第166回国会 衆議院 厚生労働委員会 2007年05月25日
○櫻田委員長 次に、内山晃君。
○内山委員 民主党の内山晃でございます。
安倍総理に質問いたしますのは初めてでございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
それでは早速、山井議員が今お求めになっておりました件も、私も実は聞こうと思っておりました件でございましたので、先に飛ばしましてお尋ねをしたいと思います。
多くの方がやはり、私どもにメールをよこしていただいておりまして、前回、前々回の質疑でも、領収書がない、この領収書がやはり、保管期限がうたわれている。茅ヶ崎にしても所沢市にしても、五年間であると明確に明記をされている書類が配られています。こういう扱いは、恐らく全国にたくさんあろうかと思います。この全国の市町村の調査をぜひ行うようにと、前回の委員会でも申し上げましたけれども、与党の皆さんの拒否によりまして行われておりません。
こういう前提のもとで安倍総理にお尋ねを申し上げますけれども、被害者できょう来ています隅田さん、中村さん御夫婦の場合、そもそもの納めた領収書はありません。しかし、どう考えても客観的に、御主人と奥さんが連番なんですよ、番号が。国民年金の被保険者番号が繰り出されているのが連番でありまして、具体的に納めに行っている。しかし、奥様の方が、マイクロフィルムそのものがない。これはやはり、特にマイクロフィルムがないというのは、さかのぼって国民年金保険料を納めることができた特例納付、この特例納付はすごく事故が起きているところでございます。
安倍総理、今私の手元の、幾つかのサンプル、メールを読ませていただきたいんですけれども、六十二歳、渋谷区在住の方。引っ越しを繰り返す中で領収書をなくしてしまいました。社会保険事務所に行ったら、領収書がなければだめだと言われました。十八年十二月生まれの六十三歳の女性。四十年前の領収書、通帳を持ってくるように、こういうふうな形で言われました。相手にしてもらえませんでした。私は京都に住む者です。二十歳のときから父親が、自分の結婚するまで国民年金を払っていてもらいました。しかし、社会保険庁に行きましたら、その記録がないということでした。父親はきちっと払っていました。
少ない記録の持ち主でも、やはり数カ月国民年金と厚生年金に入っていたにもかかわらず、記録がありませんでした。こういったところは全部、年金手帳、領収書を持ってこないと対応してくれないということなんですよ。ここはやはり、山井議員のところでありました立証責任というのがどこにあるのかですよ。
茅ヶ崎の件、所沢の件、その時点では、領収書の保管が五年でいいですよということでうたっているわけですよ。それが、政府参考人は、勝手に市町村が独自にやっていることだなんという答弁をしておりましたけれども、国も地方もこれは、年金行政というのは一心同体で、当然国が管理しているわけでありますから、市町村が独自にやるわけがありません。
総理、どうでしょうか。国民が納めたという保険料の疑義がある場合には、社会保険庁、国は、国民が本当に保険料は払わなかったと立証すべきではなかろうかと思うんです。いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 今委員がおっしゃっているのは、国側に記録がないケースであろう、このように思うわけであります。
なかなか本人とはっきりしないけれども、記録がたくさんある中において突合して、この人かもしれないという方々に対しては通知をして、その旨を通知するわけであります。納付記録をともに通知するということによって、そうした今までの記録が浮いているものについて突合し、本人にお支払いするべきものはお支払いをしていきたい、このように申し上げているわけであります。これは、新しい措置として我々は行ってまいります。
そこで、今問題にされているのは、いわば記録自体が社会保険庁側にもないという、ないかもしれないという状況のものについてであろう、こう思うわけであります。確かに、今、茅ヶ崎の例を挙げられました。これは五年間保存というような通知がなされたということをおっしゃっておられるんだろう、このように思います。
ですから、そこは最初に申し上げましたように、しゃくし定規に考えるのではなくて、ケースをよく見ながら検討もしていかなければならない、こう思うわけでありますが、これは何といっても、皆様の年金の保険料をお預かりして、皆様の年金保険料の中から給付、お支払いをしなければいけないという立場であります。これはだれのものでもなくて、まさに年金に加入しておられる皆様の保険料からお支払いをするという観点からいって、ですからそこは、やはり払っていたということが、何か具体的な状況が記載された資料があるなど、納付があったということが確実と考えられるという場合においては、これは領収書がなくても納付を行うという姿勢で臨んでいかなければいけない、このように申し上げているわけでございます。
