第166回国会 衆議院 厚生労働委員会 2007年06月06日

○櫻田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。内山晃君。
○内山委員 櫻田委員長、よろしくお願いを申し上げます。
 まず、労働三法につきましてお尋ねを申し上げてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 青木局長がきょうおられますので、急遽参考人としてお願いを申し上げたいと思います。
 私は、昨年来から厚生労働委員会で、授産施設で働く知的障害者に対して労働基準法の適用除外とする昭和二十六年十月二十五日に発した労働基準局長通知の問題点を指摘させていただきました。そして今回、五月十七日に、基発第〇五一七〇〇二号の、授産施設や小規模作業所等において作業に従事する障害者が労働基準法第九条の労働者に当たるか否かについての判断基準が示されております。その基準について、どのようになったのか、まずお尋ねをしたいと思います。
○青木政府参考人 授産施設、小規模作業所等における障害者に対する労働基準法九条の適用に関する五月十七日の通達、もう発出いたしましたけれども、これは、昭和二十六年に授産施設についての通達を出して、それに基づき行政を実施してきたわけですけれども、その二十六年通達の制定当時と異なって福祉の場における障害者の就労実態が大きく変化していることから、改めて今般、授産施設、小規模作業所等において作業に従事する障害者の労働者性の判断基準を整備したものでございます。
 新たに発出した通達における労働者につきましては、訓練生との違い、これの判断基準を設けまして、これにつきましては、当該障害者が使用者との間で使用従属関係にあれば、労働基準法第九条の労働者に該当することとなるということで、具体的には四つ挙げております。
 一つは、所定の作業時間内でありましても受注量の増加等に応じて、能率を上げるため作業が強制されている。それから二つ目が、作業の時間の延長や、作業日以外の日における作業指示がある。三つ目が、欠勤、遅刻、早退に対する工賃の減額制裁がある。四つ目が、作業量の割り当て、作業時間の指定、作業の遂行に関する指導命令違反に対する工賃の減額や作業品割り当ての停止などの制裁がある。
 こういった四つのいずれかに該当するか否かを個別の事案ごとに判断するというものでございまして、労働者に今のような制裁等があれば該当するということで考えているということでございます。
○内山委員 今の、「訓練等の計画」の中の一から四というところのあるかないか、こういう話でございましたけれども、そもそも訓練と労働というものの違いは一体何なのかということをお尋ねしたいんです。
○青木政府参考人 これはなかなか難しいところでありますけれども、労働も訓練も、ともに作業を伴うという意味で、境目をきちんとするということは大切なことだというふうに思っていますけれども、労働という概念については、労働基準法第九条におきまして、「「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」というふうに定義をされておりまして、一般的には、事業主と使用従属関係にあるか否かによって判断されるというものでございます。
 授産施設でありますとか小規模作業所等で行われる作業、これらにつきましては、障害者の労働習慣の確立でありますとか職場規律や社会規律の遵守などを目的とした訓練であるというものが多いわけですけれども、こういうものについては、事業主と使用従属関係が認められる場合にはこれは労働となるけれども、使用従属関係がない場合には労働とはならないということでございまして、先ほどの五月十七日の通達でその判断基準を示したということでございます。
○内山委員 使用従属関係、この四つの部分ということを指しておられるんだろうと思われますけれども、訓練等の計画が策定されている場合と策定されていない場合、二つにこれは分かれますね。策定をされるということは、例えば所定のフォームがありまして、それを作成し労働基準監督署等に届ける、そういうことが義務づけられているとか、必要になっているんでしょうか、お尋ねをします。
