厚生労働委員会                 2008年06月04日
○後藤(茂)委員長代理 次に、内山晃君。
○内山委員 民主党の内山晃でございます。
 まず、年金記録問題から、一問だけでありますので先にお尋ねをしたいと思います。
 厚生年金の旧台帳の記録千四百六十六万件の処理を五月末を目途で行っていたと思いますけれども、その辺の進捗状況をお話しいただけますでしょうか。
○中野政府参考人 お答え申し上げます。
 マイクロフィルムで保管をしております厚生年金等の旧台帳の記録につきましては、氏名、生年月日などの記録について磁気ファイル化をするための入力作業を行った上で、コンピューター記録との突き合わせを行いまして、記録が結びつく可能性のある方に対しまして、予定どおり五月末に記録のお知らせを送付いたしました。
 これらの記録は昭和二十九年以前の古い記録でございますので、今後、回答はがきにより返信をいただいた方につきまして、相談のための準備を順次整えた上で、後日、おおむね一カ月後ぐらいかと存じますけれども、社会保険事務所などから御本人に電話連絡をとりまして、具体的な情報をお伝えしながら、旧台帳記録に係る記憶を呼び起こしていただくよう丁寧な記録の確認を行っていくことといたしております。
○内山委員 私のところに、けさ、年金記録のお知らせという、このような封筒で送るんだというのを見せていただきまして、ねんきん特別便の場合には青だったりいろいろな色がありましたけれども、グレーなんでしょうかね。これが今、五月末から送ったといっても、恐らくきょうとか届いている方もいらっしゃるかと思うんです。七十万通というふうにお聞きしましたけれども、これに対するねんきん特別便のような、例えば新聞に周知喚起するPR、広告が出ていなかったと思うんですけれども、その辺はどうやって周知喚起をする考えでありましょうか、お尋ねします。
○中野政府参考人 ねんきん特別便、それからこうした記録のお知らせにつきまして、私ども、これからも、お送りをしていること、それからそれに対する回答を積極的にお願いしたいという趣旨を、機会をとらえまして積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
○内山委員 広報をやらないんでしょうか。その辺をお聞かせいただけますか。
○中野政府参考人 これらについても新聞等を使った広報などを進めておるところでございます。
○内山委員 そうしますと、最後に確認をいたしますけれども、この年金加入記録のお知らせが届きましたら、中の返信を社会保険業務センターあてに送りますと、各住所地の近くの社会保険事務所からお電話があって、いついつお越しください、こういう御案内があるということでよろしいんでしょうか。
○中野政府参考人 この千四百六十六万件の旧台帳の記録に関するお知らせにつきましては、社会保険事務所の方から御回答をいただきました方に御連絡を差し上げるということにいたしております。電話などの手段を使って御連絡をし、その上で具体的な情報のお知らせなどを丁寧に進めていく予定にしております。
○内山委員 最後にもう一点だけお尋ねします。
 この千四百六十六万件のデータのうち、発送できたのが七十万通というふうに聞いておりまして、約五%しか送れていないんだろうと思うんです。大半のデータ、脱退手当金を受給した期間等のデータは入力されていない、こういうふうに聞いておりますけれども、そういった残された年金記録はどのように、いつ作業されるのか、それをお尋ねしたいと思います。
○中野政府参考人 今回、記録のお知らせをお送りいたしましたのは、記録が結びつく可能性のある方でございます。それ以外の方につきましては、漢字氏名、生年月日から旧台帳の手帳記号番号及び旧台帳が保存されているカセット番号などが検索できる漢字氏名索引のシステムを構築しておりまして、これにより、社会保険事務所等において旧台帳に係る記録の確認を容易にいたしまして、効率的、効果的な相談を行えるようにしているところでございます。
 さらに、今回記録が結びつくことが確認できなかった方々の記録につきましても、今後も引き続き解析、解明作業を進めていく予定にいたしております。
○内山委員 もう一点、最後にちょっと聞きたくなりました。その最終的な期日というのがありますか、いつまでに仕上げようとかと。いかがでしょう。