○内山委員 実は御本人は、領収書にかわる、また、それを明らかに納めているというその他の書類がないんですよ。だから困っているんですよ。家計簿についていたとか、そういう何かの記録でも特別相談のところではいいとかという話も聞きますけれども、ないんですよ。だけれども、御本人は、明らかに間違いじゃない、御夫婦で出向いて払っている。その方だけがマイクロフィルムがない。
これは前回も言いました、国民年金徴収員が着服したケースが数多くありましたね、柳澤大臣、私は前回で指摘をさせていただきました。蒲田社会保険事務所、一千二百万ですよ。練馬、三百四十万。大阪が二十八万。安倍総理、職員が国民年金の保険料を徴収して猫ばばしてしまったんですよ。これはたまたまそういう記録で出ていますけれども、では、全国、ほかにそういう事実はなかったと言い切れますか。(発言する者あり)何をおっしゃっているんですか。その管理責任をしているのは政府・自民党じゃないですか。委員長、不規則発言ですから、次、注意してください。
こういうミスがどこにあるかわからないんですよ。いいですか、役所の担当者ですら保険料を着服している。
さらには、前回の配付資料でもありました佐賀社会保険事務所の事務処理ミス。総理がおられませんでしたので、この件を一度総理に御説明したいと思います、お疲れだろうと思いますけれども、淡々と説明をしますから、冷静に聞いていただきたいと思います。我が党はいろいろな種類の議員がいますもので。
まず、この佐賀の件というのは、紙台帳からコンピューターにデータを切りかえる際に、マイクロフィルムから正しくコンピューターに入力をしなかった職員のミスです。そして、原因の二つ目としては、六十三歳のときにこの方は年金相談センターに相談に訪れました、私の年金の加入記録。そうしましたら、このときにおいて、相談センターの担当者はコンピューター画面から見まして、あなたの加入記録は未納です、これだけしかお答えをしなかった。本人はおかしいなと疑義を感じていても、そのまま引き下がらざるを得なかった。
そして、昨年、新聞報道等によりまして、もしかして私も年金の加入記録がやはり不正ではなかろうか、こういうことに気がつきまして、相談に行きました。そこでやっと、マイクロフィルムを見たら、そのマイクロフィルムに納付した記録のデータが映っていた。
ここでは、多くの職員のミスがあるわけでありまして、まず一番最初、紙からコンピューターのデータに入れかえるときに転記のミスをしています。さらには、その段階でダブルチェック、トリプルチェックもされている、こう答弁されておりますけれども、そのチェックも漏れているじゃないですか。そして、二度三度足を運ばなければ、マイクロフィルムまで尋ねていって調べることをしなかった、この不親切さですよ。やはりこういう職員のたび重なるミスが、こういう問題に起きているわけです。保険料を猫ばばした、入力を間違えた、ダブルチェックを間違えた人もいる、相談に行って、画面だけのデータしか、疑義を感ぜず説明をした。
こういう人たちに本当に立証責任があるんですか。何もない、私は納めている。どうするんですか。確かに、真贋を峻別しなければならないですよ、本当に納めたのか、記憶の間違いなのか。しかし、こういう事例だってあるということをぜひ認識していただきたい。どうでしょうか。答弁をいただきたい。
○安倍内閣総理大臣 ただいまの佐賀の例でございますが、この件については、マイクロフィルムに特例納付された御本人の記録があったということで、判明したわけでございます。即日補正入力を行いデータを正すとともに、所長が御本人の御自宅を訪問して、事務処理の誤りについて謝罪をした、このように私も承知をいたしております。
このように、マイクロフィルム等の記録があるという場合、オンラインシステム上の記録が間違っているかもしれないということについては、御指摘のような事例があったということを踏まえまして、今回、新たにマイクロフィルム等の記録とオンラインシステム上の記録の突合調査を行わせることといたしたところでございます。
○内山委員 ただ、それだけでは今の年金加入記録に疑義を感じている方は救済できません。そもそも、マイクロフィルムがないんですから、きょうお見えになっている方は。これはどうやって立証するんでしょうか。五千万件の基礎年金未統合の中に含まれていない人たちもいるんですよ。こういう人たちをどうやって救済しますか。いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 マイクロフィルムがないというのは、いわば国民年金の方々の中でそういう方々がおられるということだと思います。幾つかの市町村においては、台帳をとっておられるところもある、このように伺っておりますから、そういうところにおいては、そういう台帳と当然突合するということをしていかなければならない、このように指示をいたしている次第であります。