○青木政府参考人 五月十七日の通達におきまして、訓練等の計画が策定されている場合と策定されていない場合ということで分けて通達をしておりますけれども、計画が策定されている場合には、先ほど申し上げましたように四つの基準に沿っているということと、それから、作業実態が訓練等の計画に沿ったものである場合には労働者ではないということを明らかにしているわけでございまして、特段、届け出等が必要だというふうにはいたしておりません。
○内山委員 そうしますと、労働基準法の第九条に該当する、労働者と認定する、労働者以外と認定するのは、だれが認定をするんですか。
○青木政府参考人 これは、授産施設、小規模作業所等における労働者性の判断特有のものではございませんで、一般に労働者性を判断するという場合と全く同じでございまして、個別具体的に、おのずと法律関係として規定されるということでございます。
 私どもとしては、労働基準法等の施行に当たっているわけでございますので、実際、個々の事例に応じて監督官等が指導を具体的にするということになります。
○内山委員 そこをもう少し詳しくしていただけませんでしょうか。監督官の指導があって労働者として認めない、または労働者とするのか。または、施設側の経営者が、計画に沿って、その四つに該当していませんよということで、労働基準法の九条の労働者としないのか。明確に、小さいところでもわかるような、かみ砕いたお話をしていただきたい。
○青木政府参考人 これは、法律で規定されているものが当てはまるかどうかという話でございますので、その実態そのものでもう既に決しているというのが正しいことだろうと思います。
 ただ、実際の運用としては、では一体、それはどういうふうに決しているのかというのは、もう既に法律関係として決まっているわけですけれども、具体的な事例に応じて、我々は、指導する際には、監督官がその判断をして指導するということになるだろうと思いますし、個々の事業場で使用者としてその労働者の方を雇っているという場合にあっては、それは、使用者の方がまずもって労働関係法令をきちんと適用して、遵守してやっていただくということになるだろうというふうに思っております。
○内山委員 それでは、国の指導というのは、どういうローテーションで、スケジュールで行いますか。
○青木政府参考人 私どもの指導のやり方はいろいろあります。一番基本的なところは、監督官が個々の事業場に立ち入りをすることができます。立ち入って、実際の作業状況を見たり、あるいは帳簿、書類を検査したりいたしましてやる。これは、全国で大体三千人ぐらいの監督官を用意しておりまして、事業場臨検監督と言っておりますけれども、こういったものが年間十二万件とか十五万件とかいう数字がございます。
 それだけでは、多くの事業場に対しまして全部やるというわけにもなかなかまいりませんので、集団的な指導ということで、業界団体を集めて、そこの傘下の事業主に対して一遍に指導をするというような手法も講じているところでございます。
○内山委員 それでは、これからの計画、どのようなものがありますか。
○青木政府参考人 私ども、大変多様なニーズがございます。いろいろな産業あるいはいろいろな職業ということがございますので、それぞれ、毎年、計画を立てまして、とりわけ問題が多いと認められる産業、事業場、そういったものに対して重点的に立ち入り監督をやっているという状況でございます。それは、計画的、かつ基本的には事業場には事前通告なしに立ち入って検査監督をするということでやっております。
○内山委員 何でこんなことを細かく聞いているかといいますと、私が指摘をしました昨年十二月現在のときにおいて、明らかに労働者としての扱いをしなければならない、そして最賃法違反であるというような事業所が数多く見受けられたわけでありまして、こういう通知を変えて、やはりきちっと周知をしなければ改善されないだろう、さらには、定期的に、例えば一年に一遍とか、これはもうやはり足を運んでいただかなければ改善はされない、こう思うわけでありまして、その辺の計画、もう一度お尋ねをしたいと思います。
○青木政府参考人 委員が御指摘になりましたように、いろいろな基準を定めまして指導いたしましても、やはりおっしゃったように、周知をするというのは大切だというふうに思っております。そういった努力は私どもとしてもきちんとしていかなければいけないだろうというふうに思っています。
