第166回国会 衆議院 厚生労働委員会 2007年05月30日

○櫻田委員長 質疑を続行いたします。内山晃君。
○内山委員 本日こうして、与党提案であります年金時効特例法案の審議をすることになりましたわけであります。つい先日の金曜日、社会保険庁改革関連法案を強行採決いたしました櫻田委員長、委員会運営についてどのようにお考えになっているか、委員長にお尋ねをしたいと思います。
○櫻田委員長 国権の最高機関たる国会の中の委員会の委員長として、公平公正に行っていることに強い信念を持っております。間違いのない運営をしているという自信を持っております。
○内山委員 そういうことを、委員長、言っていいんでしょうか。
○櫻田委員長 もちろんいいんです。
○内山委員 我々も国民の負託を受けてこの国会に来ています。数の暴挙でそういうことをやっていいのか。国民は見ていますよ。ここで委員長の、信任をされたみたいなことを先ほど言いましたけれども、全国の国民が見ています。必ずや怒りの鉄槌が下るものと私は思っています。
 さて、委員長だけではなく、次にお尋ねをしたいと思います。自民党の筆頭理事であります谷畑孝提案者にお尋ねをいたします。
 審議打ち切り、強行採決を筆頭理事として指示を出された谷畑先生、今回の特例法案も、強行採決から実に三日目、準備をされたわけであります。
 私たちは、民主党の歳入庁法案、消えた年金被害者救済法案、そして年金流用を禁止する法案を出しました。私たちの民主党案が全く審議をされておりません。この法案、一体どういう扱いになるんでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
○谷畑議員 日本年金機構法案という法律は、やはり、これも国民の皆さんから預かっております年金、しかもその運用、そしてまた、国民に対する信頼をしっかりと得て、年金対象者に対して未納がないようしっかりとみんなで支え合っていく、そういう意味で、社会保険庁を解体して、そして限りなく民間手法に近い形で、組織を国民の皆さんに信頼されるためによみがえらす、こういう組織法でございます。
 私ども、この法案におきましても、三十三時間という非常に長きにわたりまして審議をしてまいりましたし、また、参考人もお呼びをし、審議をしてまいりました。そういう状況の中で、最後には安倍総理も入っていただいて、そして柳澤厚生労働大臣と一緒に、五千万件の年金記録の問題につきましても、しっかりとやはり対応をして年金受給に結びついていくようにということで、突合作業もしていく、こういう決意をいただきました。また、会計法における時効になった皆さんにおきましては、きょう審議しております特例等議員立法によりまして、時効にかかわりなく支給できるように、こういうことでございます。
 だから、私どもは、強行採決でもなければ、やはり国民の皆さんの一刻も早く不安を解消するために、最高国権機関の構成員である私ども議員としても、こういう議員立法として責任をしっかりととっていこう、こういうことでございます。
 もちろん、民主党の皆さんの議員立法におかれましても、閣法と同じく審議をしてきたところでございます。今民主党の議員立法はそのままあるというように認識をしておるわけでございまして、いろいろ理事会で協議しながら、どういう形でしていくかということをまた議論していったらいいのではないか、このように思っておりますので、ぜひひとつ、きょうのこの法案を皆さんの賛成をいただいて採決できるよう、私からも心よりお願いを申し上げたいと思います。
 以上です。
○内山委員 皆さんが出されている法案は民主党のまるで引き写しではないですか。だったら、私たちの消えた年金被害者救済法案をしっかりと審議する方がよほど国民のためになると思いますよ。
 柳澤大臣にお尋ねをしたいと思います。
 強行採決までしまして成立を急ぎました社会保険庁改革関連法案、結局のところ、政府としてやはり不備を感じられたんでしょうか、強行採決をしたその後にこのような形で、議員立法で特例法を出してこられたわけでありまして、大臣は、閣法でなぜこういうものを出そうとお考えにならなかったんでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
○柳澤国務大臣 我々、日本年金機構法案を社会保険庁の出直し的解体後の具体的な姿として御提案申し上げました。と同時に、業務運営の改善策についても法案を提出させていただいたわけであります。
