第168回国会 衆議院 厚生労働委員会 2007年12月12日
○茂木委員長 次に、内山晃君。
○内山委員 民主党の内山晃でございます。
年金トリオのトップバッターとしまして、きょうは質問させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
舛添大臣、まず大臣に冒頭、私も質問させていただきたいと思うんですが、大臣は今、心の中で、大変なときに大臣を受けてしまって少し後悔をされているんじゃなかろうか、こう思うんですが、基礎年金番号に未統合の年金記録五千万件のうち三八・八%、約四割、千九百七十五万件が名寄せ困難である、そのうち九百四十五万件が対応困難となっている。これはやはり、大臣の公約からすれば、今撤回しなければならないんじゃないか、こう思うんですけれども、公約を撤回するお気持ちはありますか。
○舛添国務大臣 私は、年金の問題というのは、政府に対する、そして国家に対する基本的な信頼を揺るがした問題だというふうに思いますので、これは、関係閣僚の会議もできておりますし、政府を挙げてしっかり取り組んでいかないといけない。そして、私の仕事は率先してこれに取り組むということで、今でも、とにかく最後の一人まで、最後の一円まできちんとやるというこの気持ちをずっと持ったまま、さらにその努力を続けていっている過程であります。
そして、先ほど来申し上げていますように、三月までには名寄せ、今これは中間作業でありますから、これから第二次名寄せもやって、もっともっと解明していく件数をふやしていく、その努力は続けますし、コンピューター上でできないことについても、第三者委員会もありますし、いろいろな手段を通じて引き続き努力をやっていく、それが私の責任だと思いますので、引き続き全力を挙げ、そして情熱を傾けて、この国民にとっては本当に大事な年金の問題に努力を傾注してまいりたいということを重ねて申し上げたいと思います。
○内山委員 私は実務家ですから、この五千万件そのものの名寄せ、これは到底不可能だと私は当初から思っていました。軽はずみに、やはり選挙目当てにこういうことを言っていることの責任を私は問いたいなと思うんですよ。
しかも、社保庁の、お名前はあえて言いませんけれども、担当者がテレビに出て、消えた年金記録、宙に浮いた年金記録の問題はほとんど問題ない、ほとんどがみんな亡くなっている方だ、こう言ってテレビに出演していたわけであります。また、安倍前総理に至っては、この五千万件のデータは真正なデータだから、いたずらに不安をあおらないでくださいとまで街頭演説をしていたわけじゃないですか。
このことに対して、今、大臣、九百四十五万件、こういう実態があるということをもう一度大臣から答弁いただきたいと思います。
○舛添国務大臣 五千万件のうち、今後とも解明を進めていく、要するに、まだ解明が進んでいないのが千九百七十五万件であります。そのうちの九百四十五万件は、婚姻等によって氏名を変更したものとか、オンライン入力のミスとか、海外の居住者。こういうことにつきましても、一つ一つ着実に、あらゆる手を尽くして解明していきたい、そういうふうに思っております。
○内山委員 いや、私が今お尋ねをしたかったのは、こういう実態が明らかになったとき、今までいろいろな方が、五千万件のデータは真正なデータだからいたずらに不安をあおるな、こういうことを言っていた人に対して大臣は今どういうふうに思いますかということをお尋ねしたいんです。
○舛添国務大臣 私は、いろいろな方がいろいろなことをおっしゃったと思いますが、私の今の職責としては、この問題に全力を挙げて取り組んで国民の信頼にこたえたい、そういうふうに思っております。
○内山委員 大臣の立場からすれば、安倍前総理が間違ったことを言っていたとはこの場ではお答えになれないでしょう。しかし、間違っていたことを言っていたんですよ。政府として反省すべきですよ。国民に謝罪すべきですよ。ぜひ国民の前にきちっと謝罪をしていただきたい、そして公約の撤回を、まずわびるべきだと私は思います。いかがですか、もう一度。
○舛添国務大臣 政府・与党がことしの七月に決めましたこの作業の工程表にのっとって、私は一つ一つ確実に仕事を進めているわけでありまして、今後ともこの努力を、全力を挙げて続けてまいります。
○内山委員 これだけやっていますと終わってしまいますので、質問に入りたいと思います。
年金記録第三者委員会についてお尋ねをしたいと思います。
第三者委員会の議事録は、年金記録確認第三者委員会令第九条の規定により非公開となっていることは存じ上げておりますけれども、国会議員が、どのような議論をしているのか知るすべがないというのは、非常に問題だと思うんです。個人情報にかかわる部分があるとすれば、それは黒塗りで結構でございます。どういう議論がされていたのかということを公開すべきだと私は思いますけれども、担当者の方、答弁をお願いします。
○関政府参考人 お答え申し上げます。
年金記録確認第三者委員会におきましては、個別事案を検討している過程を公表することが、率直な意見の交換や意思決定の中立性を損なうおそれがあること、また、個別事案の審議の過程で個人情報を取り扱うこと、このようなことから、委員会運営規則におきまして、会議及び議事録を非公開としているものでございます。
