第166回国会 衆議院 安全保障委員会   2007年05月15日

○木村委員長 次に、内山晃君。
○内山委員 民主党の内山晃でございます。
 日米防衛相会談結果概要につきまして、お尋ねをさせていただきたいと思います。
 防衛省から配付資料の「日米防衛相会談について(結果概要)」の「秘密保全」につきまして、久間大臣から、海上自衛隊における情報持ち出し事案に関し、米側とも緊密に連絡をしつつ、事案の全容解明と再発防止に努める旨の発言がございました。ゲーツ長官からは、日米防衛協力関係を強化していく上で、日米防衛当局間で、情報共有は重要な基礎であり、情報共有をさらに進めるためには共通情報の保全が不可欠である旨の発言があったと記載されております。こうしたやりとりを踏まえまして、久間大臣とゲーツ長官は、今後、日米双方で情報保全の強化を図っていくことで一致したとのことですが、具体的な事柄に関して、今後、早急な検討課題であると認識をしております。
 現在想定しています日米の共通の軍事情報の秘密保全については、五月一日、日米安全保障協議委員会、2プラス2の共同発表の中で、軍事情報に関する一般保全協定、GSOMIAの合意を意味していると考えていいのでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
○久間国務大臣 これは必ずしもそれを指しているわけじゃございませんで、双方が情報を共有しよう、そういう必要性も、またその共通認識もございますが、そのためには、それぞれが自分のところの情報の管理をきちっとしなきゃならないということです。
 特に、我が国における最近の情報の漏えい問題等がありましたので、それについて、やはり向こうも心配をしておるということもございまして、防衛首脳会談でも触れまして、我が国の方としては、それについて、今までとってきた手続、いろいろな制度、例えば私物のパソコンをもう持たせないというようなこととか、パソコンについて、今度はその中身に過去のデータも入れていないかチェックしているというような、そういうことを言いましたが、さらにそういう点での漏えいをしないような保全体制をとっていくということを強調したわけであります。
○内山委員 この軍事情報に関する一般保全協定、GSOMIAは、私の記憶の間違いがなければ、今回の日米安全保障協議委員会、2プラス2で、初めてはっきりとした形で、文書で出てきたように思うわけであります。
 国家間の重要な取り決めでありますので、この軍事情報に関する一般保全協定、GSOMIAだけでも国会で慎重に議論され、批准と申しましょうか、決議、承認が必要かと思いますが、これに対する国内法の整備の方は必要なのかとやはり思っているんですけれども、いかがでしょうか、国内法の整備。
○久間国務大臣 このGSOMIAは、各国とそれぞれ結んでおりますけれども、包括的な取り決めでございまして、どっちかというと手続等を決めたものでございまして、内部の法令等は、それぞれの国の法令によって従う。場合によっては、それぞれの国が、そういう法体系がないところはそれでやっておりますけれども、そういうようなことを前提としているわけではございませんで、我が国の場合は、我が国の法令に基づいて国内はきちっとやっていく。
 ただ、アメリカが秘密情報として我が国に渡すときの手続等のそういう関連について、これから外務省が中心になって協定を結んでいかれるということであります。
○内山委員 久間大臣は、二年前の二〇〇五年十一月十一日に憲政記念館で行われましたヘリテージ財団主催の会合で講演をされております。きょうは、大臣の許可をいただかずに配付資料としてちょっと使わせていただきます。よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 GSOMIAの必要性についてこの中でお話をされておりまして、大臣は、現在の日本における情報漏えいの防止という観点から、既に制度があると述べられているわけでございます。大臣の発言を、お配りしました下線の部分のところをちょっと読んでみたいと思います。
 日本では、GSOMIAを導入しなければ、本当に秘密は守れないのでしょうか。その点、それほど単純ではありません。日本にも既に制度があるのです。まず、米国から提供された情報を守る法律として、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法という昭和二十九年にできた法律があります。
