第168回国会 衆議院 厚生労働委員会 2007年11月28日
○茂木委員長 次に、内山晃君。
○内山委員 民主党の内山晃でございます。
委員会は、国民のために議論をする場でありまして、私は、政治は生活だと思っておりますので、真摯に議論をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いをいたします。
質問通告の順番を少し変えまして、ねんきん特別便からお尋ねをしたいと思います。
来月の十二月より、年金受給者また被保険者に対してねんきん特別便をお送りするというスケジュールになっておりますけれども、私は今まで大変勘違いをしておりまして、このねんきん特別便には、宙に浮いた五千万件の、お勤めになった会社名とか期間とか、こういったものが記載をされているものだと思っておりました。
しかし、よくよく見てみますと、こういうものが全く記載をされておりませんで、こういうものを送ったところで、本当に年金記録、加入していた記憶を呼び起こす材料になるんだろうかと非常に危惧をしておりますけれども、御答弁をいただきたいと思います。
○石井政府参考人 御答弁申し上げます。
ただいま、ねんきん特別便における結びつくと思われる記録についての取り扱いに関して御質問をいただいたわけでございます。
この五千万件の年金記録につきましては、本年七月五日の政府・与党で決定した御方針に基づきまして、来年三月までを目途に名寄せを実施する、そして、その結果として、記録が結びつく可能性がある方に加入履歴を送付させていただきまして、記録の確認をお願いするというのがそもそものお約束でございます。
それで、その結びつくと思われる記録そのものをお送りするかどうかということについてでございますけれども、これまでも御説明をさせていただいておりますように、この名寄せそのものは、氏名、生年月日それから性別、この三つの条件が一致するかどうかという点を一つの要するにキーにしているわけでございまして、住所の情報とかそういうものは入っていないわけでございます。そういうことからいたしますと、一つの記録が複数の方に該当する、そういう場合もあるわけでございまして、したがって、この三条件合致だけで同一人と断定するには十分ではないというふうに考えているわけでございます。
そのようにして断定することができない以上は、別人に年金個人情報を送付してしまうという可能性も否定できませんし、また場合によっては、御自身の記録でないものを御自身の記録であるというふうに、例えば勘違いなさるといった御回答をいただくというような事態の発生も可能性としては否定できないということでございまして、したがって、結びつくと思われる記録そのものを送付するということは適当ではないというふうに考えているわけでございます。
そういうことで、恐縮でございますけれども、私どもの方といたしましては、既に基礎年金番号に結びつけられている加入履歴を特別便にきちんと記載してお送りし、そして、あわせてメッセージとして、結びつくと思われる加入記録がありますよということをお知らせすることで進めさせていただきたいというふうに思っております。
基本的には、御本人の記録であることを確定するためには、やはり御記憶をきちんと喚起していただいて、それをもとに一つ一つ確認を行っていくということが重要であるというふうに考えております。そのことを要するにきちんと確保するために、電話あるいは来訪による照会あるいは相談……
○茂木委員長 簡潔にお願いします。
○石井政府参考人 はい。そういったもので丁寧に対応していきたいというふうに思っているわけでございます。
○内山委員 御丁寧な答弁をありがとうございます。時間が限られておりますので、簡潔にお願いしたいと思います。
しかし、本人はこういう手がかりがなければ、送られてきてもわからないわけじゃないですか。だからこそ請求漏れになっているわけじゃないんですか。そういう人たちに対して、どうやって救済するんですか、大臣。
○舛添国務大臣 内山委員が受け取る人の立場から今御指摘なさった。私も、まず最初、全く同じ疑問を抱きました。それで、今政府委員が答弁したような問題点もあると。そこで、何とか解決策がないか。
例えば、私、受け取りますね。そうすると、ずっと書いてある。ところが、三年間分だけが、何も書いてない部分が、これは確実にあります。それで、もらったときに、今度、もらうということは、あなたの記録で、どこか飛んでいたのが、今作業をしたら、そこが埋まる可能性がありますよというので来ているので、ああ、そうか、この三年分は何か発見できたんだなと。ただ、今言ったように、成り済ましとかいろいろな、ほかの人が取ったらいけないので。