○内山委員 答弁になっていませんよ。どういう審議をしているのか、会議をしているのか、私たち国会議員に示すべきですよ。なぜ示せないのかということを言っているんです。個人的情報に関心はありません。問題があるんだったら塗りつぶしてください。どういう議論をしているのか。
地方だって、五十カ所で議論しているじゃないですか。この五十カ所の中には、実は私のところにこういう情報が入っているんです。ここのとある委員が、委員会の会議の中で発言した内容に対して、社会保険事務局の保険課長から、社会保険事務局の不利になるようなことを発言しないでください、こういうことを言われている事実があるんです。どう思いますか。
○関政府参考人 御指摘のような事実があるかどうかにつきましては承知しておりませんけれども、第三者委員会が年金記録の訂正に関して判断を下すに当たりましては、外部から不当な圧力が行われるようなことがあってはならないというふうに考えております。第三者委員会において公正な審議が確保されることが極めて重要でありますので、今後とも情報管理の徹底に努めてまいりたいと考えております。
○内山委員 第三者委員会には社会保険事務局の職員は同席できるんですか。また、議事録は閲覧できるんでしょうか。
○関政府参考人 社会保険庁の職員の同席は認められておりません。
第三者委員会の事務局は、総務省の職員、あるいは各省からの出向を願って事務局職員として来ていただいておりますけれども、その中に社会保険庁から総務省に出向されている職員がおられますけれども、その方たちは総務省の職員ということでございますので、事務局職員として委員会の審議を支える立場で会議に出ているということでございます。
○内山委員 地方の第三者委員会の議事録の要旨が出ていると思います。初回に社会保険事務局の職員の名前が出ているものがあります。それは、初回はよろしかったんでしょうか。
○関政府参考人 中央委員会の第一回の会合というものは、私は詳しいことをちょっと今失念しておりますけれども、地方第三者委員会の第一回の会議におきましては、この年金記録問題がどういう経緯で発生してきたのか、それから厚生年金の仕組みでありますとかあるいは国民年金の仕組みにつきまして、概要を社会保険事務局の責任者の方に来ていただいて御説明をいただいたということでございまして、第一回あるいは第二回は、全般的な、年金記録問題の基本的な勉強をするという会議でございましたので、社会保険事務局の方に来ていただいて御説明をいただいた。
ただ、その後、個別の案件の処理という段階では、第三者委員会の事務局を構成しております職員が委員会の審議をお助けしている、こういうことでございます。
○内山委員 第三者委員会の議事録の要旨の中に、初回、そのお名前が入っていない方が参加をされておりまして、委員がこういう発言をしたわけです。資格取得、喪失、今これがやはり、私の記録と違っているという申し出が第三者委員会の方に随分あると思います。そして、特に資格喪失日というのが、現に在職しているにもかかわらず、さかのぼりで資格を切られてしまった。保険料の滞納があって、社会保険事務所、事務局からさかのぼりで保険証を資格喪失させられてしまった。本人は在職しているにもかかわらず、さかのぼりで切られてしまった。これは社会保険事務局、事務所の指示によってさかのぼったんだ。こういう事例があったということをとある委員が指摘しました。
その委員に対し、後日、当方の、社会保険事務局の不利になるようなことを言わないでください、こういうことを、その委員の事務所を訪ねて、言論に圧力をかけて言わせないようなことをした。これは第三者委員会に対して冒涜をしていませんか。
さらには、昨年ありました国民年金の未納、未加入の分母対策、納付率を数字だけ上げるというような、この手法と全く同じです。厚生年金の保険料の納付率というのは九八%ですよ。余りにもおかしいと私は前々から質問も何度か委員会でさせていただきました。そういう徴収納付率を高めるために、さかのぼって資格を喪失している事例がたくさんあるんですよ。
そういうさかのぼったことによって、自分の被保険者期間が違っていると訴えている方がたくさん来ている。それを委員が正しく委員会で発言したことに対して、社会保険事務局の不利になるようなことを発言するななどということを言っていること自体がこれは大変な問題だと思うんですけれども、大臣、横で聞かれていてどう思いますか。こういう事実があるとすれば、その圧力をかけた職員に対して大臣はどんな処罰をしますか。
○舛添国務大臣 そういうことが事実であるとすれば、それは第三者委員会の権威そのものをおとしめることになると思いますから、事実関係をきっちりと精査してみたいと思います。
○内山委員 第三者委員会のこういう実態があるということで、ぜひ私たちに議事録を公開してくださいよ。どんな審議がされているのか私たちがわからないで、専門家がたくさんおられるかもしれません、でも、国会にぜひ開示すべきだと私は大臣にお願いをしたいんです。個人的情報は塗りつぶして結構です。大臣、お約束をいただけませんか。
○舛添国務大臣 委員の御提案を真摯に受けとめて検討させてください。
○内山委員 それでは、よろしく検討していただきたいと思います。
残りはテーマを変えましてお尋ねをしたいと思います。
厚生年金基金の請求漏れに対する対応についてお尋ねをいたします。これは前回の質問で質問できませんでした。残ってしまいましたので、再度確認をします。