 米国政府から供与された装備品等に関する秘密の情報は特別防衛秘密とされ、この秘密を不当な方法で収集したり漏らしたりした場合には、十年以下の懲役に処せられることになっています。そしてこれは、公務員だけではなく、契約に基づいて秘密を扱う企業の社員にも適用されます。
 米国政府が日本国内にある企業と直接契約をした場合、日米安保条約第六条に基づく地位協定の実施に伴う刑事特別法という昭和二十七年にできた法律が適用になります。この法律によれば、日本にいる米国軍隊の機密を不当な方法で収集したり漏らしたりした場合には、やはり十年以下の懲役に処せられます。
 自衛隊独自の防衛秘密については、平成十四年、自衛隊法の改正により、会社の社員を含め、防衛秘密を取り扱うことを業務とする者が防衛秘密を漏らしたときには五年以下の懲役に処せられることになります。
 日本でも秘密保護のために法制の整備はされていることがわかります。では、なぜGSOMIAの必要性が議論されているのでしょうか。米国側の事情を推測すると、GSOMIAという取り決めを各国と結んでいるわけですから、GSOMIAの枠組みで秘密が守られるから日本にも供与するといえば、米国政府内の行政手続が進めやすいというのは理解できます。
 そうおっしゃっておられますけれども、今回の協議について、これとどのような関係で御所見をお持ちになっているか、お尋ねをしたいんです。
○久間国務大臣 アメリカに行きますと、日本だけがGSOMIAを結んでいない、そういうふうに言われるわけですね。ところが、日本の場合は、先ほど言いましたように、日米相互援助協定といいますかそういうことで、あるいはまた日米安保条約によって特別法があって、ちゃんとやっているんですよというようなことを私たちは言うんですけれども、何かしらん、日本だけが非常に、そういうGSOMIAを結んでいないから、まあ、ざる法とは言わないけれども、法律的な体系ができていないかのような誤解を受けているものですから、軍事情報というのをさっと渡しにくいような雰囲気がありますので、先ほど言ったようなことを私は言わせてもらいました。
 それともう一つは、今までのいろいろな法体系にありますものは、その都度その都度全部、一つごとに契約といいますかペーパーにして具体的にやっている。ところが、これぐらい非常にスピーディーな時代になってまいりますと、もっと包括的にやりとりをして対応していかなければならない、そういう必要性も生じておりますので、そういう意味では、各国と同じようにGSOMIAを結んでおくことによって、一連のそういう枠内で対応できるというふうにした方がいいんじゃないか、そういう思いがあって、GSOMIAについて研究してもらいたいということを、ああいうふうに述べた後、外務省にもお願いしてやってまいりまして、そして、外務省もそうだなということで、今回2プラス2でそれをやってもらったということであります。
○内山委員 外務大臣もおられますので、ぜひ外務大臣の方の御所見もいただきたいと思います。
○麻生国務大臣 ゼネラル・セキュリティー・オブ・ミリタリー・インフォメーション・アグリーメント、頭文字をとってGSOMIAと言うんですけれども、これは今、防衛大臣の言われたのが基本であります。
 国内法令の範囲内でということが頭についておりますけれども、いわゆる防衛、この間、イージス艦の話が結構出ましたけれども、こういったような形で、私ども見ておりましても、こういったものをきちんとしておかないと、ある程度共通のもので縛っておかないと、一国だけ漏れたりなんかすると、こっちも被害、そっちも被害というのが全部に被害を及ぼして、全く心ないとか、もしくはこういうことに無知な人がやったこととはいえ、結果的に相手側に利して、世界じゅう、全部持ったものはパアになってというようなことはあり得る。
 今は特にコンピューターにお詳しいので、そういったものがばあっと広がりますので、とにかくハッキングなんというのができるとえらいことになるというのが今のコンピューター技術の発達に伴うことで、一回漏れたものを修正もしくは改善するということになると、物すごい手間暇と経費並びに金もかかる話ですので。
 そういったようなことで、他国に影響を及ぼすという意識がないでやられるともうえらいことになりますので、そういった意味では、こういったものが結ばれるということは、私としては、今の時代に合っているのじゃないかなというように感じております。
○内山委員 また、久間大臣はこの講演で、GSOMIAとなりますと、国と国との条約なのか、または行政協定でいくのか、こういうこともお話をされておりますけれども。国会で詳しい協定の内容を開示する必要があると思われますけれども、いかがでございましょうか。