ただ、もう一つ前提として、既にわかっているものについても、もう一遍確認していただく。これが間違っているとまたいけませんから、その作業が一つあります。
今言った、三年あいているところを社会保険庁が見つけてくれたんだなと、これは、もらった以上は大体予測つきます。それで、フリーダイヤルで電話番号、それから窓口、これを今少し増設して、きちんと対応できるようにします。ですから、既存のところについて間違いなくても、私は全員が電話をかけると思います。
つまり、受け取るということは、いわゆる消えた年金記録が、自分のものがあったことを発見したからその届けが来たんですね。それから、長妻委員がこの前御指摘したとおりに、記録漏れの可能性がありますよと封筒に大書特筆するように変えましたから、もらってそれを見ると、これはあるなということを思いますから、必ず、既存の出ているところが間違っていなくても、そこについては電話してくる。電話してくれるようにお願いしますので、ですから、ほぼ全員がそういうふうに、それで、電話でお答えして、では、あなた、こういう記録なんですけれども、御本人で、これでよろしいですね、それで確認という、非常に手間がかかるんですが、成り済ましとかなんとかいう……。
それで、なぜこれをやったかというと、今は三つの要素があって、重複期間も合っているから、実を言うと、最初は、今委員がおっしゃるように、私も、ここはもう出したってそんな成り済ましのようなことはないんじゃないかと思いましたが、二次名寄せをやったりするときに、要素が二つであったりすると複数の人のデータが出てくる可能性があるので、そのこともあるので、慎重にそういう体制をとって、マイナスをできるだけ少なくするために、御不便をおかけすることはあると思いますけれども、きちんと電話や窓口で対応して答えを出したい、そういうふうに思っております。
○内山委員 大臣のお考えはよくわかりますけれども、電話をしてきたときに、事業所の手がかりすら本人はわかっていないわけですよ。
では、どうやって対応するんですか。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
内山委員もそこら辺のノウハウは、ある程度というか非常にといいますか、御承知ではないかというふうに思いますけれども、お送りした特別便の、今大臣の方からも申し上げましたような、加入履歴の中の空白部分、ここに要するに該当する可能性というものがあるわけでございますので、手元に留保しておる記録、結びつくと思われる、その可能性のある記録、これに一定の情報がついてございますから、例えばその記録にかかわる事業所名だとか所在地だとか、そういうものを御記憶で喚起していただいて、それが記憶の中から出てくるかどうか。
そういうふうな形で、いろいろな角度から、直接的なヒントにはならないような注意をしつつ、その御本人の記憶喚起のお助けをして、そして、それらの積み重ねの結果として、記録についている属性と情報的に合致するというあたりを確認して、そして最後、結びつけというような手順に至る、このように現場では進められているというふうに承知しております。
○内山委員 それでは今の社会保険事務所の窓口の年金相談と同じなんですよ。窓口のウィンドウマシンで会社名、そういったものを言わなければ自分の年金加入記録に結びついていない人がたくさんいるんですよ。
では、お電話をしてきた受給者または被保険者は、会社名、そういったものがわからなくても、電話の対応は、何かヒントとかそういうものを教えてくれるマニュアルになっているんですか。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、そうしたやりとりの基本は、現在、例えば来訪相談、電話相談、そうした場においてお寄せいただいている相談、ここで用いられているノウハウというものをベースに対応させていただくというような形になろうかと思いますけれども、ねんきん特別便の関係の業務を円滑かつ迅速に進めるために、私ども、一方では、おっしゃるような業務マニュアルというものを用意しようということで、現在取り組んでございます。
○茂木委員長 今の答弁でいいんですか。
○内山委員 だめですから、もう一回聞きます。