そこで、先ほどの山井議員との議論の中にありましたように、なかなか現在の段階で、全くこちらの資料の中に見当たらないというケースをどうしようかということでございますが、やはり基本的には、この年金の給付は、いわば皆様からお預かりをしている保険料の中から給付をしていくわけでございまして、そういう大きな責任があるわけでございます。
その中において、しかし、やはり今までに大きないろいろな問題が社会保険庁にあったのは事実であります。だからこそ、与党において、また政府・与党において今回思い切った改正案を出しているわけでございますが、今回のこうした問題については、今までのような、領収書だけではなくて、それ以外においても証明できるものがあれば、それであれば、当然訂正してお支払いをしていくということにしなければならない、こう考えているところでございます。
○内山委員 この五千万件の件ばかりで、本法案の質疑になかなか入れませんでした。いろいろ聞きたいことがたくさんありました。ちょっとずつ聞いていましても、とてもとてもまだまだ時間が必要だなと思っておりまして、今、この五千万件に絡んで、安倍総理の発言から少し疑問を感じましたので確認をしますけれども、新しく日本年金機構になりましたら、この五千万件の件というのはだれが責任を持つんですか。
○柳澤国務大臣 この五千万件の未統合のオンラインというか電磁ファイルも、現在の基礎年金のいわば正規のオンライン上、あるいは電磁ファイルと言ってもいいんですが、その電磁ファイルと同じ電磁ファイルに入っておりまして、したがって、五千万件だけがどこかほかの管理者になるということはないわけでございます。基礎年金番号と一緒に、当然新しい機構の管理のもとに置かれる、こういうことでございます。
○内山委員 これは柳澤厚労大臣の管理下のもとに起きた事案ですよ。これはしっかりと、国会が責任を持って国民のこの記録を守らなきゃならないじゃないですか。新しい組織にこの仕事を任すなんという、これはとんでもない話だと思いますよ。皆さん、どう思いますか。
○柳澤国務大臣 私も、今委員が指摘をされたこと、同じ気持ちなんです。つまり、新しい機構がこういう負の遺産をそのまま引き継いだ形でスタートさせたくない、こういうように私は思っております。しかしながら、この五千万件を、二十二年一月、私どもが機構の発足の日と定めて予定をしてあるところまでにこれが解消できるかということになると、なかなか厳しい見通しを持たざるを得ない。
そういうことで、管理は、今申したように、通常の基礎年金の電磁ファイルと同じように管理をされますけれども、私は、この解消に向けての責任というのは、我々の今の体制、つまり厚労省が背負っていかなければならない問題だ、このように考えております。
○内山委員 大臣、では、今の話をもう少し掘り下げて確認したいと思います。
大臣の管理下で起きた問題でありまして、新しい組織に行こうが行くまいが、この件は、国会で我々がきちっと明確に結論を出すまで大臣の管理下に置いてくださいよ。厚生労働大臣の管理下に置いていくべきだと私は強く申し上げたいが、安倍総理、いかがでしょうか。
○柳澤国務大臣 同じ電磁ファイルの中にあるわけでございますので、管理と申しますか、そういうことは共通に行われないと、これはもう非効率だし、また現実に混乱も生じかねないということですが、この問題に対する責任ということについては、まさにいわば厚労省、社会保険庁時代に生じたものでありますので、私どもがどこまでも責任を負っていかなければならないもの、このように考えております。
○内山委員 それでは、明確に、柳澤厚生労働大臣が、この五千万件、この記録をきちっと管理していくということを明言してください。
○柳澤国務大臣 したがって、もう第一歩から我々は始めるわけでありまして、先ほど私が宮澤委員の御質問に答えましたように、まず給付不足が起こっている方々と突合しなきゃ申しわけない、こういうことで、それをまず突合して、そして実際の年金の受給権者の方に、改めて、今のこの年金給付の基礎になっている年金の加入履歴と一緒に、履歴を送付するのに合わせて、あなたのこの年金には統合されていない可能性のあるものがありますので、ぜひこれを確認してください、そうした形で御注意を喚起させていただいて、早くお申し出をいただくように奨励をいたしたい、勧奨いたしたい、このように申し上げたところでございます。
○内山委員 答えになっていません。
私が申し上げているのは、この件が解決しなければ社保庁改革なんかあり得ませんね。国は国民の年金制度を守る責務があるじゃないですか。こういう五千万件のような大きな問題を抱えていて、社保庁改革などという、器を変えてどうなるんですか。さらに国民に対する不安をあおる。安倍総理、あなたは今、いたずらに国民に年金不信をあおるなどと発言されておりますけれども、その趣旨をちょっと御説明ください。どういう理由でお話をされているのか。