○久間国務大臣 これは、行政協定を今後結ぼうということを今度2プラス2で決めたわけでありまして、これから先はどちらかというと、行政協定ですから、外務省マターとして外務省の方で詰めていかれるわけであります。
 そういう行政協定を結ばれましたら、その内容については当然国会の方へも御報告があろうかと思いますし、私たちもその過程において、どういうふうなものになっていくのか絶えず、協議に参加しながらといいますか、直接は外務省でございますけれども、私たちもよく見ながらやっていこうと思いますので、また、多分委員の先生方におかれましても同じような気持ちじゃないかなと思っております。
○内山委員 同じく久間大臣、発言の中で、国内の立法措置をとらなければならない、こうも発言をされておりますけれども、どのような法律をお考えになっておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
○久間国務大臣 いや、それは必ずしもとらなければならないということじゃなくて、これから先そういうようなことでやったときに、現在の国内法で守られているような体制だけでいいかどうか、そういうのを含めて、むしろ国内で検討がされるべきじゃないかと思うんです。
 各国の例を見てみましても、GSOMIAを結んでいる国でも、非常に厳しくやっている国とそうでない国とがあります。
 そして、その違いについてアメリカはどうしているんだと見ると、こういうような厳しいところについてはここまで出していいだろうとか、厳しくないところについては、そういうのでもし出ていってしまったらいかぬからということでやめているみたいな、そういう差を設けているんじゃないかなというふうなことも、はっきりは言いませんけれども、そういう感じも受けますので、やはり国内法で縛るか縛らないかというのはそういうような向こうとの関係もありますから、これを結んだからせねばならないということにはならないと思いますが、現在の国内法の体制で、それだけでいいのかどうか。
 特に私が気にしておりますのは、民間企業同士でやりとりをする、それもリアルタイムにやりとりをするようなケース、向こうの企業の下請にこちらが入っているときに、そういうときに、こちらの企業は、国を介してきた場合は防衛秘密になったり特定防衛秘密になるわけですけれども、それが全く民間同士でやる場合はできないから、そういう下請に参加できない形になります。
 そのときに、GSOMIA等だったら、こういう企業は安全ですよということを政府が保証するような、そういうことは可能かもしれませんけれども、そういうときに何らの法的な措置がなくて果たして向こうが使ってくれるのかな、そういう思いが一方ではございますから、そこはやはりきちっと、企業同士であったとしても、防衛秘密に携わる者はそれはだめなんだというふうなことをした方がいいんじゃないか。今は、特定防衛秘密についてはそれは言えるのかもしれませんが、それ以外はなかなか難しい、政府が関与しない形のものは難しいんじゃないかな、そういう気もしていますので、これもこれから先のまた研究課題だと思っております。
○内山委員 同じく外務大臣は、この御所見、どうでしょうか。
○麻生国務大臣 こういうのは、内山先生、具体的な話の方がわかりやすいんだと思って今多分そういう例を引かれたんだと思いますが、民間同士でやった、民間の日本側の会社の下請に北朝鮮系のいわゆるソフト会社がありましたというときには、そこから一〇〇%抜ける確率は高いというのを知らなかったら、それは丸々手のうちが全部ということになり得るというようなことを考えますと、似たような話がこの間ありましたので、そういった意味では、私どもとしては、こういうものの値打ちというのが、つくっている本人はもうプロみたいな人たちですから、およそ、そのことだけ詳しいという人が開発されて、その価値が全然わからぬまま外に出て、いや、僕はわかりませんでしたではとても済まぬということになり得るなという例がありますので。
 こういったものはいろいろな、昔と違って、単なる盗まれたという話ではなくて、本人が知らない間にウィニーを使って外に出ていくとかいろいろな例が最近ありますので、そういったものを含めて検討をする必要があるだろうな、私はそう思っております。
○内山委員 同じように、このGSOMIAが正式に締結されたときに、国内法の、例えば日本国憲法とかその他の条項との整合性というものが、何か問題が出てこないだろうか。例えば、憲法の二十一条なんというのはどうなのかなというふうに危惧をしているんですが。