そういう何らかの手がかりを示さなければ、電話してきても同じだと言っているんですよ、私は。だからこそ、大臣も言いましたけれども、これは書くのは限界があるかもしれない。だけれども、そういう何らかの手がかりが私はそのねんきん特別便にあるものだと思っていた、全くきのうまでそう思っていた。だから、そういうものが送られてくれば、ああ、私の記録かもしれないといって問い合わせをする、返信はがきを送るかもしらぬ。しかし、加入していたことすらわからない人がたくさんいる。そんな手がかりが、電話して、相手から何らかの記憶を呼び戻すようなものを言ってくれなければ救済されないじゃないですか。
これは何件発送するんですか、一億件出すんですか。年金受給者三千万人、被保険者七千万人、相当な費用じゃないんですか。だったら、もっときちっと精査して、わかりやすいものを出すべきなんじゃないんでしょうか。どうですか、大臣。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
ねんきん特別便そのものにおける、その結びつく可能性のある記録についての記述、これは、大変恐縮でございますけれども、具体的にどのようなものか、あるいはそれがどのようなものであり得るか、そういったものの例えばヒントにつながるような記載というものをする予定は、実は先ほど申し上げたような心配もございますので、する予定はないわけでございますけれども、実際、特別便を発送してからいただくさまざまな電話なり来訪での相談において、的確に結びつけていくようなというか記憶を正確に呼び戻してさしあげられるような、要するにそういう丁寧な手順、方法、そういったものをできるだけきちんと書くような方向で整理をしていきたいというふうに存じます。
○内山委員 それは、きちっと、どういう対応をするのか、マニュアルを後で示してください。そうしなければ、こんなの何度やったって同じですよ。税金の無駄遣いですよ。
舛添大臣、来年三月までに年金記録の照合を終わらせると、安倍前総理もそういう話をされました。大臣は、三月までに、この状況だと、どう思いますか。私は、今ねんきん特別便を、受給者または被保険者、記録が結びつくであろうという人たちに十二月から送るとしても、これを、返信を待って、また電話の対応を待って結びつけていくなんというのは相当な時間がかかると思いますよ。どう思いますか。
○舛添国務大臣 その問いにお答えする前に、委員もお手元にお持ちだと思いますけれども、封筒だけじゃなくて、一応このお知らせの中に、米印をつけて、五千万件の確認中の記録の中にあなたの記録と結びつく可能性のある記録があるためにこれをお知らせいたしますということなので、これは、いろいろ今委員が御指摘のような、十分でないところもあると思いますので、この特別便を発送するとき、いろいろな機会に、広報活動を通じてできるだけそれは補いたいと思います。
それから、そういう作業の日程、工程ですけれども、基本的に七月五日の政府・与党の工程表に基づいてやっている。これは、電話の回線をふやしたり、窓口の対応をふやしたり、そういうことをして、全力を挙げて、予定どおりに消化できるように今からやっていくということでございます。
○内山委員 このねんきん特別便の封筒の文言が、長妻議員によって改正をされました。
私も一点指摘をしたいと思うんですけれども、大臣のサインの欄の上に「あなたの加入記録をお確かめください」というところがありますね。このところに、文章として「このお知らせは、基礎年金番号に結びついていない五千万件の記録の中に、あなたの記録と結びつく可能性のある記録があるため、お送りしています。」こうなっていますね。
私は、これでは甘過ぎると逆に思うんですよ。同封した年金記録のほかに、あなたに該当するかもしれない年金記録が発見されましたとすべきじゃないですか。御意見をいただきたいと思います。
〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
今委員から御提案のあった文言でございますけれども、趣旨そのものは、そこに私ども記載させている案と同じだというふうに思っております。
ただ、私どもは、一つやはり注意しなければいけないのは、そういう可能性があるものが出てまいったということをきちんとお知らせして、そして記憶を喚起していただくように促させていただくと同時に、一方で、先ほど申し上げたように、複数の方に一つの記録が、あなたのものではないですかというような形で照会が参る、そういうこともあるわけでございますので、過剰な期待をお一人お一人に抱いていただくということも、これはできるだけ抑えるようにしなければいけないという、そこら辺の兼ね合いを考えて、バランス的にそのような表現にさせていただいている、こういうことでございます。
