第171回国会 衆議院 厚生労働委員会   2009年3月13日

○田村委員長 次に、内山晃君。
○内山委員 民主党の内山晃でございます。
 雇用保険法の一部を改正する法律案につきまして、質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。逐条解説的に質問をさせていただきたいと思います。
 雇用保険法改正案の第一条、第三項の「特定理由離職者とは、離職した者のうち、第二十三条第二項各号のいずれかに該当する者以外の者であつて、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかつた場合に限る。)その他のやむを得ない理由により離職したものとして厚生労働省令で定める者をいう。」
 長たらしく条文を読みましたけれども、特定理由離職者の定義というのがよくわからない。わかりやすく御説明をいただけないかと思います。よろしくお願いいたします。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 特定理由離職者の定義でございますけれども、今回の改正案におきましては、倒産、解雇等以外のやむを得ない理由により離職したものとして厚生労働省で定める者を特定理由離職者といたしまして、今回は、被保険者期間が六カ月以上で受給資格を得られるようにすることとしております。
 具体的には、期間の定めのある労働契約を締結していた労働者であって、更新を希望したにもかかわらず契約更新がなされなかった離職者、そのほか、配偶者の転勤等の正当な理由があって自己の都合により離職した者を定めることを想定しているものでございます。
 これは、本人が更新を希望した場合の雇いどめ、それと、正当理由のある自己都合離職者につきましては、離職理由から考えて循環離職者となる可能性は少なく、受給資格要件としまして十二月を求める必要性に乏しいものであるため、当該理由による離職者につきまして、六カ月でも受給資格を得られるように特定理由離職者という区分を創設するものでございます。
○内山委員 労働契約の更新が明示されないで、更新を希望したにもかかわらず当該更新について合意が成立するに至らなかったとは、具体的にどのようなケースを指しますか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 更新が明示されない場合でございますけれども、これは、事業主と労働者の間におきまして、労働契約を更新することについて共通認識が形成されていない状態でございまして、例えば、雇い入れ通知書等におきまして、条件つきでの更新明示の場合でございますとか、更新する場合がある旨だけ明示されている場合、こういうことがこれに該当することになるわけでございます。
 それからまた、労働者が契約更新を希望したにもかかわらず更新されないこととなった者としましては、労働者から契約更新を希望する旨の申し出があったが、事業主が契約を更新しなかったために離職した者を想定しているものでございます。
○内山委員 特定理由離職者の受給資格要件を被保険者期間が十二カ月以上から六カ月以上に緩和したらどのような効果が発生するのか、お尋ねをします。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げたとおりの理由でございまして、六カ月でも受給資格要件を得られるように特定理由離職者という区分を創設したわけでございますが、これによりまして、雇用失業情勢が厳しい中で、雇いどめという形で離職を余儀なくされる労働者に対しまして必要な支援を行うことができるようになりまして、再就職につなげていけるものと考えているものでございます。
○内山委員 特定理由離職者に正当な理由がある自己都合離職者を含むこととなった理由は何でしょうか。ちょっと間に合いませんで、通告をしておりませんけれども、わかる範囲でお答えいただけますか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 正当な理由がある自己都合を加えた理由でございますけれども、これも更新が明示されないで、労働者が契約更新を希望したにもかかわらず更新されないこととなった者と同様に、こういう形のものにつきましては、十二月ではなく六月という受給資格要件によって必要な支援を行う必要がある、そういう方としまして、自己都合の正当理由のある者につきましても特定理由離職者としたものでございます。
○内山委員 受給者が雇用契約の更新を希望したかどうか、どのように国は確認をするんでしょうか、お尋ねをします。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 特定理由離職者の確認でございますけれども、これにつきましては、労働契約の更新の明示があったか否か、あるいは、更新を希望したにもかかわらず契約が更新されなかった事実があったか否か、こういうことを確認する必要がございます。これにつきましては、事業主の方に離職証明書にこれらの事項の有無を記入していただきまして、ハローワークに提出していただくことによりまして確認することを考えているところでございます。