 それで、立ち入り監督につきましては、先ほど申し上げましたように、三千人ぐらいの監督官で、全体、事業場が四百万から五百万ぐらいありましょうか、それを単純に延べてやりますと、実は二十五年とか三十年に一遍立ち入るというような話になってしまいますので、先ほど申し上げましたように、問題が多いと認められるような重点的なところに絞ってまず監督に入る、あるいは、さまざまな情報、そういったものを平生から入手することに努めまして、そういった労働者の保護に欠けるような事業場、産業、そういったところを重点的に、計画的にやるということをやっているところでございます。
○内山委員 二十年から三十年に一回しか事業所を訪問できない、これでは、一体どういうふうになっているかわからないですよ。これはもう、もっと早くきちっと手を打ってほしいですね。
 例えば、次に続けますけれども、この通知の中に、障害者または保護者との間の契約について、対等な契約は地位的立場から結ぶことは難しいと私は考えておりまして、施設側は今でも、嫌なら来なくてもいいですよ、こういうスタンスですよ。障害者、ましてや親はやはり社会参画させたいために、これは障害者または保護者との間の契約について、対等な契約はとても難しいんじゃなかろうかと思いますが、その辺、どういうふうに指導されますか。
○青木政府参考人 もちろん、先ほど来申し上げておりますように、小規模作業所、授産施設におきましては、訓練と労働と両方の場面があるわけです。
 私どもとしては、労働の場面につきましては、先ほど来申し上げていますような指導監督に努めているところでございます。一たん労働者性ありということであれば、ひとしく労働関係法令が適用されるということでありますので、そういう意味では、労働条件をきちんと明示するとか、そういったことについては罰則をもって強制をされるということでありますし、私どもはそれを執行していくということでありますので、一般の労働者と同様に、委員がおっしゃったように規則、基準の周知をまずもってすると同時に、個別に指導することについて努力をしていきたいというふうに思っております。
○内山委員 自立支援に必要な生活費を当然稼がなければならないわけでありますけれども、施設においても、最低賃金法が適用される労働者とみなされる必要があると考えますけれども、いかがでしょうか。
○青木政府参考人 障害者の方が自立して生活をするためには、一般就労への移行の促進を図るということが大切でありますし、授産施設で働いている労働者たる障害者の方々の、工賃水準の引き上げを図っていくということも大切だというふうに思っております。
 施設で作業に従事する障害者の方についても、先ほど来申し上げていますように個別の事案ごとに総合的に判断をしまして、使用従属関係が認められる場合には労働者に当たるわけでありますし、当然のこととして最低賃金法も適用されることとなります。おっしゃったとおりであります。
○内山委員 もう一点だけ、この件についてお尋ねをします。
 通知の「基本的な考え方」の中において、「なお、当該小規模作業所等における事業収入が一般的な事業場に比較して著しく低い場合には、事業性を有しないと判断」する、こうありますけれども、「著しく低い」という基準を教えていただけますか。
○青木政府参考人 五月に出しました通達の中で、御指摘の部分についてでございますが、これは障害者の方々が作業をしていらっしゃる授産施設でありますとか小規模事業場特有の問題ではありませんで、まず一般に、事業場における事業か、事業性があるかどうか、それからそこで実際に作業をしているのが使用従属関係、労働関係に当たるかどうかという判断をする場合に、事業収入が一般的な事業場に比較して著しく低い場合には事業性がないというのが一般でありますので、これは、一般的にこういう基準でどの場合も考えているということでございます。
○内山委員 その著しく低いという数値的なものは何かありませんか。
○青木政府参考人 これは事業、業種によって多種多様、事業活動は多種多様でございますので、それからボランティア活動とかそういったものも多種多様でございますので、この基準を一律に定めているということはございません。
○内山委員 では、これはだれが判断するんですか。
○青木政府参考人 これも先ほど申し上げましたように、労働基準法、法律の解釈をしているものでございますので、法律関係がその実態に対して直ちに効力が発生するかしないかということでありますので、法律的にはもうそこで既に決しているということだと思いますが、我々が監督指導する際におきましては、監督官が個別に立ち入ったときに判断をするということになります。