○中野政府参考人 詳細な期日につきましては、今後この内容を精査いたしまして、実施の手順等を検討し、定めていきたいと思っております。
○内山委員 中野さん、ありがとうございました。それでは、本来の質問に入りますので、どうぞお引き取りいただきまして結構でございます。
 大臣にちょっとお尋ねをしたいなと思っております。先ほど通告したばかりでございまして、難しいことは聞きません。所見で結構でございます。
 短時間労働に関する障害者のニーズについてお尋ねをします。
 障害者の求職者の三八・八%、授産施設等利用者の四五・七%が、短時間労働、週三十時間未満を希望していると厚生労働省の資料にありますけれども、なぜこのようなニーズであるのか、その要因をどうつかんでいるか、それをお尋ねしたいんですけれども、いかがでしょうか。
○舛添国務大臣 それは個々の障害者の障害の特質によるんだろうというふうに思います。
 例えば非常に疲れやすいとか、それから、例えば発達障害の場合には、対人障害とコミュニケーション障害がある。ですから、健常者の場合に比べてどうしても、自分の健康を維持するために、健常者よりも少ない時間でないと仕事ができない、そういうことが一番大きな事情じゃないかと私は考えております。
○内山委員 先日、千葉のとある授産園の施設長の方からお話を聞かせていただいたんですけれども、この短時間労働を希望しているニーズの数値は、障害者の就業に向けた学校教育や成人期教育の誤った環境に原因があるんだ、こういうふうに訴えをいただきました。
 障害者には訓練的な教育はしてはならないという考えから、一般の人たちと同じように八時間以上の労働をするだけの社会人としての体力、気力を身につけさせる教育が現在は皆無に等しいんだ、本来、知的障害者は、肉体的、精神的には生まれつきの欠陥を持っているわけではなく、生まれ育った環境の中で、障害があるのだから期待してはいけない、むしろ守ってやらなければいけないという偏見の中で過保護に育てられ、ひ弱で精神的にも弱い人たちのように親も社会もこの人たちをあきらめてしまったからなんだ、こういうのが現状なんだということを聞きました。
 ですから、健常者のように八時間労働をしようとしても、そもそもの教育がされていないから、そこの教育に問題があるんだと強く訴えを聞きまして、やはり一般の人たちと同じように現実的な労働にたえられるような体力、精神力を身につける、本当の意味での自立を目指すような教育機関を確立していくことが非常に大切じゃないかと。
 大臣、どう思いますでしょうか。
○舛添国務大臣 私もそういう御意見には賛成します。そういう面もあると思います。
 ただ、今、発達障害、アスペルガー症候群にしろ自閉症にしろ、見ていますと、私が先ほど郡委員にお答えした三番目のポイントがあるというのは、本人に体力はある、一生懸命訓練する、しかし、対人コミュニケーションに問題があって、一定の行動パターンのこだわりがある。そのパターンから外れた場合に物すごいパニックになる。しかし、彼らは天才的な才能を片一方で秘めている。そのときに、周りの職場の仲間が、ああ、この人はこういうタイプなんだということでそれに合わせてやる。パニックが起こったからといって、何だと怒らないで、ああ、これはこういう形でやるとこの方は動くんだな、それもあるんですね。
 ですから、周りの人の理解があって、そのパターンをやっていただけば、発達障害の方も八時間でも十時間でも働く。ところが、最初からもう、こっちに行きなさいと言ったのにあなたは右に行ったじゃないか、これはだめだと言った瞬間にパニックになりますから、一分たりとも働けなくなる。
 ですから、今おっしゃることも非常に重要な意見だと思いますが、障害の種類によって、特に精神の障害、発達障害、高次の脳機能障害、そういう場合にはまたその場合のケースがありますから、そういう意味で、私は、総合的な施策、きめの細かい施策をやる必要があると思います。
 その前提としては、今言ったような研究の積み重ねが発達障害にあって初めてわかることでありますので、今の意見も非常に貴重だと思います。そういう中で、さらに総合的にいろいろな施策を進めていきたいと思っております。
○内山委員 今申し上げたところは、知的障害者の授産施設でありますので、やはり訓練によって何でもできるんだと。