○安倍内閣総理大臣 先ほど委員がおっしゃった、今のこの社保庁のままでいい、そのようにお考えであれば、我々はそのままにしておくわけでありますが、いろいろな問題があった、このままではならない、いわば親方日の丸のこの考え方を変えさせなければいけないということで、まさに廃止・解体六分割をするこの法案を出しているわけであります。
当然、新しい日本年金機構ができても、機構の業務や予算については国が直接管理監督をするわけでありますし、厚生労働大臣が管理運営責任を負うため、引き続き国会の監視を受けることは変わりがない、国会の関与が弱まることはないということは申し上げておきたい、こう思うわけであります。また、機構の役員についても、他の独立行政法人等の役員と同じように、国会の手続に沿って、参考人として国会で必要な答弁を行うことになるということも申し上げておきたいと思います。
そこで、いたずらに不安をあおってはいけないというのは、例えばこれは、将来年金が全くもらえなくなるかもしれないというようなことを軽々に発言して不安をあおってはいけない、このようにも思うわけでありますし、また、先ほどあったように、まるで詐欺を意図的に行っているかのごとく発言するのも、これも間違いであろう、このように思います。詐欺とは何かといえば、最初からお金をだまし取ろう、こう思って、まさに人をだましてお金を取ることでありまして、年金そのものをそうやって誹謗するということは、これは明らかに間違いではないか、まじめな議論とは言えないと私は思いますよ。
○内山委員 安倍総理、私が先ほど申し上げました国民年金の徴収をされた方が着服をしている件、こういうのは詐欺じゃないですか。それはいたずらに国民の不安をあおらないですか。私の年金保険料を本当に届けているだろうか、そういうふうに思う国民はたくさんいると思いますよ。そうじゃないですか。いたずらに不安をあおるんじゃなくて、これは国民に、あなたの年金もしっかりとしなければなりませんよという注意を喚起しているんですよ。しっかりみんなが、自分の年金に、どのような加入期間があるのか、これをしっかり注意喚起すれば、柳澤大臣がおっしゃっているように、国民お一人お一人からそういう問い合わせが来るかもしれないじゃないですか。決して国民の不安をあおるというような行為にはなっていません。それは総理大臣の言葉がやはり間違っていますよ。
同じようにもう一度聞きますけれども、これは調べるということで、前回からもお話をしております。では、この五千万件の中の生年月日が壊れた人たちはどのように対応するんですか。
○柳澤国務大臣 私は、五千万件について、まず三千万人と突合をさせていただく、そのときには、年齢が、生年月日が、例えば年が欠けているという場合には、年もわからないわけですけれども、しかし、もうそれを全部突合の対象にして、今の年金受給者と突合してみますということを考えております。
それからまた、被保険者について、五十八歳通知をするときにもその突合をさせていただいた上で、いろいろな情報を与えながら、確認の勧奨をしていくわけでございますけれども、そのときにも生年月日の欠けている方々は突合の対象にして、常にそれは、その年齢の方が対象としてあり得るという想定のもとで、丁寧に突合の対象にして、確実にその確認をしていきたい、こういうように考えておるわけでございます。
○内山委員 新聞の報道はすべてが正しいとは私も思っておりませんけれども、社会保険庁の幹部の方が、この五千万件のデータはほぼ年金受給に結びつかないなどと発言をされている方がいらっしゃるわけでありまして、安倍総理、どう思いますか。こういうことが新聞に書かれているんです。答弁を求めます。
〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕
○安倍内閣総理大臣 今の発言は私は直接聞いたわけではございませんので、何とも言いようがないわけでありますが、私どもといたしましては、この五千万件について、最初に柳澤大臣が自民党の宮澤洋一議員に対してお答えをいたしましたように、誠心誠意国民の不安を解消するために我々が努力をしなければならない、このように思っております。
○内山委員 いや、安倍さん、内閣総理大臣として、厳しく社会保険庁の幹部に注意をすべきなんですよ。それこそ不安をあおる行為ですよ。その記事を見て、ああ、みんななくなっている記事なのか。またテレビに出て、いずれ六十歳になるとき年金受給に結びつくから大丈夫ですなどと言うんだったら、根拠をここにきちっと示すべきですよ。何人の方がなくなっていて、何人の方が受給に結びつくのか、それすらわからないで、そんな無責任なことを言っている政府はとても私は信じられないですね。