○久間国務大臣 それはないと思います。少なくとも憲法に抵触するような法律自体がつくれないわけでありますし、法律がなければみんなが縛られることはないわけでありますから、それはもう心配する必要はないと思います。
○内山委員 では、同じように罰則規定を規定しました日米相互防衛協定秘密保護法の改定などは、見直す必要があるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
○久間国務大臣 これも、十年の刑ですから、結構重い法律でございますから、私は特別改定する必要はないと思っております。
○内山委員 機密防止については、日米同盟にかかわる事柄だけでなく、限定された日本独自の国内法をつくることによって、外部によるスパイ行為の監視や摘発が可能になると同時に、重要な部門に携わっている官民を問わず、再発防止の抑止力になると思っております。
 日本人について総じて言えることは、危機管理意識レベルが非常に低いと思うわけでありまして、こういうところに十分な注意が必要である、こう思うんですけれども、日本人の危機管理レベルの低さについて、いかがでしょうか。
○久間国務大臣 これはやはり日本は甘いと言われれば甘いのかもしれませんし、外国が、特にアメリカなんかは、厳しいというと厳し過ぎるのかなという気もしまして、一概に評価はできません。
 例えば、外国の場合、機密に従事する人の場合、その同伴者が他国籍であるかどうかまでチェックして参加させていますね。そこまでする必要があるのか。まあ破ったら、それは法律違反をするわけですから罰則が適用されるわけです。
 そこまでせぬでもいいんじゃないかと思いますけれども、やはり寝言で何をしゃべるかわからぬということまで考えると、そこまでやるのかな、そういう思いはせぬでもないので、その辺は、バックにある道徳律も含めた規範意識というのが違うのかなという思いもしますけれども、日本よりもアメリカの方が厳しいなという感じは、至るところでこういう機密の問題については感じております。
○内山委員 私は、日本の国家、国益を考えた場合、国内法の整備がやはり最重要である、こう思っているわけでありまして、今回見送られると先般一部報道で報じられておりましたけれども、これは本当でしょうか、国内法の整備をやらないと。
○久間国務大臣 これは、現在の国内法を前提としてそれで十分である、そういう認識でスタートいたしております。むしろ国会の皆さん方の方からもっと厳しくしろというふうな話が出てくれば別でございますけれども、そういうような状況、国内法は現在ので一応足りているんじゃないかなと私どもは思っております。
 ただ、配慮の仕方については、もう少し日ごろから我々としても配慮しなければいけないというのは、当委員会でも指摘されておりますとおり、私どもとしても十分、これから先、漏えいの管理といいますか、漏えいのないようなシステムについてはどうしてやっていったらいいのか、それは研究していこうと思います。
○内山委員 テーマをかえまして、機密漏えいにつきましてお尋ねをしたいと思います。
 平成十八年二月二十四日、事務次官通達、防官情第一二四六号によりまして、現在、職務上使用する私有パソコン等にファイル交換ソフトがインストールされている場合には、当該ソフトを直ちに削除することとなったにもかかわらず、本年四月九日、小銃、拳銃等の保管場所を明記した陸上自衛隊松戸駐屯地の武器庫の見取り図等が、内部情報が漏出を、インターネットに出ているわけでありまして、昨年の二月、こういう事務次官通達が出ているにもかかわらず、ことしの四月にこういった、またウィニーが関係した情報漏えいが出ております。これは一体どういうことになっているんだろうか、それをお尋ねしたいと思います。
○山崎政府参考人 先生御指摘のとおりでございまして、「あさゆき」の事案が発覚をいたしまして、十八年の四月に、私有パソコンを職場に持ち込むこと、それから私有パソコンにより業務用データを取り扱うことの禁止等を行ったわけでございます。それで、その後にまた、残念なことでございますが、空自の那覇基地において情報の流出事案がございまして、平成十九年一月でございます、これに基づきまして、職員が自宅等において使用する私有パソコン等及び私有可搬記憶媒体について、業務用データが保存されていないこと等を本人の同意をもとに確認したわけでございます。