私が六月十三日、当委員会の質疑で、渡辺政府参考人、そこにおられますけれども、私が質問した、老齢厚生年金の裁定請求で、既に年金を受給されている方で厚生年金基金の請求漏れになっている方を把握できているのかという質問に対して、これは把握できているというふうに承知をしていますと渡辺さんの答弁がありました。私は、その答弁に対して、早速、それではすぐ厚生年金基金の請求漏れの人たちに対して注意を喚起してくださいと指摘をしました。参考人は、御指摘のとおりでありますので、早急に注意を喚起させていただきますと答弁をされておりますけれども、現在までどのような注意を喚起されたのか、お尋ねをいたします。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
全体の状況をしかと把握すべく、御指摘も踏まえまして、私ども、本年十月にすべての厚生年金基金に対して、裁定請求が行われていない方の状況等について調査依頼を行っております。現在、集計、分析作業を行っておるわけでございます。
現時点において取りまとめの時期を確定的に申し上げられませんが、できるだけ早く、何とか年内にも結果を取りまとめて、どういう状況であるか、全体状況を明らかにさせていただきたいというふうに思います。
○内山委員 六月の段階で、まだ集計がされていない、そして企業年金連合会の百二十四万人が未請求であるという数字が出ました。さらには、それぞれの各厚生年金基金の未請求者も含めると一体どのくらいいるんだろうか、はかり知れないほど厚生年金基金の未請求があるわけでありまして、消えた年金記録五千万件と本当に同じような大きな問題がここにも含まれているわけであります。
これに早急にやはり対応すべきだと思いますけれども、もう一度、どのようにこれから未請求の人たちに対して通知をするのか、喚起をするのか、具体的な方法を教えてください。
○渡辺政府参考人 今御指摘にありました企業年金連合会の件につきましても、以前より御質問いただいております。
御承知のところかとは思いますが、この秋、十月でございますが、厚生労働省として厚生年金基金に対してさまざまな指導を行っております。定期的に基金から加入員に対して裁定請求書を送付する、あるいは住所不明者については住民票の写しの交付を求める、こういったことなどなど、さまざまな努力をしてくださいということをお願いしております。
連合会に話を戻しますと、大臣からも直接の御指示、御指導をしていただいておりまして、現在、連合会におきまして、連合会の問題としては、徹底した裁定請求の勧奨、電話相談等による相談体制の充実といった、自主的、主体的な取り組みを行っているところでございます。
私ども厚生労働省として、単に指導するだけではなく、もっと環境整備をせにゃいかぬということで、社会保険庁と私どもと協議をいたしまして、来年度から、社会保険庁より厚生年金基金等に対して基金の加入員等に関する住所情報を提供するというスキームを動かすということにしておりまして、これらの環境整備とあわせて、私どもの指導や指示というものがより実効性が上がるようにさらに努力してまいりたいと思っております。
○内山委員 早急にそれはぜひ行っていただきたいと思います。
それでは、もう一問。同じく六月十三日の委員会におきまして、五年超遡及新規裁定件数、この厚生労働省の資料の提出について私はお尋ねをいたしました。そして、十一月二十日に民主党の厚生労働部門会議におきまして新たな資料がやっと発表されたわけでありますけれども、十一月二十日に発表した資料、いつ、だれが、どのような指示で集計作業に着手したのか、また、その作業時間はどのぐらいかかったのか、端的に教えてください。
○茂木委員長 時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの、受給権発生後五年以上経過して裁定された件数及び金額でございます。
まずは、これは正式な統計数字ではない、しかしながら、一定の前提のもとに集計し、推計するということで従来対応してきたわけでございますけれども、六月の十三日に内山先生から御要請があって、そして私どもも対応をするということで、いろいろと検討を進めつつあったわけではございますけれども、ちょうどこのころ、年金記録問題につきまして、政府・与党取りまとめに基づきます、御案内の五千万件の名寄せとか、あるいはその結果の記録のお知らせの扱い、こうしたものも同時に、より重要な検討課題ということで取り組まざるを得ないという状況がございました。そういうことで、それらの方の検討を、大変申しわけないわけでございますけれども、最優先させていただいたということでございます。
その間、一方で、しかしながら、御要請のあった推計については、集計に関する作業ということで、例えばどのような仕様にするかとか、その辺の、いわば下準備についての検討は進めていたわけでございますけれども、御案内のように、十月になりまして、再度長妻先生の方からも御要請があったということで、大臣の指示によりまして、そのような形で進めていた集計作業の取り組みを強化して対応させていただく、こういうような経過をたどってまいったということでございます。
○内山委員 時間が来ましたので、この後また機会がありましたら質問いたします。
終わります。