○内山委員 それでは話題をかえまして、年金のことについてお尋ねをしたいと思います。柳澤大臣。
 ここで、強行採決が続きました。純粋に、なぜ法案審議を急ぐんだろうかと本当に思っております。日本年金機構法案の問題点というのはたくさんある、私たちはこう考えております。今、幾つか述べさせていただきたいと思うんです。
 社会保険庁改革と言っても、給与は全額税金で賄う、隠れ公務員である。年金保険料の流用が、年金広報や年金教育まで流用される。職員は国家公務員法の適用対象とならず、天下りが可能である。不祥事を繰り返してきた社会保険庁職員の多くが日本年金機構に移るにもかかわらず、新しい機構には不正防止策というのが見えません。特殊法人化により機構の理事は、さんざんここでもお話がありましたけれども、国会へ出席義務がないんではなかろうか。そして、消えた年金記録、五千万件の基礎年金番号へ未統合の被保険者記録の対応も不十分でありました。
 なぜこのような状況で法案の審議を急ぐのか、どうも私は理解できないんですが、大臣の御答弁をいただきたいなと思います。
○柳澤国務大臣 私ども、社会保険庁の抱えるいろいろな問題の表面化によりまして、年金において最も大事な国民の信頼、いわばこの一翼である事業運営に対する信頼というものが非常に危機に瀕しているという状況を認識いたしておりまして、これについては一刻も早く事業運営組織の立て直しを行いまして、国民の皆様の年金に対する信頼を回復することに資させたい、こういうふうに考えたところでございます。
○内山委員 それでは、何もこれはもう与野党で対立する問題ではありません。政争の具にすることでもありませんから、やはりじっくりとやるべきだったと私は思います。それはとても残念でならないというのが、大臣の答弁を聞きましても、やはりそれだけなのかなと非常に残念な思いでなりません。
 それでは、今与党が出しておりますビラにつきまして、絡めてお尋ねをしたいと思うんです。さきの委員会の質疑では、与党は政府と一体となって対応をしているということを御答弁しておられましたので、厚生労働大臣にお尋ねをさせていただきたい、こう思うわけであります。
 まず、基礎年金番号に未統合の被保険者記録五千万件、今後一年間で処理するということを計画しておられるようでありますけれども、どのような流れ、どのようなシステムで処理をしていかれるのか、御答弁をいただきたいと思います。
○柳澤国務大臣 この五千万件のいわば未統合の記録を、何とかして、現在の基礎年金番号の形でファイルしておる年金の受給権者及び被保険者に統合いたしたいということでございまして、その日程につきましては、今後一年間の間にプログラムを開発して、そして、今申した年金受給者及び被保険者の記録と五千万件の記録の名寄せをいたしたい、こういう考え方でございます。
 まず、私どもとしては年金受給者から取り組みたいと考えておりまして、名寄せの結果、同一人の可能性がある方には、来年の六月から八月まで、三カ月の間に、今言った可能性がある旨の話と御本人の加入履歴をお知らせする。それから次いで、被保険者で同一人の可能性のある方には、九月から、先ほどと同様に、その旨と御本人の年金加入記録をお知らせして年金記録を確認いたしたい。また、名寄せによって一致しなかった年金受給者に対しましても、九月から御本人の年金加入記録をお知らせして年金記録を確認していただく、こういうことを考えているわけでございます。
 そういうことで、一年間でプログラム開発と名寄せを完了した後に、今申したようなそういうスケジュールを想定いたしまして、そのスケジュールに従って最終的な確認作業をしてまいりたい、このように考えているということでございます。
○内山委員 鴨下議員はテレビで、コンピューターのソフトをつくればすぐにでも五千万件とそれから年金受給者、突合ができるようなことを何度かお話しされておりますけれども、その仕組みがどうもよくわからないのであります。コンピューターのシステムをつくるとしても、これは相当な時間が、設計から組むに当たってもかかろうかと思うんですが、その辺の流れを詳しく、お持ちでしたらお話をいただけますでしょうか。