 ただ、これらの事項につきまして、労使双方の主張に食い違いが見られる場合には、ハローワークにおきまして離職者本人から改めて事実確認を行うことによりまして、実態に即して判断をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○内山委員 これは、厚生労働委員会、平成十九年のときに、雇用保険法の改正で受給資格を六カ月から十二カ月というふうに変更をした経緯を私は今でもよく覚えておりまして、前回、自己都合離職者について受給資格要件を被保険者期間十二カ月以上と設定したことはやはり間違っていると私は思っていまして、今回の特定理由離職者の受給資格要件を被保険者期間六カ月で得られるように改正するならば、十九年のときに戻って、自己都合離職者も受給資格要件を六カ月に再度見直すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 前回の国会の御議論でございますけれども、正当理由のある自己都合離職者につきましては、平成十九年改正によりまして、特定受給資格者以外につきましては受給資格要件が十二月必要になったことに伴いまして、十二カ月未満で離職する場合につきまして、受給資格が得られなくなるという大きな不利益が生ずることとなったわけでございまして、御指摘ございましたように、国会での御議論を踏まえまして、暫定的に特定受給資格者として扱いまして、六月以上十二月未満で受給資格を得られることとしたものでございます。
 しかしながら、今回の改正におきましては、六カ月で受給資格が得られるという特定理由離職者の枠組みを設けまして、正当理由のある自己都合離職者につきましてもこの枠組みの中で整理をすることとしたところでございます。
 さらに、これまで特定受給資格者として扱われておりました被保険者期間六月以上十二月未満の正当理由のある自己都合離職者につきましては、雇用失業情勢が厳しい中で、激変緩和の観点から、暫定的に三年間、特定受給資格者としまして給付につきましては手厚い扱いを行うということでございます。
○内山委員 今の答弁、もう一度確認しますけれども、自己都合で離職した人の受給資格は何カ月ですか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 今申し上げましたのは正当理由のある自己都合離職者でございますけれども、自己都合全般につきまして十二月未満にすることにつきましては、やはりこれは循環的な離職を招くということで、自己都合全体を六月以上にするということにつきましては、私どもとしては適当ではないと判断したところでございます。
○内山委員 正当な理由がある自己都合離職ではなく、やめなきゃならない形でやめさせられる、逆に言うと、中小零細企業なんか、助成金や何かをもらうときに、解雇や何かにしなくて、みずから自己都合でやめたという形をとらされるケースが多いんですよ。そういうケースの人たちが、ここで不利益が生じるわけですよ。
 だったら、十九年のときに十二カ月にするなんということをしなくて、今回いろいろとこうやって直すんだったら、循環的離職云々って、十九年のときもさんざんやりましたよ。雇用保険法の三十三条の給付制限があるじゃないですか。そこをもっとよく運用して、六カ月に直すべきだと私は思います。こういう離職者がいっぱい出てくるときにおいて、そもそも六カ月から十二カ月に不利益に変更したこと自体が私は間違っていると思うんです。大臣、いかがですか。
○舛添国務大臣 これは、十九年の改正のときに、今さんざん議論がありましたように、どういう理由で解雇になるのか、ないし離職するのかということで、前提としてハローワークにおいてきちんと、書類がどうなっていようと、事業主と労働者両方に聞いて、本当は解雇なのに自己都合と書かれるというようなことはきちんと是正をする、そういうことを担保した上でこれをやるということなので、一つの論理ではあろうというふうに思っております。
○内山委員 ここだけやっていますと終わりませんので次に行きますけれども、特定理由離職者を特定受給資格者とみなして所定給付日数を支給する対象期間を平成二十一年四月一日から平成二十四年三月三十一日までの三年間の暫定措置とした理由は何ですか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 三年間の暫定措置とした理由でございますけれども、暫定的に特定受給資格者としまして手厚い給付をするわけでありますけれども、現下の厳しい雇用失業情勢にかんがみ、この状況が三年は続くのではないかということを判断した上で、三年間という暫定措置にしたわけでございます。
○内山委員 お尋ねしますけれども、この厳しい状況は三年で終わるんでしょうか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 三年間という暫定措置でございますけれども、やはり、経済情勢、雇用情勢、大変厳しいわけでありますので、この三年の中で回復を図る努力をするという中で、三年という暫定の期間を定めたわけでございます。