 そういう法案の審議の過程の中でむしろ大きく取り上げられたのは、年金の記録問題についての御議論であったわけでございます。そういう御議論をずっと、私どもも一緒に議論をしながら考えてまいりまして、その中で、私どもとして、新しい対応策ということを提案させていただくということの中で、質疑に対する答弁という形でこれを明らかにさせていただいたわけでございます。
 そうした中で、時効の問題ということも取り上げられておりまして、これについて、迅速に対応するということが大事だということになりまして、国民の皆さんの年金のために、これもこの国会の中で法案と一緒に御議論してもらうのが適当であると。そうすると、迅速性ということになると、議員立法の方がよりこうした条件を満たす立法の方式であるということで、中身的には政府・与党一体でございますけれども、提案の形式は議員の諸先生の御指導のもとでやっていただくということになりましたので、そういうものとして提案をされているというふうに承知をいたしているところでございます。
○内山委員 五千万件の未統合のデータが、やはり余りにもこの委員会で数多く集中的に質疑になりまして、世論に火がついたといいますか、こういった状況になった段階で、社保庁改革関連法案を強引に押し通してはまずい、そういうふうにお考えになられたんじゃなかろうかと思うんです。
 こういうことをするんだったら、やはり差し戻して、もう一回しっかりと審議すべきだと私は思いますよ。これを拙速にやったとしても、私たちは、さらに年金不信は国民から払拭することはできないと思います。
 社会保険庁を解体して、どうして徴収、納付率が上がるんですか。どうして経営の効率がよくなるんですか。本体の法案審議の中身に対して、ほとんど審議されていなかったじゃないですか。
 そんな中において、櫻田委員長を初め、強行採決をされて、そして参議院へ送っていこう、これもすべて参議院選挙の日程がある、こんなようなところが見え隠れするわけでありまして、こういうことをやっていますと、国民がさらに年金不信を増大させる、私はこう思っております。
 提案されております、社会保険庁から消えた年金記録に対して、中身を余りお聞きしたくないのでありますけれども、きょう、何か一日しか法案審議がないとかということを聞いておりまして、こういう形も非常におかしいと思いますよ。これをこの委員会が終わった後に採決していく、これは大変な瑕疵があると思いますね。
 私のところに来たのが昨日の午後です。質問のしようがないですよ。いいんですか。私たちは、野党の議員だって国民の負託を受けてここに来ているんです。皆さんだけじゃないんですよ。多くの国民を皆さんが愚弄することになるわけであります。断じて許しがたい。
 しかし、今与党が出されておりますこの法案の問題点について、これから質問させていただきたい、こう思っております。お答えをいただきたいと思います。
 社会保険庁が消えた年金記録に対してミスを認めた場合は時効を撤廃する、条文には、記録を訂正したと書かれてあるわけであります。しかも、ミスを認めず、受給者のミスだという見解になった場合には、時効というものはそのまま法律で生きているわけであります。これで間違いないでしょうか。
○宮澤議員 今回の法案ではおっしゃるとおりでございます。再度裁定された場合に時効が消滅する、消滅時効を援用しない等々という制度を規定しております。
○内山委員 今、答えになっておりません。もう一度整理してお答えいただきたいと思います。
○宮澤議員 正確に申し上げます。
 今回の法案では、再度裁定が行われた場合に、「消滅時効が完成した場合においても、当該権利に基づく保険給付を支払うものとする。」という規定を置いております。
○内山委員 答えが半分しか来ておりません。ミスを認めなかった、社保庁の関係者がミスを認めなかった、私は保険料を納めたにもかかわらず認めてもらえなかった、こういった人たちはどういう扱いになるんでしょうか。
○宮澤議員 記録が訂正された場合というふうに条文で規定しております。訂正されなかった場合にはこの条項は当たらないということでございます。
○内山委員 では、それを前提に掘り下げてお尋ねをしたいと思います。