どうですか。もう一度答えてください。
○安倍内閣総理大臣 今私が申し上げたのは、その社会保険庁の幹部、だれかわかりませんし、発言そのものは私は知りません。だから、私は、それは論評のしようがない、このように思ったわけでありまして、実際にそのようなことを社会保険庁の役人が言ったかどうかというのは、私は今は確認のしようがないわけでありますが、しかし、我々は、冒頭に申し上げましたように、年金を受給されておられる方、そしてまた年金をこれから受給される方々に対しては、しっかり注意を喚起するように呼びかけるわけでございます。
そしてまた、さらには、氏名の突合を行いながら、もしかしたらこの方には、過去に記録が、さらに年金の受給がふえるかもしれないということになれば、その旨を通知して、それは今までにやっていなかったことでありますから、さらにそれは通知を行っていく。そしてまた、これから年金を受け取られる方については、五十八歳になった段階で、これは年金の履歴を通知すると同時に、また、三十五歳、四十五歳でも行っていくわけであります。また、平成二十年にはすべての方々に通知を行っていくということになるわけでございます。
○内山委員 安倍総理が提案をなさったねんきん定期便という話は先ほど聞きましたけれども、ねんきん定期便は、年金受給者のところには行かないんですよ。年金受給者の人たちは、五千万件で、自分の受給資格に結びつく人たちはどのくらいいるかわかりません。そういう人たちに対してどうやってフォローするんでしょうか、その支払い期月のたびに。
○安倍内閣総理大臣 ですから、私が申し上げましたように、年金をこれから受け取られる方々にはということで、ねんきん定期便のお話について申し上げたわけでございます。そして、その前に申し上げましたように、年金受給者の方々にも年金の振込通知とともに注意を喚起するということを行います。そして、それプラス、年金の受給者の方々に、先ほど申し上げましたように、名前を突合しながら、もしかしたらこれは、年金について、かつて納付していた期間があるかもしれないということについて、その方々にはその方々だけに通知をする、こういうことをさらに行うということを申し上げたわけでございます。
○内山委員 先ほど、ちょうど福島委員の質問に対しまして安倍総理がお話をしたことについて確認をしたいと思うんですが、十六年度の年金改正は、給付と負担のバランスをとったと発言をされておられます。財政再計算の話がございましたので、この件についてお尋ねをしたいと思います。
まず、毎勤統計の調査、平成十九年の二月の速報では、前年同月比で見て、現金給与総額は、昨年より〇・七%減になっています。毎勤統計の十八年度分の結果速報では、十八年度の一人平均月間現金給与総額は、前年度比〇・一%増の三十三万四千三百七十四円になっています。厚生労働省は、二〇〇〇年の年金改革で、二〇〇四年に集まる年金保険料を二十六兆七千億円と見込んだが、実際には二十兆二千億円しか集まらなかった。六兆円が下回りました。この理由は何でしょうか。答弁をしてください。
〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕
○柳澤国務大臣 その主たる要因といたしましては、標準報酬の伸びが、見込みのようには伸びなかったということが主因であります。
○内山委員 これは質問通告をしておりますので。
もう一つ、被保険者数の想定が下回ったということになっているはずです。
それでは、続けて質問したいと思います。
これでは予定より六兆円少ないんですよ。年金積立金の百七十一兆円が予定より早く底をついてしまって、安倍さんのおっしゃる百年もちますということにはならないだろう、こう思っております。
そうすると、再度、保険料の引き上げをするのか、年金給付の引き下げをするのか、または所得代替率を低下させるのか、こういう方法しかないと思いますが、安倍総理、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 これまでの積立金の運用利回りでありますが、これは平成十六年の財政再計算の見込みを四ポイント上回っています。これはまさに経済が好調になっているということを反映しているんだろう、このように思います。
そして、それと同時に、厚生年金の被保険者数も見込みを百六十万人程度上回っています。これは、経済が好調になってまいりまして、いわば、非正規の雇用の方から正規雇用の方々に移る方々がふえてきたということを反映している結果、百六十万人、これはかなり大きな数字といってもいいんだろう、私はこのように思います。
こうした結果を受けて、年金財政はこの三年間で見込みよりも十二兆円程度好転をしているということは申し上げておかなければならない、こう思う次第でございます。