○内山委員 今のお言葉を返すようですけれども、過剰な期待というのは何ですか。あなた方の手続が不手際だったから五千万件の記録が残っているんじゃないんですか。言葉を撤回してください。
○石井政府参考人 今、私の答弁の中に不適切な部分、過剰というような部分が適切でないということでございますれば、これは撤回させていただきます。
○内山委員 注意をとにかく喚起するということは大変必要なんですよ。
大臣、最後にもう一度。
○舛添国務大臣 今の委員の御趣旨を踏まえて、私、実はこれは、役所だけではなくて、いろいろな一般の方々に、例えば私の周りの人にも、現実に年金をもらっている人にも全部見てもらって、直せるだけ直したつもりでいます。
しかし、今のような御指摘もございますので、この特別便を出しますときに、記者会見をやる、それからいろいろなメディアにも出させていただいて、こういうことです、ですから、基本的に、こういうあなたの、まさに発見されていますというような言い方をするかどうかはちょっと検討させていただいて、厳しくもっと強く注意を喚起して、必ずお答えください、そういうふうに申して準備をしたいと思います。
○内山委員 では、よろしくお願いいたします。
それでは、質問をかえまして、与党提案の厚生年金の保険給付及び保険料の納付の特例に関する法律案についてお尋ねをしたいと思います。
まず、この法案で、具体的にどのような事例が救済の対象となるのか、お尋ねをいたします。
○大村議員 お答え申し上げます。
私どもが提案をさせていただきましたこの厚生年金の救済の特例法案につきましては、厚生年金におきまして、事業主が、保険料を源泉控除していたにもかかわらず、社会保険庁に保険料を納付していない、または納付したか不明な場合ということでございまして、それを、七月に設けられました年金記録確認第三者委員会におきましてこのことが確認をされたという案件につきまして、これを対象としたいということでございます。
今現在、数字はもう委員のお手元にもおありかと思いますが、十一月二十七日現在、第三者委員会に申し出がありました件数が全体で二万八千二百二十七件、うち厚生年金事案が一万七百五十一件というのが受け付け件数でございまして、そのうち、天引きが認定をされてあっせん済み、これは社会保険庁側の責任ということで、あっせん済みというものが四十六件、そして、天引きが認定をされたけれどもまだ審議中、これがこの法案の対象になるもので、三百件という数字でございます。
○内山委員 細かくお尋ねをしていきたいと思います。
法律案要綱の第一の保険給付に関する特例等の文中に、未納保険料を徴収する権利が時効によって消滅する前に被保険者の資格に係る届け出があった場合を除くとありますけれども、どのような意味を指すのでしょうか。お願いいたします。
○大村議員 これは、事業主が時効期間内に被保険者の資格取得の届け出を行っていたというふうに認められる場合には、この特例法案による対応を待つまでもなく、現行の厚生年金保険法七十五条によりまして給付を行うことができるということでございます。
これは、厚生年金保険法七十五条ただし書きによりまして、時効期間内に社会保険庁が被保険者を把握していながら、事業主の倒産等により保険料を徴収し切れなかった場合には、被保険者の立場に立って例外的に給付が行われるということで、現行法でも救済できるということでこれを除いているということでございます。
○内山委員 同じく法律案要綱の第二の特例納付の保険料の納付について、「未納保険料に相当する額に厚生労働省令で定める額を加算した額を納付することができる」とあります。どのような額に保険料が増額されるのか、お尋ねをします。
○大村議員 これは、保険料につきましては、国民年金法の免除、追納制度におきましても、一定の加算を行うということにされております。そのバランスを考慮いたしまして、本法案のこの対象の事業主、任意で納付ができるという道を開くわけでございますが、その対象事業主が不当に有利にならないように、保険料に一定の加算を行うということが適当というふうに考えて、この規定を設けたものでございます。
この加算額の計算方法につきましては厚生労働省令で定めるということになるわけでございますが、現時点におきましては、未納保険料に現行の制度において用いられる追納加算率を乗じた額を定めることが適切ではないかということでございます。