○柳澤国務大臣 これはかなり専門的なことになって、私がどこまでつまびらかに御説明できるかについては委員の御判断によるしかないんですけれども、基本的に、今、年金の記録と給付の関係というものについては別のシステムになっているわけでございます。前者は三鷹にあるし、後者は高井戸にある、こういうことでございまして、この両ファイルを突合するということになりますので、これは、その突合のためのプログラムの開発というものが基本的に必要になってくるということでございます。
 そういうようなことで、今までこれは全くやったことのない作業でございますので、かなりの時日がかかるという今の委員の指摘も、私ども、それに対して何か反論して、簡単だと言うつもりはございません。
○内山委員 より掘り下げてお尋ねをしたいんですけれども、システム設計、これはやはり膨大な期間と費用がかかろうかと思うんですが、どれくらいを見込まれておられますでしょうか。
○柳澤国務大臣 これにつきましては、今現在は、いろいろとこちら側の注文というかがございまして、それを固めて、しかる後に、いろいろとお願いをする、そのプログラムの専門の方々と協議をするということでございますので、今現在、私が時間であるとか費用であるとかということを明確に申し上げるという段階には至っておりません。
○内山委員 でも、一年でやると明言されておられるわけでありますから、非常にやはり、大丈夫なのかなと本当に危惧をしております。
 物理的なことをちょっと申し上げてみますと、五千万件の名寄せを一年間でやるとすれば、五千万件割る三百六十五日とすれば、一日当たり十三万六千九百八十六件という数値になります。これを全国三百十二の社会保険事務所で仮に担当するとすれば、一社会保険事務所が一日当たり四百三十九件の処理。それで、労働時間八時間と置きかえますと、時間当たり五十五件の処理をしなきゃいけない。一分に一件、処理をしなきゃいけない。こういう処理をしなければならないわけであります。
 しかも、日中は通常の業務でコンピューターが回っているわけでありまして、夜回せるだろう、こういう話はあるんですけれども、これはなかなかメンテナンス等で夜は業務で回せないという部分があるわけですね。
 そうすると、やろうとしたら、どうやってコンピューターを突合のために回していけるんだろうか、そんな危惧もしておりますけれども、その辺、大臣、何かおわかりになっておられるか、後ろからアドバイスをいただいているようでありますけれども、お話をいただけますでしょうか。
○柳澤国務大臣 この仕事は基本的に業務センターにおいて集約的に行うということが第一点でございます。なお、コンピューターの稼働時間というものは、これは工夫をして生み出していかなければならない、このように考えております。
○内山委員 次に、そのシステムが稼働し始めたときに、では、五千万件のデータと今現在生きているデータと突合していく、それらしい人が出てきたときに、実務的にどうやって判断をされていくんだろうか。これも非常に危惧をしております。
 三千万人に対しては、二千八百八十万件の突合を行い、残り二千百二十万件を六十歳未満の方と突き合わせる、こうあります。六十歳未満の被保険者と突き合わせるということなんでしょうか。この六十歳未満の被保険者は一体何名というふうに把握されておられますか。
○柳澤国務大臣 先ほども我々の今回のプロジェクトの日程的なことはお話をさせていただきましたが、要は、二千八百五十万プラス生年が不詳の者三十万を加えて二千八百八十万ということになるわけでございますけれども、これと三千万の受給者を突合するということでございます。それが一つ。
 それから、被保険者については、今、七千万ということでございますので、年齢層であと残った者は二千百二十というふうになるんですが、二千百二十にも、また三十というものは加えなきゃならないということで、これと七千万を突合するということになると思います。
○内山委員 ですから、この二千百二十ですか、これを現役の被保険者六十歳未満の人と、約七千万から六十歳以上の被保険者を引いたら、そんなに数は減らないと思いますけれども、この作業も膨大な作業じゃなかろうかと思うんですよ。これは、とてもとても一年の中で作業できるとは私は全く判断できないんですけれども、本当に大丈夫ですか。いかがでしょうか。
○柳澤国務大臣 私どもも大変な作業だということは考えておりますけれども、基本的に、コンピューターシステムということ、ある意味で大数処理というものがコンピューターの特徴的な機能と考えておりまして、まずコンピューターによる突合、名寄せということがございます。