 先日、運動会に顔を出しまして、その運動会のプログラムを見ていましたら、和太鼓ですね、これもリズミカルに物すごくうまく打つんですね。さらには器械体操。跳び箱の上で逆立ちをして前転をする。これは私でもできないなと思うようなことがもうきびきびとできるんです。外見からは知的障害者とは全くわからない。でも、ここの職員の献身的な教育といいますか努力によって、そういう形に持っていけるという、やはり教育はすごく大切だなと感じた次第でありますけれども、ぜひ障害者の教育というところにも力を入れていただきたいなと。そうすれば、短時間労働を希望するニーズの数値も変わってくるだろうと思います。
 同じように、職業リハビリテーション体制というところの中で、これは先ほど通告したばかりでありますけれども、お尋ねをします。
 今、この中に授産施設というのが入っていないんですけれども、授産施設というのは生活指導もするわけですから、この授産施設をぜひとも活用していただきたいなと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
○岡崎政府参考人 授産施設につきましては、障害者自立支援法の中で、就労移行支援事業あるいは就労継続支援事業等々、それぞれ新しい体系の中に入っていくわけでありますが、これらはそれぞれ、移行のためのいろいろな訓練をしたり、あるいはそのための準備をしたりという位置づけになっております。
 したがいまして、私ども、ハローワーク等、そういったような機関、既存の授産施設も含めて対応しておりますが、そういったところとネットワークを組みながら、個々の利用者の方々で一般雇用へ進みたい方については、それらの施設とチームを組むなどして、そこで準備をして就労する、こういう順番で対応する、こういうことを考えながらやっているということでございます。
○内山委員 リハビリですから、体調を崩したときにはまた戻って、そこで再出発する、授産施設というのはそういう入所施設ですから、ぜひ、そこも核となるように御利用いただきたいな、検討すべきだな、こう提案をしたいと思っています。
 それでは次に、障害者の法定雇用率でお尋ねをしたいと思います。
 一・八%に義務化され、規定に達しているのは、規模的には五千人以上の企業だけでありまして、それ以下の企業はすべて一・八%の雇用率を平均的に下回っているという結果が出ています。今回の改正案の中で、一番雇用率の低い百から二百九十九人の規模にターゲットを絞っているわけでありますけれども、百一人以上の企業への拡大については、平成二十七年四月一日までの七年間の猶予があります。また、中小規模の支援策や経過措置としての負担軽減措置で障害者の雇用をアップさせるという支援も考えているようでありますけれども、果たして七年で本当に引き上げていくことができるんだろうかと。それで三点ほどお尋ねをしたいと思います。
 具体的にどのような支援策を行うのか、どのような負担軽減措置を行うのか、さらに、そのことによって法定雇用率達成企業の割合をどれだけ高めることができるのか、お尋ねをしたいと思います。
○岡崎政府参考人 この制度を改正する際に、審議会の中で、中小企業の代表の方とそれから障害者の代表の方、相当いろいろな突っ込んだ御意見の交換がある中で、今の仕組みを御提案していると。
 負担軽減策として、一つは、平成二十二年、二十七年と比較的長い期間をとる、ここは中小企業の団体から、やはり中小企業のいろいろな経営環境その他を考えた場合には、比較的長い期間をとってくれないと、やはり小さいところほど対応が難しいということがあったということ。
 それから、納付金については、今のあれでは普通の企業で一カ月五万円ということでありますが、これについても、導入当初については軽減する、額を下げるというようなことも考えるということになっておりまして、具体的な額は審議会の中でまた検討していただきますけれども、下げるということ自体については既に合意を得ているという状況でございます。
 それから、支援策でございますが、これはやはり中小企業の場合は、今まで一人も雇ったことがなかったというような企業が相当あるのが事実でございます。やはり一人目を雇う際のいろいろな困難、ここのところに、より重点的な、金銭面とそれからノウハウと両方合わせたような支援の仕組み、これを来年度の予算の中で、中小企業、そういったところを重点にしながら、より中小企業に重点を置いたような助成の仕組み、支援策を考えていきたい、こういうふうに考えております。