現行の保険料に加算をしていくという率が決められております。最近では国債の表面利率とか、過去にさかのぼっては財政再計算時の予定運用利回りとか、そういったもので現に決められているその率を使ったらどうかというふうに考えております。
○内山委員 具体的には何%とか、そういう数字はおわかりですか。
○大村議員 今私が申し上げました現行の追納加算率の算定されている率は、ちなみに申し上げますと、平成十六年度分が一・八%、十五年度分が一・四%、十四年度分が一・五%、さらにさかのぼりますと、平成十年から十三年度分が四・〇%、昭和二十九年から平成九年度分が五・五%、昭和十七年から二十八年度分が三・五%ということで、直近は十年国債の表面利率、そして、さかのぼった部分は財政再計算時の予定運用利回りが現行の追納加算率ということで使われておりまして、それによることが適当ではないのかなというふうに考えております。
○内山委員 この法律によりまして、救済の対象の人数はどの程度と考えておられますでしょうか。お尋ねをします。
○大村議員 対象者数につきましては、これはこの法案提出時が十一月二日でございますが、その際に見込める範囲といたしまして、第三者委員会の当時の受け付け件数八千六百二十二件につきまして、第三者委員会には中央と地方がございますが、中央段階でこの特例の対象になるという率が大体五六%程度ということでございますので、それを掛けまして五千弱、四千八百九十四という数字を根拠にいたしまして、それをベースにして、後は中央第三者委員会ではじき出したといいますか、対象になったその一件当たりの未納保険料総額でありますとか基礎年金の増加額等々をはじき出して、この人数にその額を掛けて、大体これに必要な額、十一月二日時点では大体十二億円、それからさらに、いわゆる任意で事業主に納付していただく保険料を引いた額、これがいわゆる国庫として必要になる額ということで計算をさせていただいております。
〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕
○内山委員 対象となる人数をもう一度ちょっと確認したいんですが。
○大村議員 今申し上げましたように、十一月二日時点でございますけれども、その際の全体の、第三者委員会の当時の受け付け件数が八千六百二十二件、それに、中央第三者委員会で大体、はるかに件数は少ないんですが、それでこの救済の対象になるのが、いわゆる天引きが認められたというものが五六%ということで、それを掛けまして五千件弱、四千八百九十四件という数字が対象になるだろうということで推定をさせていただいております。
○内山委員 今後も考えて五千件程度ということなんですか。
○大村議員 今私が申し上げましたように、これは順次、順次ふえてきておりまして、これは十一月二日時点で第三者委員会の対象になるものがそのベース、その当時が八千件でございます。八千八百件が対象事案、地方が八千六百二十二件でございますけれども、今現在は、十一月二十七日時点、先ほど私申し上げました件数でいきますと、厚生年金事案が一万七百五十一件までふえてきております。したがって、その件数もこれに応じてふえてきているということになろうかというふうに思っております。
ですから、今現在の直近の時点での対象となり得るものは約六千件弱であろうというふうに推定をいたしております。
○内山委員 今後どういう人数が対象になるのか、それを私は聞きたかったわけですけれども、残念ながら数字がないようでありますので次に移りますけれども、今、大村さんの方から、十二億円の積算根拠というふうに考えていいんでしょうかね、その人数は。(大村議員「そうです」と呼ぶ)
そうしますと、その十二億円、文中には、対象事業主から特例納付保険料の納付額を控除した額が見込まれるとありますけれども、対象事業主からどの程度の特例納付額が支払われると想像されていますか。
○大村議員 これは、今回のケースで、先般の審議でもこれは議論をさせていただきました、最大がこの十二億円ということでございまして、そのうち、いわゆる対象の従業員からは、対象者からは保険料が天引きをされた、しかしその事業主、会社から社会保険庁に行っていないということがはっきりと明確になった場合に、公表をして、そしてそれでも払われなかった場合には国が負担をする。