 委員会でも何度も質問をさせていただきました。社会保険事務所において入力のミスがある、社会保険事務所の職員によって入力のミスがある、国民年金保険料を集金している人たちが着服をしたということも委員会で皆さんに資料をもって御説明もしました。こういった、本人に全く過失がなくて、領収書も、そしてそれにかわる資料も提示できない人たち、これは一体どういうふうに救済されるんでしょうか。
○宮澤議員 恐らく、それはこの法律というよりは政府の方に御質問いただいた方がよろしいのかと思いますけれども、あくまでもこの法律は、訂正された場合の条文でございます。
○内山委員 大臣、ではお答えいただけますでしょうか。
○柳澤国務大臣 まさに宮澤提案者がお答えを申し上げたとおり、今回の場合は、裁定が訂正もされるわけですが、再裁定が行われた後に発生する支分権についての規定でございますから、訂正が行われるかどうか、そのことについてはこの法案はいわばカバーをしていないわけですから、今の答弁はそれでいいと私は思います。
 それでは、今委員が提起された、入力ミスで記録が行われなかった、あるいは職員の着服で記録がしかるべく登載されなかった。後者からいいますと、着服をしたケースでも、実例はどうだったかというと、たまたま記録はされたということをあのときにもお答えを申し上げております。いずれにいたしましても、入力ミスで記録が満足のものにならなかったときにこれをどうするかということについて、これが訂正にまで至るかどうかという議論については、これは個々にまた判断をされるということでございます。
 領収書がない場合に一体これをどういうふうに、いわば両者の主張が入力ミスというふうに結論づけられるかどうかということについては、今回のパッケージで五番に掲げさせていただいておりますが、記録、証拠がない場合の取り扱いということで、この取り扱いをどうするかということについて、私ども、今後早急に考え方を整理して手続等を策定するということになっているということでございます。
○内山委員 与党が提案をしております、時効の壁を撤廃する、しかし、その対象者となるべき五千万件の未統合のデータの中にどのくらいの方がいらっしゃるか、それをまず先にやってからじゃないんですか。何もきょう、急ぐことはないじゃないですか。逸失利益があって、たくさん国会に押しかけている、こういう状況で一日も早く解決をしなければならないという状況であれば、与党の皆さんと同じように、それはすぐやりましょうということにもなりかねませんが、しかし、まずやるべきことは足元じゃないですか。
 足元の五千万件を委員会の質疑で何度もお尋ねしました。柳澤大臣は、定性的に三つに分かれると、亡くなった方、年金受給に結びつかなかった方、これから受給開始年齢に達すると年金に結びつく方。まずそういったところを明確にして、年金受給に結びつく方、または現在既裁定者で年金を、この法律ができて遡及してさかのぼれる人たち、それがたくさんいるというならともかく、一体実態というのをつかんでおられますか。再裁定の今までの人数、どのくらいいるか、お尋ねをしたいと思います。
○柳澤国務大臣 ちょっと先に申し上げますが、私ども、五千万件というのは、統合ができない、そういう状況にあるということでございます。だから、私どもは、五千万件の側からアプローチするというよりも、今まず着手すべきは、受給権者の三千万人と、この五千万人のうちの、年齢に達した人あるいは生年月日が不明な人を合わせて二千八百八十万人というものを突合させて、そしてこの三千万人のうちでこちらの方と統合漏れになっている方を明らかにしようという作業が一番大事だろうということで、そちら側から実はアプローチするということを考えているわけでございます。
 また、次に御質問になられた、毎年どのくらいの裁定直しの方がいらっしゃるかというのは、かねてから、十三年度から二十二万人おりまして、たまたまかもしれませんが、平均しますと三万数千件になりますが、一年当たり大体そのぐらいの裁定の直し、修正が行われているということはかねてからお答えしているとおりでございます。
○内山委員 質問いたしました再裁定の人数、どのようにつかんでおられますでしょうか。附則の第二条に該当する施行日前に記録の訂正をした人の人数でございます。