 どのくらいまでいくかということについては、これはなかなか見込みは難しいわけでございますが、例えば三百人から五百人の企業規模であると、今、実雇用率は一・四九でございます。百から二百九十九が一・三〇でございます。もちろん一・八を目指すというのが当然といえば当然でございますが、やはり三百から四百九十九の一・四九という、その数字が現時点においては一つの目安にもなるかなというふうには考えております。
○内山委員 次に行きます。
 厚生労働省の担当者は、中小企業、特に百人から二百九十九人の規模の企業が障害者の雇用に余裕があると思っているんでしょうか。実態をどのように理解をしているか、お尋ねをしたいと思います。
○岡崎政府参考人 余裕という意味があれでございますが、かつて、比較的規模の小さい企業で障害者の方をいろいろな形で受け入れていただいてきたという事実は、一方ではあるということでございます。
 ただ、そういう中で、障害者だから負担だということではなくて、障害者でもこういうことはできる、人によってこういうことはできるという中で、企業活動のマイナスという考え方ではなくて、企業活動に障害のある方も参加できる、そういうような支援をしながら、要するに、重荷になるような意味での障害者の雇用をお願いするということではなくて、障害者もきちんと働けるような形を政府の方としても提案しながら、中小企業の方で雇用していただく、こういう考え方で進めていきたい、こういうふうに思っております。
○内山委員 では、同じく大臣にも聞きたいんですけれども、民間企業に対する法定雇用率の一・八%の数値を高いと見ますか、それとも低いと見ますか、どのように認識をされていますでしょうか。
○舛添国務大臣 法定雇用率をどうして出したかというと、全労働者というか、それに障害がある方々のパーセンテージで出しましたので、それを全く均等に割れば、社会全体としてそれだけの率を達成するというのが一つの理想であるというふうに思っています。
 ただ、先ほど来、委員が御指摘のようになかなか、やはり中小企業にとっては、いろいろな経営上の問題があったり、特に介助をする方もつけないといけないというようなことがあったりすると、それは企業によっては経営上大変苦しく考えられる方もおられると思います。そういう点がありますから、経過期間を七年置くとか、いろいろな支援策をやるとか。
 一方で、中小企業にもまたたくさんございますから、経営上の判断からいっても、むしろ積極的に採用するというところもあると思います。ですから、これはやはり中小企業によりけりなんで、きめの細かい対応をやる。
 私はあくまで、一・八というのはそういう数字ですから、これは理想としてノーマライゼーションをやる、そして豊かな先進社会として達成すべき理想として、あっていいかな、そういうふうに思っております。
○内山委員 企業にとってみれば、一・八というのは、なかなか達成していないという数値があるとおり、実は非常に厳しいんですよ。理解のある事業主でも、やはり労働者としてのニーズを求めます。しかし、障害者を受け入れることによってだれか一人指導係として手をとられてしまうとか、こういうことを考えますと、非常になかなか難しいというところでありまして、そういう部分を本当にデリケートに対応していただかないと、七年猶予があっても、絵にかいたもちになってしまうだろうと思います。
 同じように、例えば百人から二百九十九人の企業と五千人以上の規模の企業とを同格にこれから扱うということになるわけでありまして、そもそも五千人と百人なんというのはもう比べようがない違いがあると思うんですけれども、ゆがみが出ませんでしょうか。例えば、トヨタ自動車とダイハツという自動車会社を比べますと、一律同じ基準で法律を適用するなんということは、必ずゆがみが生じると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○岡崎政府参考人 障害者の方の雇用、働く場というのを考えた場合に、やはり私どもとしては、ノーマライゼーションという考え方のもとに、すべての企業がそれぞれの中で働く場を考えていただくということをぜひお願いしたい。
 そういう場合に、やはり率で考えていく。そうなれば、規模が大きいところはより多くの職を提供するというのは当然のことでありますが、一万人であれば、一・八を掛ければ百八十人になるわけでありますし、そういう率というのが一つの考え方ではないかなというふうに考えているところでございます。