逆に言いますと、事業主と社会保険庁が、払ったかどうかが明確でない場合はこれは負担をしないということでございますので、前段私が申し上げました、会社から社会保険庁に払われていないというときに、追っかけても追っかけても払っていただけない場合に国が負担をするということでございますが、その払っていただいていない場合にといいますか、はっきりと社会保険庁に来ていないという場合にこれを納付していただくわけでございますので、これは納付勧奨を一生懸命やりますけれども、その見込まれる額というのは今現在ではなかなか推定できないということでございます。
○内山委員 そうしますと、国庫負担で十二億円あるということもあり得るということだと思います。(大村議員「マックスはですね」と呼ぶ)はい。
それでは次に、納付すべき保険料をなぜ任意とするのかということをお尋ねしたいと思うんです。
○大村議員 この点は、正直言って、この厚生年金の救済を、特例のこの法案を提案させていただくときに議論をさせていただきました。年金保険料は、御案内のように二年の時効がございます。ただこれは、さらにさかのぼって納められるようにしたらどうか、そして、その際はある程度強制徴収といったことも考えたらどうかということも議論はさせていただきました。
しかしながら、その議論の過程で、いろいろな法制的な観点からも検討を加えましたけれども、やはり時効消滅した保険料徴収権を復活させるということは社会生活の安定性を損なうということでなかなか難しいという法制的な議論、結論に至ったわけでございます。
したがって、任意で納付する道を開くということにいたしましたが、ただ、その際、我々も、多分委員の方のお考えもそうかなと思いますけれども、やはり、そういった場合でも、はっきりとその事業主が払っていないということが明確であっても、そして幾ら追っかけていっても逃げてしまうというようなことがあってはならないと思うわけでございまして、そういう意味では、この点は納付の勧奨をしっかりやる、公表もする、そして、さらに追っかけていく、徹底的に追っかけていくということをやって、納付勧奨はしっかりとやっていきたい。とにかく、言葉はあれですけれども、逃げ得といいますか、そういったところが不当に利得をしないということは、これは政府にしっかりとやらせていきたいというふうに思っております。
○内山委員 納付すべき保険料は事業主に勧奨するとの答弁も今ありましたけれども、つぶれてなくなってしまった会社、解散してしまった会社、こういうところにどうやって勧奨をするんだろうかと非常に疑問に思うんですけれども、お答えをいただきたいと思います。
○田村(憲)議員 今委員御質問のとおり、今存在する会社というのは、それは今までの社会保険庁との年金記録のやりとりでありますとか、第三者委員会の中でのいろいろな議論の中で特定されてくるんだろうと思うんですね。
ところが、今言われたみたいに、そもそも、もう会社が消滅をしておったりですとか、どこかに移転をしておる場合、こういう場合は、その会社自体、特に解散している場合にはこれはなかなか追いようがないわけであります。移転した場合などは、一つは、社会保険庁が持っております事業所記録情報等々で移転先をもちろん捜す。それで足らない場合には、法務省等々の商業・法人登記簿謄本等々で基本的にどこに会社が所在しているか、こういうものをさらに調べていく。
しかし、それでもまだわからない、消滅していれば、ないという場合には、もう委員御承知のとおりでありますけれども、事業主の方にこれはなかなか請求といいますか、そういうものを勧奨できないわけでありますから、そこで、その役員という話になってくるわけであります。
○内山委員 それでは、その事業主やまた役員をどうやって把握するんでしょうか。
○田村(憲)議員 役員は確かになかなか発見できないという場合、多いと思います。
ただ、一つは、そのための公表というものがあるわけでありますし、場合によっては公表することによって情報が集まってまいります。知人でありますとか会社関係者、そういう方々から、現在、当時の役員の方々、ここではまた役員の範囲とは何物ぞという話になってくるんだと思うのですが、そういう方々の居場所等々の情報をとにかく集めていきまして、今、大村提案者が申しましたとおり、一人たりとも逃がさないような、そういうような気持ちを持って対応していくということであります。
○内山委員 役員を公表するというところで第二条の三項というところがあると思います。そして同じように、第三条の二項というところで、ちょっと整合性を整理して御説明をいただきたいんですけれども、どの範囲まで公表の対象となるのか、どういう状況で公表の対象となるのかというところをお願いいたします。