 こういう幾つかの対策をとっているわけでございますが、残念ながら、なかなか末端の職員までこの意識が徹底されていない、しかも、既にこういう措置をとる以前にそういう私有パソコン等に持ち込まれたデータがウィニー等を介して流出をしているという非常に遺憾なことが頻発をしているわけでございます。
 これに対しまして、我が方としては、そのたびごとに新たに事務次官通達等を出しまして、保全意識の徹底を図っているわけでございます。我が方としては、やはり各人にそういう情報の取り扱いが極めて重要であるという意識改革を行うことが一番抜本的な対策になるということで、重ねて各部隊に対して注意喚起を行う、あるいは上司から各曹士等に対して面談をする等して、意識改革を徹底していきたいというふうに考えております。
○内山委員 徹底をしていくといっても、十八年二月の二十四日以降、次から次へと事件が起きているわけでありまして、これはやはり徹底の仕方に何か問題があるんじゃなかろうかと思うんですね。これはやはり規律がきちっと、末端までこういう決めが伝わらない仕組みにすごく問題があるんじゃなかろうかと思います。ただ単に情報レベルが低いものであったからというようなものではなくて、これは早急に、二度と同じような問題を起こさせないようにしっかりと管理をしていただきたい、こう思います。
 テーマをかえまして、PAC3のミサイルにつきましてお尋ねをしたいと思います。
 現在、入間基地等に導入され、順次、ほか三カ所にペトリオットミサイルが実戦配備されていくわけでありますけれども、このペトリオットミサイルがやはり非常に優秀なミサイルだということを聞いております。
 しかし、不幸にして不発や命中しなかった場合、このミサイルはどのようになるのか、落下したミサイルによって二次被害というのがあるんじゃなかろうか、こう考えるんです。ミサイルには自己破壊装置がついている。しかし、ペトリオットミサイルは三百十五キロの重さである、上空一万メートルぐらいで自己破砕システムが作動したとしても、相当な点数、一点一点がかなり重いものが落下すると相当被害が出てくるんじゃなかろうか、こう思うんですが、防衛省の方はどのようにお考えになっていますでしょうか。
○大古政府参考人 お答えいたします。
 PAC3ミサイルの当たらなかった場合というお尋ねでございますけれども、仮に不発または命中しなかった場合でございますけれども、まず一点目としては、地上装置からの自爆指令により自爆させるという機能がついております。それから二点目といたしまして、例えば、目標を見失ったような場合には自動的に自壊機能が作動する、自爆するという機能もついております。
 そういう意味で、地上への被害というお話ですけれども、PAC3ミサイルの破片は地上に落ちるということはあり得ますけれども、ミサイルそのものは、大きな物体が地上に落ちて二次被害が生じるようなおそれはないというふうに考えているところでございます。ミサイルそのものが落ちて二次被害が生じるおそれはないということでございます。
○内山委員 いや、三百十五キロのミサイルが粉々になって、粉になって飛んでいくわけじゃありませんので、例えば、超高層ビルの建築現場からボルト一個落としただけでも死傷者も出るぐらい大変破壊力があるわけでありますので、そんな答弁はちょっとおかしいと思いますけれども、もう一度。
○大古政府参考人 基本的に、目標に当たらなかった場合については、先ほど申したように、自爆することにより小さな破片になるということでございます。そういう意味で、ミサイルの大きな単体が地上に落下することはないということで申し上げました。
 他方、弾道ミサイルにつきましては、国民に重大な被害が及ぶというのがありますので、それを撃墜することがまず重要だというふうに考えておるところでございます。
○内山委員 それでは、ペトリオットミサイルが自己破砕システムによって空中で破壊をしますと、一点でどれぐらいの重さのものが落ちてくるんでしょうか。
○大古政府参考人 ちょっと細部についてはお答えを差し控えたいところがございますけれども、基本的には、爆発により小さな破片になる、それが散乱するということでございます。
○内山委員 その情報は、やはり独自でテストをして実証を持っているんでしょうか、それとも米国からそういう情報をいただいているんでしょうか。その根拠を示してください。
○大古政府参考人 基本的には、現段階では、米国から得た情報ということでございます。