○内山委員 先ほど園田委員も質問しておりましたけれども、雇用した後の定着はどうなっちゃっているんだろうか。定着率という数値がないとかというふうに言っていましたけれども、お尋ねをしたいと思います。
○岡崎政府参考人 定着率そのものとしてはとっていないんですが、例えば、どのくらい働いているかというのを、障害者雇用実態調査、平成十五年の調査でございますが、これで平均勤続年数というのは出ます。これで見ますと、身体障害者の方が十年、知的障害者の方が九年三カ月、精神障害者の方が三年九カ月という状況でございます。
 それから、いろいろな支援をしていく中での六カ月時点の定着率というのはとっておりまして、ジョブコーチ支援を行った場合の終了後六カ月の定着率については八四・三%、それから、障害者就業・生活支援センターの支援を受けて就職した方、これらの方につきましては、就職後六カ月経過時点での職場定着率は七五・六%。そういったような数字は把握しているところでございます。
○内山委員 今、数値をいただきましたけれども、一般の方に比べたらどうかという比較でいかがでしょうか。
○岡崎政府参考人 今、ちょっと一般の方のを持っていなくてあれですが、身体障害者、知的障害者の十年あるいは九年三カ月というのはそれなりの期間ではないかというふうに思いますが、やはり精神障害者の場合、三年九カ月ということで、これは比較的低いのかなというふうに考えているところでございます。
○内山委員 高齢者の皆さんには、例えば高年齢雇用継続給付金という制度がありますけれども、障害者雇用継続給付金という新しい制度をつくったらいかがか、創設したらどうだろうかという思いがあるんですけれども、どうでしょうか。
○岡崎政府参考人 高齢者の場合には、御指摘のような高年齢者雇用継続給付金制度がございますが、障害者の場合には、少しシステムは違いますけれども、納付金、調整金という制度は、ちょっと別の形ではありますが、経済的調整はしているのではないか。要するに、基準となる人数より不足した場合には一月当たり五万円徴収し、それからそれを超えている場合には一月当たり二万七千円をお支払いする。
 ですから、給料とはちょっと違いますけれども、企業の負担という意味では、そこで一定の対応はしている。そういう中で、企業の方で障害者の方の賃金等を含めて配慮していただきたい、こういうふうに考えているということでございます。
○内山委員 この納付金と調整金というのは、これは事業所に対してですけれども、この継続給付金というのは本人なんですよ。障害者本人に対して給与の補助をすべきだ、そういうふうにお話をしているんですけれども、それはいかがでしょうか。
○岡崎政府参考人 障害者の方につきましても、企業の賃金という意味では、その働き方に応じて、企業と障害者の方々の中での賃金ということで対応していくべきものかなというふうに思います。あとは、全体としての所得保障という、年金制度等を含めた中で物事を考えていくべきものではないかというふうに考えております。
○内山委員 セクションが違うかもしれませんけれども、障害者雇用継続給付金という制度の創設をぜひ御検討いただければなと。どうでしょうか、大臣。
○舛添国務大臣 今のお話をお伺いして、一、二、ポイントがあると思うのは、一つは、本人に給付をしますね。しかし、それは例えば、仮にですけれども、十万給料をもらっている、例えば五万の給付がある。本当は十五万払わないといけないところを、五万、例えば政府が援助すると、企業の負担が結果的に五万減ることになれば、事実上、企業を援助したことにならないかというのが問題です。
 そのときに、私は、やはり企業の社会的責任というのがあるんだろうと思います。ですから、こういうノーマライゼーションの目的を達するために、例えば一・八という数字を達成するために努力をする。それで、納付金制度というのは、ある意味でペナルティーみたいなものなんですけれども、それは自助、共助、公助の共助の側面で、できないならお金を払って、そのお金を使ってさらによそのところで促進しますよということなので、企業の社会的責任という観点が軽視されるといけないかなというのがあるので、そういう問題点も考えながら、一つの御提案として検討させていただきたいと思います。