○田村(憲)議員 基本的に今言われた両条の条文の中に書いてあるのですけれども、当該期間、つまり納付をしなかった期間、対象の期間です、この期間が役員でなかった者というものは、当然これは対象にはなってこないということになるわけであります。
もちろん、役員のみならず、この二条の三項に書かれてありますけれども、「執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者」、「相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する」というような文言が入ってありますし、「同等以上の支配力を有すると認められる者」ということでありますから、ここでは役員というようなことを簡単に使っておりますけれども、このような状況で会社を実質的に動かしている者、そういう者は役職名にかかわらずここの対象に入ってくるということに相なると思います。
○内山委員 会社の役員といいますと常務、専務とかいろいろ複数いると思うんですけれども、この複数全員に出すんですか。
○田村(憲)議員 基本的にはそういうような形になります。役員は全員になります。
ただし、その中で公表を除外されるという部分が、例えば厚生年金関連の業務等と関係のなかった役員、こういう者に関しましては公表の対象から除外をしていくということになります。
○内山委員 そうすると、総務とか経理とかこういうところ、総務、そういう担当者以外は出さないということですか。もう一度。
○田村(憲)議員 ちょっと誤解がありますのでもう一度御説明しますけれども、勧奨は全員にやります。
ただし、公表ということになりますと、これは当時かなり深くかかわってきておる方々ということになりますので、やはりそういう意味では、この厚生年金関連の業務に携わった、そういう方々に限る。そこにかかわらなかった方に関しては、役員に関しては公表はしないということでございます。
○内山委員 厚生年金業務にかかわる、かかわらないというのは非常に線引きが難しいんじゃないかと思いますが、何か基準をつくらないと後でもめると思いますけれども、どうでしょうか。
○田村(憲)議員 先ほど来委員が言われたような、例えば、人事もそれにかかわってくるでありましょうし、それから総務、こういうところを対象に考えております。
個別具体的に、かかわる、かかわらないというのはどういうような線引きをするかというのは、確かに言われるとおり非常に難しいわけでありまして、個別それぞれの、その場その場での判断というものがあると思います。
○内山委員 条文に書いていませんので、それは、やはり現場で判断を求めるような形になると非常に難しいと思いますね。それはよく検討された方がいいと思います。
次に、第一条の四項で、国民年金法の規定を適用するときは、第二号被保険者として保険料納付済み期間に算入すると書いてあります。同時期に第二号被保険者に扶養されている妻がいた場合に、その人は国民年金の第三号被保険者として救済の対象となるのかということをお尋ねしたいと思います。
○大村議員 今回の特例により記録訂正されます厚生年金の被保険者期間は、社会保険庁の記録にそもそも存在しなかったものであるということから、委員御指摘の第三号被保険者、配偶者につきましては第三号被保険者としての届け出ができなかったというふうに考えられるわけでございます。
したがって、今回の特例法案によりまして、この厚生年金の被保険者期間の記録訂正が行われた場合には、配偶者の第三号被保険者につきましても、これは、その根っこ、根っこというような言葉が適当かどうかわかりませんが、そこの御主人の方が対象になる、記録が訂正されるわけでございますから、あわせて第三号被保険者につきましても、現行法の枠組みで記録訂正になるということに考えております。
○内山委員 そういう形で本当にいいんですね。
○大村議員 これは委員御指摘のように、そのもとの部分が記録訂正されるわけですから、第三号被保険者も現行法でこれは訂正をされる。
ただ、やはりそのときの手続も、実務上、御本人からそのことは届け出をしていただくということが必要かなというふうに思っておりますが、現行法で記録が訂正されるということになるというふうに考えております。
○内山委員 ちょっと時間の配分を間違えておりまして、まだあるものだと思っていまして、まだたくさんありましたので、ちょっと飛ばして聞きます。