○宮澤議員 今の御質問は、附則でございますから、既に再裁定が行われた方ということでございますが、私ども推計をしておりますのは、私どもといいましても、枠組みを我々つくっておりますが、推計自体は政府・与党一体としてやっておりますけれども、年間の再裁定者が三万七千と仮定して、抽出調査の結果、約三割程度が時効にかかるというようなことでございまして、それから、期間が平均寿命二十二年というようなことで、約二十五万件程度、既に再裁定を受けられた方の中でこの時効という部分で関係してくる方がいらっしゃるのではないかという推計でございます。
○内山委員 データの詳しいことをもう一度、ちょっと掘り下げて聞きたいと思いますけれども、この法律ができますと、二十五万件の方に対応するということになるんでしょうか。確認したいと思います。
○宮澤議員 今申し上げたのは、既に再裁定を受けられた方ということでございますから、今後、再裁定を受けられる方ということについては、正直、なかなか推計は難しいということでございます。
○内山委員 法律をつくるわけですから、予算も必要ですね。けさの日経新聞では六十億というふうな数字が書いてあります。そういった積算根拠がなくてやれるんでしょうか。
 答弁いただけるのはどちらでしょうか。お願いします。
○宮澤議員 したがって、本案施行に要する経費ということで、年金記録の訂正に係る受給権に基づき支払われる年金の支給を受ける権利のうち、消滅時効が完成したものについて現時点で見込める範囲内での推計額は、約六十億円の見込みであるというふうに推計しております。
○内山委員 推定じゃなくて根拠をお尋ねしたいんですけれども。
○宮澤議員 最初に申し上げましたように、政府・与党一致してやっておりますので、これは、計算自体は政府の方に下請に出しておりますので、政府の方から答弁させていただきたいと思います。
○柳澤国務大臣 今、宮澤委員が、再裁定の二十五万件、十三年度以降、たまたまかもしれませんが、大体年間で三万七千件ぐらいの再裁定者があるということですけれども、その再裁定したうちで、時効の期間で、あえて言うと援用を受けて、援用というか、援用しなければならないわけで、何らかの受けたかった年金を削減された方の割合が、出現率が三〇%ぐらいだった、こういうことでございます。そして、それをずっと二十二年間、今後ともそういう方がいらっしゃるという、今までのたまりの部分でございますけれども、平均寿命を考慮して追って計算しますと、今申したように二十五万件になる、こういうことでございます。
 この再裁定した三万七千件のようなものを、一体どのくらいの金額で二十五万件を評価すべきかということをサンプル調査させていただいたわけですが、そのサンプル調査によりますと、それぞれに、加入期間の訂正によったものとか、受給権の発生年月日の変更によったものとか、あるいは賞与であるとか月額報酬の訂正によったものとかというものを、割合を算出しまして、そして、今申した加入期間の訂正によるもの、あるいは受給権発生年月日の訂正によるもの、賞与、月額報酬の訂正によるもの等、二十一万件を案分いたしまして、そして、今の推計をさせていただいたわけでございます。
 もちろん、二十五万件が二十一万件でということがありますけれども、あとの四万件というのは旧の国民年金でございますので、これらについて、また別途、金額を定めました。
 そして、それぞれの時効消滅額の一件当たりの金額は、これもサンプリングの調査でございますけれども、まず、加入期間の訂正をしたものが、大体、時効消滅した額が三十六万円ぐらいである。そして、件数は、二十一万件のうちの十五万件ぐらいである。それから二番目で、受給権発生年月日の変更に伴うものが、時効消滅して削減されたのが七十五万円ぐらいである。概数でございます。それに対して案分をした件数は五万二千件くらいである。それから最後に、賞与、月額報酬の訂正に伴うものが二十万円くらいであって、その件数は八千四百件くらいであるということ。それから最後に、旧法で四万件の国民年金の人たちは、これは概数でございますが、大体八億円ぐらいである。
 これは、内山先生、メモまでとっていただいて大変恐縮ですが、答えの方を申し上げますと、まず第一の、加入期間等の訂正によるものが五百三十四億、それから二番目の、受給権発生年月日の変更によるものが三百九十三億、それから三つ目に、賞与、月額報酬の訂正にかかわる分が十七億ということで、トータル九百五十億ということに相なるわけでございます。