 もちろん、そのためには非常にしっかりと仕組まれたプログラムというものが必要だと思いますけれども、こういうことがまず基本にあって、その後、必要な作業を伴って、一年間の間に名寄せとしては終了いたしたい、このように考えているというところでございます。
○内山委員 この五千万件のデータからは、既に亡くなった方の扱いというのはどのようになるんでしょうか。住基ネットでこの死亡者との突合ができるんでしょうか。また、亡くなっている人には通知をされないんでしょうか。お尋ねをします。
○柳澤国務大臣 亡くなった方の記録ということでございますが、この方々は一義的には遺族年金の受給者がその記録と関連がある、こういうふうに我々考えておりまして、遺族年金の方々の背後にある被相続というか、その対象になった元受給権者の加入履歴というものを把握するという作業を通じまして、そういったことで突合は遺族年金の基礎になった元受給権者との間の突合を行うということになろうかと考えます。
○内山委員 亡くなった方には通知は出るのでしょうか、出ないんでしょうか。
○柳澤国務大臣 これは、遺族年金の方に対して御通知を申し上げるということになろうかと思います。
○内山委員 すべて遺族年金に転化するとは限らないわけでありまして、未支給で遺族年金につながらない方もいらっしゃるわけでありますから、そういう未支給で遺族年金には行かないような方には通知はされますか。どうでしょうか。
○柳澤国務大臣 ここは大変私どもの悩みでございますけれども、今の委員の御質疑に対して素直にお答えするとすれば、これは通知のあて先がないということになりまして、一般的な御注意の広報をもって、こういう方々はぜひ御注意くださいというような方で相続だとかそういう問題が絡んでいくんだろうと思います。
○内山委員 同じように、受給資格のない方にも何か通知を送らないとかというようなことを耳にするんですけれども、それも本当ですか。
○柳澤国務大臣 これは当初私どもが考えたことでございますが、受給権を持つに至らなかった方々に対して、もし仮に統合したら受給権が発生するというようなケースを想定すると、これは当然放置できないわけでございます。
 そういう観点から、こういう方々に対してもやはり御通知をしなければならない、そのあて先はどうして見つけ出すことができるだろうかという問題を設定いたしまして、現在のところは、それは介護保険の方々に対して、年金をもらっていればそこからある意味で控除されるという形で保険料が納まったりするわけですが、そういうことができないということに着目をいたしまして、そういう介護保険の関係ということで手繰ることができるだろう。そのためには、やはり市町村の方々に御協力を呼びかけなければならない、このように考えているわけでございます。
○内山委員 受給資格のあるなしにかかわらず、やはりそれはすべて送っていただかなければならないと思うんですね。記録だけでは受給資格を判明することが不可能な、例えば合算対象期間というようなものを使って受給資格を得る、特に女性なんかの場合、こういう記録が見つかることによって受給資格が発生するという可能性が十分あるわけでありますので、ぜひそこは慎重に処理をしていただきたいな、こう思うわけであります。
 それから、五千万件のデータそのものの中身についてお尋ねをしますけれども、厚生年金であれば、一件のデータの加入記録が、例えば五年あるのか二年あるのか、数カ月で終わっているのか、こういったところの一覧表というのはとれないんでしょうか。生年月日によって、被保険者の分布はいただきましたけれども、五千万件それぞれの加入した被保険者記録の一覧、これはとれますか。
○柳澤国務大臣 厚生年金の場合の方が多いわけでございますけれども、しかし、今現在は、我々が御提出申し上げました年金の年齢階層別のデータというものがあるにとどまっておりまして、その方々がどのぐらいの期間保険料を納付されておった方々であるかというようなデータは持ち合わせていないのでございます。
○内山委員 時間がなくなりましたので、少し飛ばして質問したいと思います。
 与党の第三者機関の設置に関しては、私は、了と認めるものではありませんけれども、一言申し上げたいところがありますので、お話をしたいと思うんです。