平成十六年の改正で構築された枠組みのもとで、我々、財政検証をしっかりと今後も行ってまいる考えでございます。
○内山委員 それでは、賃金上昇率につきましてお尋ねをしたいと思います。
平成十六年年金改正法の制度設計に使用されております賃金上昇率、物価上昇率、運用利回り、合計特殊出生率等があります。この中の賃金上昇率について確認をいたします。
「人口の変化等を踏まえた年金財政への影響」平成十九年二月六日、厚生労働省年金局の資料では、ことし、二〇〇七年の賃金上昇率は二・五%と設定をしています。二・五%ですよ。しかし、ことしの春闘ではどうでしょうか。賃上げが五百円、よくて千円ですよ。賃上げが五百円、よくて千円。平均的サラリーマンの給与、年金でよく使います三十七万円の方に該当しますと、この方、千円の賃上げが行われたとすれば、賃金上昇率は〇・二七%です。いいですか。厚生労働省年金局設定の賃金上昇率二・五%に対し、ことしの賃金上昇率を仮に〇・二七%として計算をしますとマイナス二・二三%。賃金が上がらないので保険料収入が上がらないということになります。
しかし、厚生労働省は賃金の上昇率を、皆さん聞いてください、平成二十年には三%、二十一年には三・五%、二十二年には三・八%、二十三年には四・一%まで今の賃金が上昇するという設定の見込みを立てているんですよ。これは一つ、政府の上げ潮政策を反映した努力目標で、現実的にはとても不可能な数値と言えると思います。選挙対策、所得代替率五〇%を維持することができないことを認めたくないため政治的な意図を反映していると批判されています。大臣、答弁をお願いします。
○柳澤国務大臣 私も今内山委員が指摘をされたような論旨の論文を読んだことがございますが、しかし、私ども、今回の評価に暫定的な試算ということで発表させていただいているわけですが、これは、人口推計が出ましたので、国民の皆さんから、その人口推計でもって年金の見通しを見直してほしい、どうしてもこういう期待が出るわけで、その期待にこたえようということであえて暫定的な試算を行った。しかし、法律に基づいて行われる本格的な試算というのは専門のエコノミストの先生方にお願いして計算をするわけですが、それは平成二十一年度に行う、こういう予定のものでございます。
したがいまして、今度の暫定試算というのは、明らかになった将来の人口推計と同時に、近時政府の中で発表されている数字を経済前提に使わせていただく。これは我々が独自の数値を挙げるわけにはまいりませんので、そういうことで、この近時発表されている政府の数字を使わせていただいた、そういう暫定試算である。そういうことはしっかりと我々は前提として皆さんにお知らせしながら、そうした限定的な性格のものですよということを申し上げているわけでございまして、我々が独自にまたそうした経済の指標をつくって、そして本当の見通しをするというのは、二十一年度に向けて我々がなさなければならない課題である、このように認識をいたしております。
○内山委員 このような状況が長期的に継続をしますと、保険料収入が大幅に減額になります。さらに、団塊世代の大量定年が発生をしますから、平均賃金をさらに下げる、保険料収入がさらに悪化をする。実は、合計特殊出生率が低いというよりも、賃金上昇率の方がこの百年の年金に大きく影響があるということなんですよ。この事の重大さ、どうでしょうか、安倍総理。
○安倍内閣総理大臣 私どもが申し上げているのは、二〇二六年の所得代替率が何%かということで、先ほど申し上げましたように、我々は五一%ということを申し上げたわけであります。足元の経済の状況というのはその時々でいろいろな状況がありますが、年金はまさに長期的な見通しのもとで我々は申し上げているわけでございます。
先ほど申し上げましたように、今の年金の運用も大変好調になっている。かつては一時調子が悪いときもありました。七、八年前の議論においては、今の状況でいえばあっという間に年金の財政は枯渇をしてしまうではないか、こう言われたときもありました。しかし、年金は長期的に見なければいけません。例えば株式市場の状況も大きく影響するわけでありますが、現在の段階では、例えば三年間で十二兆円好転するということは三年前にはとても考えられなかったわけでありますが、三年間で十二兆円も今年金の財政が好転をしているということは事実でありますから、そのことは申し上げておきたい、このように思います。
○内山委員 今年金の財政が好転をしているということをおっしゃられましたけれども、実は十七年度の収支決算報告がここにあるわけでありまして、九千六百七十二億が黒になっているわけでありますけれども、黒字にするために厚生年金基金の徴収金を取り崩しているんですよ、三兆四千億円も。積立金六兆二千億円も取り崩した帳じり合わせをしているということはぜひ指摘しておきたい、こう思います。
時間がありませんから、この続きはまたやりたいと思います。ありがとうございました。