○内山委員 まだ国内でテストで試射していないんですよね。これはやはり早急にやるべきですよ。どのぐらいの大きさになって落ちてくるのか。撃った方向の住民の皆さんだって、例えば何百点、何千点に分かれて本当に何グラム程度のものになるのか、大きいものは一キロ、二キロで落ちてくるのか、こういったものをやはり周知しなければ、情報を持っていなければ、住民の安全確保ができないじゃないですか。
 内閣官房の方がいらっしゃると思います。お尋ねをしたいと思います。
 弾道ミサイルが発射された場合、着弾地点や、また迎撃用に発射したペトリオットミサイル、この二次被害を最小限に防ぐために事前に国民に周知する必要があると思いますけれども、どのように対処されておられますでしょうか。
○井上政府参考人 お答えをいたします。
 国民保護法の法律がございますけれども、その法律におきまして、武力攻撃事態等があった場合に、そして弾道ミサイル攻撃等に際しまして、対策本部長が直ちに、警報の発令、そして避難措置の指示を行うこととなっているところでございます。
 警報、そして避難の指示につきましては、都道府県から市町村を通じて防災行政無線などによりまして住民に伝達をされますとともに、放送事業者である指定公共機関等によりまして、テレビやラジオを通じまして速やかに放送されることとなっております。基本的に、こうした警報の発令、避難の指示等のあり方につきましては、基本指針で取りまとめております。
 また、一般国民の方々に対しましては、ホームページ等で公開をしておりますけれども、「武力攻撃やテロなどから身を守るために」というパンフレットをつくっておりまして、弾道ミサイルによる攻撃があった場合の留意点等につきまして国民の方々にお示しをさせていただいているところでございます。
 以上でございます。
○内山委員 もう一度内閣官房にお尋ねをします。
 今御説明いただきましたシステムは、今すぐ機能しておりますか。どうでしょうか。
○井上政府参考人 警報の発令でございますけれども、基本的には、国から、都道府県、市町村を通じまして、市町村におきまして防災行政無線がございますけれども、それによりまして基本的に住民の方に周知徹底を図っていく。
 そして、別途、指定公共機関がございますけれども、それによりまして、テレビ、ラジオを通じて放送をすることによりまして住民や国民の方々に情報を伝達するということでございます。
 それは現在もシステムがあるわけでございますけれども、より速やかに情報を伝達するために、現在、消防庁におきまして、人工衛星を使って、政府が市町村の防災行政無線を直接立ち上げまして、緊急情報を住民に知らせますJアラートを整備しているという段階にございまして、今後、その整備状況も踏まえまして、できる限り速やかに情報を伝達するよう努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○内山委員 もう一点だけ。そのJアラートの整備状況は今どうでしょうか。
○木村委員長 井上内閣審議官、時間になりましたので、簡潔に願います。
○井上政府参考人 現在、消防庁におきまして基本的なシステムをつくり上げているところでございまして、そして関連の予算も措置をしているわけでございます。今後、地方公共団体におきましてその整備が図られるものになろうというふうに考えているところでございます。(内山委員「進捗状況はどのくらいですか」と呼ぶ)現在、まだ各都道府県、市町村におきまして十分に配備がされているという状況ではございません。
 詳細な資料につきましては、今手元に持っておりませんけれども、いずれ、今後予算措置を行うことによりまして整備を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○内山委員 最後に一言だけ。
 今の総務省消防庁からの防災行政無線の整備がほとんど未整備なんですよ。だから警報を発令できないんですよ。これは早急に前倒しでやっていただきたい、こうお願い申し上げます。
 最後に、我が国の将来を見越した国家プランが策定されてもよい時期に来ているんではなかろうか、こう私は考えております。いつまでも日米同盟の強化という、強い信頼に基づいたきずなばかり言っていないで、本当の意味での米国とのおつき合いの仕方と申しましょうか、アメリカと言うことが遠慮なく言える間柄、つまり真のパートナーシップを築き上げていくことが日本の将来にとって大変重要なことと思います。現状は、完全に米国主導の体制に組み込まれておりまして、非常に危険な部分もあると危惧をしております。指摘ということで、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございます。