しまして大変に難しい点がございますのは、御本人の御記憶であるとか御主張と、例えば私どものデータが食い違った場合に、御本人の御記憶違いなのか、それとも私どものデータが不備であるのかということは、一つ一つ他の客観的な材料なども突き合わせていきませんと、これが明らかになりません。
 もし御本人のおっしゃっておられる御主張がすべて正しいのであれば、私どももこれは大変容易な作業として取り組むことができるわけでございますが、もし御本人の御記憶違いであるようなケースについて、それを安易に例えば統合してしまった場合には、大変な御迷惑を皆さんにおかけすることになるということは容易に御推察いただけるのではないかというふうに思います。
 したがいまして、大変に手間をかけ、御迷惑をかけるケースもあろうかと存じますが、一つ一つのケースをなるべく御本人のお立場に立って丁寧に統合していくというのが私どもの基本姿勢であると御理解賜りたいと存じます。
○内山委員 青柳さんの話には矛盾がありますね。難しいケースだからこそ、本人にできないんですよ。役所がやらなきゃならないんでしょう。難しいケースだからこそ、あなた方がやらなきゃならないんですよ。そして、あなたの記録ではないですかとお尋ねすればいいじゃないですか。本人から、まさか生年月日が、私のデータが仮に三十万件の中に入っているなんてだれもわかっていない、だから申し出がないんでしょう。あなた方がわかる範囲でお示しをしなければ、国民は、この三十万人に該当する人たちはわかるわけはないじゃないですか。今、あなたが言っていることは矛盾していますよ。
 大臣、お疲れですからね、少しは聞いておいてください。これは何も大きなコンピューターのシステムをプログラムを組んでやらなきゃならないことじゃないわけですよ。現にこれだけ、三十万件という数字が出ているわけですから。それはもうできる範囲で、今の費用がかからない範囲でぜひ詰めてくださいよ。この三十万件に関して、八割九割わかりました、これは信頼回復できるじゃないですか。本人に任せていたら、これは絶対にできませんよ。ぜひ役所がやる仕事だと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○柳澤国務大臣 基礎年金番号を一億百五十万件付番させていただいたときにお問い合わせをさせていただきまして、ほかの番号をお持ちではないでしょうかというようなことでお問い合わせしたものに対して、九百十六万人の方が自分は他の番号を持っているんだというお話をいただきました。我々、それだけで済ませたわけではなくて、実は社保庁の方でも、この機会に何とか付番、基礎年金の番号とその他の年金手帳の記号番号とを突合させる、いわゆる名寄せの作業をいたしました。その数が九百二万人なんです。その数が九百二万人。ですから、何もしなかったということを前提にいろいろお話をいただくとすると、ちょっと私どもとしてもその点は触れさせていただきたい、こういうことでございます。
 そして、その上でこれからどうするかということでございますけれども、私どもの方で何もしないということではなくて、今申したように、五十八歳、四十五歳、三十五歳というように、我々が持っているデータを皆さんにお知らせするんですね。そして、受け取られた御自身の方で、僕のはここは抜けているじゃないか、私のはここが違っているんじゃないかというようなことを見出された方についてはそれを言ってきていただくということによって、この三十万件についても、内山先生のお言葉、私は実務的にはそのとおりだと思うんですが、いわゆるつぶしていくことができる、我々はそのように考えているわけでございます。
○内山委員 時間が追ってしまいましたので、ちょっとテーマを変えますが、これはぜひまた議論させていただきたいと思います。
 日本年金機構のことでお尋ねをしたいと思います。質問では十六番というところでお願いを申し上げていると思います。
 日本年金機構は国の機関ではなく、非公務員型の公法人としたが、非公務員化することによって効率はどのような形になるのかということをお尋ねしたいわけであります。
○清水政府参考人 非公務員化することによりまして、能力と実績に基づく人事管理、柔軟な職員採用がしやすくなるというふうに考えてございます。
 御承知のとおり、職員の給与、公務員の場合、労働基本権の制約がございまして、勤務条件法定主義ということがございます。人事院勧告に基づいて定められます統一的な俸給表の等級号俸によらなければならないということになってございます。一方、非公務員でございますとそういうことはないわけでございまして、この法人独自の給与体系をつくることができるわけでございますし、その当てはめ、端的に言えば、例えば昇任昇級、降任降格なども公務員と違って柔軟にできるということがございます。
 また、採用につきまして、御承知のとおり、国家公務員は試験合格者の中から採用しなければなりませんが、非公務員になりますと制度的にはそのような制約がないということでございます。
○内山委員 政府・与党案というのは、非公務員化で独自の給与体系、めり張りのきいた民間的な給与体系が可能になると主張されているわけであります。しかし、その給与が税金から出ているということは忘れてはならないわけでありまして、税金の使い道を政府の関与を受けずに民間人が勝手に決めることが許されるのかということを言いたいわけであります。
 日本年金機構の職員給与というのはどこから出ていますでしょうか。何度も聞かれていると思いますけれども。
○清水政府参考人 お答え申し上げます。
 政府が交付金を日本年金機構に交付することになるわけでございます。その交付金の中で職員の給与を賄うという考え方になろうかと思います。政府が交付いたしますその財源でございますけれども、先ほどからほかの委員の方への大臣の答弁の中にもありましたように、職員人件費は租税財源という考え方でございます。
○内山委員 税なんですよね。税が、政府の関与を受けずに民間人が勝手に決めるというような仕組みに、私は非常に大きな疑問を感じているわけであります。
 続きまして、年金実施機関が国以外の組織になると公的年金制度の安心感を失わせることにはならないか、どのように信頼を担保するのかという質問に対してお答えをいただきたいと思います。
○清水政府参考人 年金制度は国の信用力の基礎でございますし、二十歳以上の全国民の方々は強制適用、一生涯にわたる保険制度ということになるわけでございます。
 したがいまして、この法案におきましては、社会保険庁の廃止の後におきましても国を保険者とする、そして国の責任において運営するという形にしておるわけでございます。年金制度に係ります国の責任を堅持するという考え方でございまして、具体的に申し上げますと、国は特別会計を持っているということでございます。また、保険料の徴収や年金の支払いも国庫金の歳入歳出といたしますし、お客様のお手元にお渡しいたします年金手帳、年金証書、これらも国の、厚生労働大臣の名義という、そのような形にしておるわけでございます。
 また、日本年金機構に対する必要な管理監督、これも厚生労働大臣が行う、そのような法的構成になっておるわけでございまして、そのような形で国として年金事業の運営責任を果たしてまいりたい、このような考え方でございます。
○内山委員 政府案では、直接年金制度を運営する年金機構が、法律上、国会に対して全く責任を負っていないわけでありまして、厚労大臣を通じて間接的に責任を負っているのみで、仮に機構やその委託先において再度不正免除や不祥事が生じたときに、理事長を国会に呼ぶことができるんですか。大臣、不正や何かがあったときに、国会に理事長を呼べるんですか、もう一度お尋ねをいたしたい。
○柳澤国務大臣 これは、従来、いろいろな公的な機関が、政府の機関ではなく独立の法人として成り立っているところは多いわけですけれども、そこの執行の責任者、これは参考人として招致できるということで、緑のリボンをつけられた方は大勢いらっしゃるわけでございます。
○櫻田委員長 内山晃君、短目にしてください。
○内山委員 最後の一問です。
 同じように、国は機構の委託先に対してどのように監督をするのか、お尋ねをしたいと思います。
○櫻田委員長 時間が終了しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○清水政府参考人 日本年金機構は、厚生労働大臣の定める基準に従って委託を行うものでございます。その日本年金機構に対しまして、厚生労働大臣がさまざまな直接の監督、必要がございますれば是正命令等も行う、そのような関係になっているところでございます。
○内山委員 またじっくりとお尋ねをしたいと思います。終わります。