第二条の六項というところで、書面により申し出をすることができるとあります。書面を出した後、特例納付保険料を払わない人もいると思いますけれども、こういうケースはどうなりますか。
○田村(憲)議員 事業主から納付の申し出について書面の様式が決まっているのかというような話ですか、今の……(内山委員「いえいえ、書面を出さなかった場合。もう一度聞きます」と呼ぶ)申しわけありません。
○内山委員 第二条の六項というところを見ていただければと思うんですけれども、「書面により申し出ることができる。」とありまして、その書面を出したけれども、その後保険料を払わなかった、こういうケースです。
○田村(憲)議員 書面を出した時点で、とりあえず、払うという意思がそこで確認できるわけでありますから、そういう意味では、その時点では納付義務が発生をするわけですね。ところが、その後納付しなかったという場合、そういう場合は、当然のごとく、これは滞納ということになってまいりますので、滞納処分として強制徴収というものをいたしますし、場合によってといいますか、この場合は名前の公表ということに相なってまいります。
○内山委員 この書面は任意ですよね、出す出さないというのは。ですから、そうすると、下手に書面を出すと強制徴収になるということを考えていいんでしょうか。
○田村(憲)議員 書面を出していただくということは、基本的には、その時点では払おうという意思があったということでありますから、払わないという方と、もとから払う意思がなかったという方と、どうなんだということになると、バランス感覚、委員のおっしゃる意味もわかりますが、ただ、言われるとおり、ここは払うという意思があった後に払われないということでありますから、そこで義務が生じるということになりますので、強制徴収がここで行えるという形であります。
○内山委員 続きまして、テーマをかえまして、年金時効特例法案につきましてお尋ねをしたいと思います。
社会保険事務所の年金相談窓口で再裁定をした人のリストがコンピューター上から検索できるようでありますけれども、どのような人たちがこのリストに載っているのか、お尋ねをしたいと思います。
済みません。時間がないので早くお願いします。
○茂木委員長 早くしてください。
○石井政府参考人 御答弁申し上げます。失礼いたしました。
再裁定を受けた方でございますけれども、そのうち年金時効特例法の対象になる方でございますが、これは内容的にはさまざまでございますけれども、システム的に、過去、再裁定によって一定額の年金額の増額が認められつつも、五年を超える部分がその中にあったために、残念ながら従来であれば消滅時効にかかるという、そういう形で把握させていただいているということでございます。
○内山委員 このリストに実は入っていない五年超の裁定請求を出された方がどうやらいるようでありまして、例えば六十五歳のときに国民年金を請求した、厚生年金の加入期間がわからなかった、そして数年たちまして厚生年金の新規の手続をしたという方が実はこのリストに入っていないということで窓口の対応が、社会保険事務所で幾つか混乱をしているようでありまして、私のところにも幾つかその情報が届いております。ぜひ再裁定リストの中に今の事案のようなものを大至急含めて精査すべきだ、こう提案をしておきます。お答えは結構でございます。
年金時効特例法によりまして、七月六日から十一月十八日までに一万九千四百二十六件の受け付け手続がありました。このうち社会保険庁が再裁定の人に送りました通知は何件ありましたでしょうか。
○茂木委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。
○石井政府参考人 はい。お答え申し上げます。
具体的には、本年九月から、毎月でございますけれども、必要な記載事項を印字して手続用紙を送付させていただいているわけでございますけれども、まず九月でございますが約二千件、それから十月には約二千五百件を送付したところでございます。
○内山委員 最後に。対象者が二十五万人もいるのに、大臣、ちょっと聞いていていただきたいんですけれども、たったの、今二千件と二千五百件、四千五百件しか送っていないんですよ。いかに仕事が遅いかということ。
大臣、ちょっと答弁をもらいたいと思います。
○茂木委員長 質疑時間が終了しております。
○内山委員 言いっ放しになりますけれども、そういうことになります。たったの四千五百件しかやっていないわけですから、早急にその辺も急いでいただきたいと思います。
終わります。