 そして、この九百五十億から時効消滅の期間に係るものは、大体、抽出調査の結果でございますが、五割ぐらいであるということ。それから、年金支給額のうち基礎年金の割合というのがどのくらいかと申しますと、平成八年度の実績では、年金額の四割ぐらいが基礎年金であるということ。それから最後に、国庫負担割合は基礎年金額の三分の一である。
 こういうことでございますので、九百五十億に今申した五割、四割それから最後三分の一というものを掛けますと、この九百五十億のうち、国庫負担の金額は六十億ぐらいになる。こういうことで試算をさせていただいたということでございます。
○内山委員 その資料を後ほどいただきたいんですけれども。委員会審議のときに、すべての、やはり五千万件の方たちが年金受給をするとなるとどのぐらいになるのかということは、さんざん、いろいろな委員が聞いたと思うんです。
 隠していたんでしょうか。今こうやってお答えができるということは、なぜ二十五日までの委員会できちっと提示できなかったんでしょうか。
○柳澤国務大臣 これは、まず、私、二十五日に申し上げたのは、この問題についても新しい対応策として一項入れたいということ、それを申し上げたわけでございまして、したがいまして、それ以前に出すというような状況にはなかったということで御理解を賜りたいと思います。(発言する者あり)
○内山委員 はい、そのとおりで、資料をいただきたいんですけれども、理事会に出していただけますか。
○柳澤国務大臣 これは早急に準備をさせますので……(発言する者あり)答弁は申し上げますので、ぜひさらにお進めいただきたいと思います。
○内山委員 分析をして、やはり、それからまた質疑をするということにも使える資料だと思います。(発言する者あり)
○櫻田委員長 内山晃君、質問を続けてください。内山晃君、質問事項があったら、質問してください。柳澤大臣の答弁は既になされております。
○柳澤国務大臣 いきさつをお考えいただければ、隠すとかそんなことがなかったということは、もう私、御理解いただけるだろうと思います。
 二十五日の日に、私は、年金記録の問題に対する新しい対応策を私なりに考えた結果、御提案させていただいたその一項目に消滅時効の問題を掲げさせていただいているわけでございまして、そういうことは、ある意味で申しますと、私どもとしては、定性的にこれを時効にかけて、せっかく保険料を拠出された方々に対して、これを時効ということでもって消滅させるということについては、これは考え直すべきである、こういうように考えて、その立法を政府・与党協力してやるけれども、私は迅速を重視する立場から、与党の皆さんのそうした立法作業に対して提案をしていただいたということがいきさつでございまして、したがいまして……(発言する者、離席する者あり)
○櫻田委員長 御静粛に。席へお戻りください。
 山井和則君、山井君は質問者じゃありません。席へお戻りください。
○柳澤国務大臣 その資料について、あるいは数字についてよりもむしろ、私は、ここでは非常に定性的な事柄が重要であるということを考えて申し上げている次第でございます。
○内山委員 質問封じになってしまいますので、結構でございます。
 それでは、今の数字に関して、ちょっと分析をしてお尋ねをしたいと思います。
 まず、再裁定の請求をした記録というのは、保管期限は何年でしょうか。
○宮澤議員 先ほどから申し上げておりますように、枠組み、法律としては与党で用意させていただきましたが、政府・与党一体となって資料をつくって、六十億等々ということを推計させていただいたわけでございまして、政府の側に少し答弁を求めていただきたいと思います。(発言する者あり)
○櫻田委員長 お静かに。
○柳澤国務大臣 これまで累次、二十二万件、二十二万件ということがここで論議の的になったわけでございますけれども、そのときにも、どうしてかと言われれば、十三年度以降の資料を保持されていますということでございます。そして、保存期間というものは三年間ということでございます。
○内山委員 そうしますと、附則の第二条に、既裁定者に関しては、さかのぼりで、例えば五年以上のものがあれば支払うということになっていますね。そのデータは管理されているんですか。
○柳澤国務大臣 個人の納付記録というものは管理をされておりますので、そういうことで、既裁定者の方について、今申したように、既に訂正をされているという分については、そうしたことから計算もできるというふうに考えます。