 総理大臣は、第三者機関は弁護士と税理士で構成されるとさんざん街頭でもお話をしておられます。二十五日に強行採決をしました国民年金法等の一部を改正する法律案の中には、「社会保険労務士に係る社会保険・労働保険の保険料の納付の促進」の中で、「社会保険労務士は、社会保険・労働保険に関する法令に基づく申請書等の作成及び手続の代行や相談・指導等を業務としており、その専門性から特別な地位が認められている主体」であるとして、ゆえに社会保険料や労働保険料を自主的に納付しなければ業務の停止の懲戒処分を行うという内容が書かれた法律でありました。
 しかし今回、第三者機関の構成員の中に、年金の国家資格である専門知識を持った社会保険労務士の言葉が全く入ってこない、なぜ取り上げられないのかということを大変率直に疑問に思っておるわけでありますけれども、大臣の答弁をいただきたいと思います。
○柳澤国務大臣 総理が、第三者委員会に加わっていただくべき専門家として、弁護士、税理士というような具体的な資格の名称を挙げられたことは、私もよく承知をいたしております。
 第三者委員会の具体的な構成につきましては、私どもとして今現在いろいろと検討させていただいておりますけれども、私は、社会保険労務士の方には当然参画していただくべきものだ、このように考えております。(発言する者あり)
○内山委員 サービスとは何ですか。当然じゃないですか。
 自民党のビラに記載されていることについて、再度お尋ねをしたいと思います。「オンライン化されていないが、マイクロフィルムや市町村にある記録についても手作業で突き合わせいたします」と。
 ところが、マイクロフィルムに収納されている被保険者数、市町村に記録がある被保険者の人数というのは一体どのぐらいあるのか、つかまれておれば御報告をいただきたい。
○柳澤国務大臣 厚生年金につきましては、内山委員もよく御存じのとおり、マイクロフィルムに保存をされております。それから、国民年金については、いわゆる特殊な名簿ということで、特殊台帳についてはマイクロフィルムで保存がなされている、こういうことでございます。その他、今お触れになられたことで申し上げますれば、市町村にも名簿が残っているものもあるということでございますが、今現在、それぞれの資料の量というものについて把握をいたして、そして委員にも御答弁申し上げるというような状況にないわけでございます。
○内山委員 しかし、この与党のビラには、あたかもできますというような感じで書かれているわけですよ。これは非常に国民を欺く行為じゃないでしょうか。できもしないことを書くのを誇大広告とか詐欺広告というわけでありまして、これを見た国民が一体どう思うか。
 さらには、このビラの中に一つ非常に思うものがありまして、ちょっと時間をオーバーするかもしれませんが。
 基礎年金番号ができたから、宙に浮いている人が、これは逆に言うと判明したんですよ、大臣。基礎年金番号というものができたから……
○櫻田委員長 内山晃君に申し上げます。申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力願います。
○内山委員 ほんの少し下さい。お願いします。
 宙に浮いている人が判明したんです。ですから、この自民党の配りましたビラ、基礎年金番号導入時の大臣はだれかなどと、また、菅さんや民主党を批判するビラを配っていることはとても理解できないんですけれども、大臣はどう思われますか、所見をいただきたいと思います。
○柳澤国務大臣 私は、基礎年金番号というものの導入は結論として正しかった、もう一元化しなければ処理を的確にすることはできない、こういうふうに思います。
 ただ、その際に、こうして過去の記録が何口かあるということも認識していたはずですから、それをいかに統合するかということを、やはり制度設計の段階で何とか工夫できなかったか、そういう残念な気持ちもあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、どなたがということではなくて、この間の処理については、やはりこの経緯、それから場合によっては責任の所在というようなことを踏まえて、しっかりと検証をしていくということがなければならない、これだけの大ごとになっているわけですから、そのように考えておりまして、これはまた有識の方々にお集まりいただいて、しっかりした検証をさせていただきたい、このように思っております。
○櫻田委員長 以上をもちまして内山晃君の質疑を終了いたします。