○内山委員 今大臣がおっしゃりました高年齢雇用継続給付金は、まさしく逆選択で使われているというふうに思います。本来二十万給与を払うという方が定年退職後、高年齢雇用継続給付金が例えば三万円来るから、ではその分を割り引いて、一番高いところで払おうと。実質、企業負担を軽減するんですけれども、安く払うから雇用が継続する、そういう形になるんです。
 ですから、障害者の雇用に関しても、間接的な給与補助というような形、賃金補助というような形になるかもしれませんけれども、雇用を継続する政策の一つとしてやはり考えるべきだろうと思います。
 続きまして、特例子会社のメリットということでちょっとお尋ねをしたいと思うんです。
 親会社と異なる労働条件の設定や弾力的な雇用管理が可能であるとしておりますが、障害者に対して、賃金が逆に不当に低く抑えられたり、不利な労働条件や雇用管理が行われるのではないかと心配をするんですけれども、特例子会社の実態についてどのように把握をされていますでしょうか。
○岡崎政府参考人 特例子会社制度につきましては、制度の条文の中でも、その子会社がその雇用する身体障害者、知的障害者である労働者の雇用管理を適正に行うに足る能力を有するものであるというのを一つの条件にしているわけでありまして、こういった法律の条文を踏まえながら、私どもとしては、特例子会社には、むしろ障害者に対して、より適切な雇用の場を提供し、適切な雇用管理をするものとしてやっていただきたいと思いますし、そういう視点に立った指導を今後とも続けていきたい、こういうふうに考えております。
○内山委員 その特例子会社がそういう隠れみのにならないためにも、ぜひしっかりと指導、調査を今後とも続けていただきたいと思います。
 それでは、先ほど郡委員からも出ておりましたけれども、特定求職者雇用開発助成金の関係でお尋ねしたいと思うんです。
 この手続は非常にややこしいんですね。事業所も精通していませんと、いっぱい書類を書かなきゃならない。大体、社会保険労務士が顧問をしていますと、社会保険労務士が作成をするんですが、事業所を管轄するハローワークに出さなきゃならないんですよ。ですから、広範囲で顧問をしていますと、例えば極端な話ですけれども、大阪の事業所を東京の社労士が顧問をしていますと、大阪の事業所を管轄するハローワークに書類を持っていかなければいけない。今どき書類を持っていかなければいけないという仕組みになっていまして、郵送で処理ができないものだろうかと随分声が来るんですけれども、いかがでしょうか。郵送で処理を行えるようにしていただけないかという要望でありますけれども。
    〔後藤(茂)委員長代理退席、委員長着席〕
○岡崎政府参考人 特定求職者雇用開発助成金等助成制度につきまして、やはり、不適正な支給でありますとか不正受給の問題が時々指摘されるという状況の中で、どういう申請手続にしたらいいかという観点ももう一方では考えなければいけないと思っています。
 そういう中で、現在は、特定求職者雇用開発助成金も、一回目の申請から二回目、三回目とありますが、二回目、三回目等については郵送を含めて対応するというようなことも考えているわけでございますが、適切な申請かどうか、そこを確認するということとの兼ね合いの中でやはり考えていかなければいけないのではないかというふうに考えてございます。
○内山委員 では、今後検討するということでよろしいんでしょうか。もう一度答弁をいただきたいと思います。
○岡崎政府参考人 その両方の兼ね合いの中で検討させていただきたいというふうに考えております。
○内山委員 法定雇用率未達成事業所より徴収する納付金の年間総額と、雇用率達成事業所に支払われる調整金及び報奨金の年間総額、さらに、納付金と調整金の収支についてお尋ねをしたいと思います。
○岡崎政府参考人 決算の出ています平成十八年度で申し上げますと、納付金の徴収額が二百十二億でございます。支出額につきましては、調整金として支出したものが四十九億五千万、それから報奨金として支給したものが四十六億三千万、それから助成金として支給したものが七十四億二千万でございます。
 収支でございますが、平成十八年度につきましては、その他の啓発経費、助成費等もかかっておりますので、最終的には十三億八千万のマイナス、赤字でございます。
○内山委員 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。