○内山委員 保管期限がなくて、何年何月に出した書類で、その方が五年以上上れたにもかかわらず、複数年、本来の受給開始年齢のところからもらえる部分の差額というのは、この法案が通った段階で、本人の請求がなくても国の方はきちっと指示をするということになっているわけですね。答弁を求めたいと思います。(発言する者あり)
○柳澤国務大臣 私が指名されましたので、お答えを申し上げさせていただきます。
 内山委員は専門家でいらっしゃいますから、これは幾つかのケースに分かれることは御理解いただけるかと思います。
 それはどういうものかといいますと……(発言する者あり)
○櫻田委員長 御静粛に。
○柳澤国務大臣 既裁定で、既に訂正もされた、つまり再裁定された、こういうものが一つあります。それからもう一つは、既裁定だけれども、まだ訂正をされていない、もし行われるとすれば、これから記録の照合等、あるいは訂正されるというものになる。それから、まだ未裁定のもの、これもまた訂正される。こういうものに対して、今度の法律はどういうふうに消滅時効の関係を律していくか、これが法律の内容でございます。
 そういたしましたときに、この既裁定者につきましては、自分が既裁定の中で消滅時効にかかって減額を受けたということについて申し出をいただくことによって、すぐ我々の方は記録を調べて対応する、こういうことを考えているところでございます。
○内山委員 提出者にもお尋ねをしたいと思います。
○宮澤議員 議員御承知のとおり、法律は法律で、細かいところはもちろん規定をしておりませんので、実際実務をする政府の方で今答弁したわけでございますけれども、今大臣のおっしゃったとおりでございます。
○内山委員 政府・与党丸抱えの提案なんですね。おかしいですよ。重要なことじゃないですか。
 特例法案の附則の第二条で、既裁定者の場合にはこれを準用すると書いてあるじゃないですか。だから、その人たちが一体何人いるのか、明確にやはり答えていただかなければ、それに対する予算措置もあるわけじゃないですか。そこをお尋ねしたいんです。
○宮澤議員 予算措置には、たびたび申し上げてきておりますけれども、既裁定者についての予算措置が、今の段階では、国費としては六十億程度見込まれるということを申し上げております。(内山委員「人数です」と呼ぶ)二十五万人と申し上げました。
○内山委員 では、さらに引き続いてお尋ねをしますけれども、この法律が通りますと、附則の第二条では、既裁定者の場合に準用する。では、その方が記録の訂正をして、二十年も三十年も前に記録を訂正した、こういった方たちが、本来十年もらえるところを五年しかもらっていなかった、そういう人たちも救済されるんでしょうか。お尋ねをします。
○宮澤議員 当然、そういうことがわかれば救済されます。
○内山委員 そうしますと、例えば、老齢厚生年金の請求漏れがありました、こういうものが遺族年金に転化をするわけでありまして、既裁定者じゃなくて、これから年金をもらおうとする方たち、またはもう亡くなった方もいるかもしれません、ここで救済をされて時効の壁を撤廃されますと本来いただける方が入ってくる、そうすると、その方が生きておられれば、老齢厚生年金や老齢基礎年金の額が変わります。お亡くなりになった場合には遺族厚生年金、こういった形にもなると思いますけれども、その遺族厚生年金というケースではどういう扱いになりますか。
○宮澤議員 まず、老齢年金が訂正された場合ということでございますから老齢年金が増額になるわけでございまして、時効にかかった部分があったときにはその部分も一時金として支払われる、こういうことになるわけですが、続いて、その老齢年金自体の額が変わるということで遺族年金の額が変わるということが起こるわけでございますが、これについても救済されるということでございます。
○内山委員 もう既に亡くなっている方もいるわけでありまして、そういった方たちの、実務的に事務処理が本当にできるんですかと非常に危惧をします。
 保険給付を受ける権利ということについてお尋ねをしたいと思います。
 会計法の規定を適用しないとすることによりまして、他の会計法を適用する案件に対し、今回、整合性がとれるのかと。時効の五年の壁を取ることによって整合性がとれるのかと非常に危惧をしておるんですが、提案者の方にお尋ねをしたいと思います。
○宮澤議員 恐らく、その点が大変我々としても議論があったところでございますし、一方で、政府の方としても、これまでの委員会の議論の中でなかなかはっきりした答弁がしにくかった部分だろうと思いますが、ここはもう政治の決断ということで、ある意味で議員立法という形で今回出させていただきました。
○内山委員 それでは、もう一度お尋ねをします。
 国に関することで永久に消滅しない債権というのはありますでしょうか。提案者にお尋ねをします。
○宮澤議員 私、余り知識がないのか、よくわかりません、その質問は。
○内山委員 そんなのでいいんですか。だって、五年をさかのぼったりするんでしょう、これから払うのに。全体的なバランスが崩れるじゃないですか。
 きょうは、法務省の御担当の方がいらしています。法務省の方にお尋ねをします。
 同じ質問をします。永久に消滅しない債権というのがあるでしょうか。お願いします。
○後藤政府参考人 民法上の債権は、原則として十年で消滅時効にかかるものとされております。
○内山委員 ですから、遡及をして再裁定をした方が、二十年も三十年も四十年も五十年も前に該当する部分というのを枠を取ったわけですから、救済をするわけじゃないですか。そういう人たちから発生するさまざまな問題というのが対応し切れるんですか。物すごく危惧を感じます。
 もう一度お尋ねをします。
 例えば税金を払い過ぎていた場合、会計法によって、取り戻しができないことが現行法であると考えます。年金給付の部分だけ会計法を今回外すというやり方は法体系に与える影響が極めて大きいんじゃないかと思うわけでありまして、わざわざ法案の中に会計法の文言を入れた事態に非常に問題が生じるのではなかろうかと私は危惧しています。民主党案のように運用で対応できる、これがより正しい方法だと考えておりますけれども、法務省の担当者の方にお尋ねをします。いかがでしょうか。
○後藤政府参考人 民法上の時効の規定は、国に対する公法上の債権については適用されないとされております。したがいまして、本法律案の時効の特例に関する規定は、民法の時効の規定との関係では影響を及ぼさないものと考えております。
○内山委員 法律に時効の特例を明記した方がよく、法体系全体へのゆがみが生じてしまう、こういうことを指摘したいと思います。
 最後に、与党の救済案のここが問題という点を指摘して終わりたいと思います。
 与党案ではほとんどの被害者が救済をされません。与党案の時効は適用除外を定めていますが、あくまでもこれは納付記録の訂正が前提となっています。これまで被保険者等の申し出により社会保険庁がみずから記録の不備を認め記録の訂正に応じたものはわずか八十四名であります。これに対し、記録の訂正を申し出ているにもかかわらず領収書等の証拠がないために記録の訂正に応じられなかった対象者は二万六百三十五人になっております。消えた年金被害者の〇・四%しか救済をされていないのが現状であります。
 さらに、正確な納付記録が担保されていない。与党案では、第四条において、政府は年金の納付記録について正確な内容とするよう万全の措置を講ずるとありますが、その具体的内容が明らかでなく、また期限も区切っていません。少なくとも社会保険庁解体まで、コンピューターデータと手書き、マイクロフィルムのデータの突合、被保険者、受給者一億人による納付記録の本人確認を実施することを明言したいと思います。
 なぜ議員立法なのか。消えた年金問題は政府の記録管理のずさんさに基づくものであります。また、今後の救済策の実施も政府が責任を負うものであり、議員立法形式をとることによって政府の責任をあいまいにするばかりか、提案者個人が政府に対する監督権を有していないことから、その国会答弁に責任を負う能力を有していない。法案の実効性、国会審議の意義について重大な懸念があります。
 最後に、ずさんな法案。法案は記録が訂正された場合、時効を適用しないことのみ記載されております。それ以外の規定は全くありません。この法律に基づいた給付を受けた場合、その収入に税金の税法上の取り扱い、所得の算定、これに伴う各種社会保険料控除等との関係、給付のおくれに対する遅延損害金、仮に生活保護受給者であった場合の生活扶助費との関係など、不明な点が数多くあります。このような点が明確にならなければ、給付を受けてもかえって不利益になることさえ考えられます。
 民主党の消えた年金被害者救済法案の審議なく与党の採決はできないと申し上げて終わります。
○櫻田委員長 午後三時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。