○内山委員 一省庁の御努力だけでは、麻生総理も全治三年と言っているから、その三年を持ってきたんでしょうかね。やはり、先ほども菊田議員が言っていましたけれども、総理大臣としての見通しの甘さというのを私は非常に強く危惧しますね。
 これで三年が経過したとき、その段階でさらに厳しい状況だったら、再度延長はするんですか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 三年という暫定措置でございますので、その時点での雇用失業情勢等あるいは再就職の状況全体を勘案しまして御議論いただいた上で、その時点で判断をするということになると思います。
○内山委員 延長もあり得る、こういうことだと思います。
 次に、給付日数の延長に関する暫定についてお尋ねをしたいと思います。
 受給資格に係る離職の日において、四十五歳未満で、雇用機会が不足をしていると認められる地域に居住している者に対し、一定の基準で公共職業安定所が就職が困難と認める場合は、所定給付日数を超えて基本手当を支給することができる、こうありますけれども、当該年齢を四十五歳未満とした理由についてお尋ねをします。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 雇用保険の支給日数につきましては、年齢でございますとか、あるいは被保険者期間で異なっているところでございますけれども、特に四十五歳未満の方につきましては、日数が非常に短い、支給日数九十日の方が多いということでございまして、そういう方たちが特に雇いどめ等におきましてしわ寄せを受けているという状況もございますので、その九十日という短い支給期間ではなかなか再就職が困難であるということで、六十日間延長して、再就職の支援をしっかりとやっていきたいということでございます。
○内山委員 雇用機会が不足していると認める基準というのはどういう基準でしょうか。
○太田政府参考人 具体的には改正法が成立後に関係審議会において御議論いただきたいというふうに考えているところでございますけれども、例えば有効求人倍率でございますとか、あるいは有効求職者の数の問題、あるいは雇用保険の基本受給率、こういった要素がその地域の算定に当たっての基準になるのではないかというふうに考えているところでございます。
○内山委員 特定受給資格者以外の一般離職者に対して年齢が所定給付日数に考慮をされていない、そういう区分になっていると思いますけれども、それはなぜでしょうか。これも通告ができませんでしたが。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 今回、給付延長について要件といたしましたのは、年齢要件、四十五歳未満、あるいは地域要件でございますけれども、一般的には一律に延長給付が必要であるというふうに判断しておりませんけれども、個別個別の事情によりまして受給資格者を個別に判断いたしまして、公共職業安定所長が給付日数を延長すると認めた者という基準もございますので、一般的には一律には延長いたしませんけれども、個別具体的な判断の中で延長ができるような制度も設けたところでございます。
○内山委員 公共職業安定所長は、当該受給資格者の知識、技能、職業経験その他を勘案して再就職のための支援を計画的に行う必要があるとは、どのような基準で判断をするんでしょうか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 具体的な基準につきましては、これも改正法成立後に関係審議会において御議論いただいた上で決定することとしておりますが、現在考えておりますことは、例えば、安定した職業についた経験が少なくて、離職または転職を繰り返していることでございますとか、あるいは、労働市場等の状況から見て、職種転換が必要であって職業につくことに時間を要すると認められるような場合、あるいは今御指摘のありましたような、知識、技能、経験等にかんがみ就職することが困難と認められることというようなことを考えておりまして、再就職がなかなか困難な方につきまして、個別具体的に判断して給付日数を延長して、再就職支援を図っていきたいという趣旨でございます。
○内山委員 これは、それぞれの全国の職業安定所長が判断をするんだろうと思います。一つの統一した基準というものがないと、地域によって格差がばらばらになってしまいますけれども、その基準というのがあるんでしょうか。それとも、安定所長の裁量に任されているんでしょうか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 雇用保険制度の運用につきましては、やはり全国統一的な運用が必要でございますので、基本的には、運用の基準を定めて実施してまいりたいと思っております。
 今お話のございましたような給付日数の延長、個別具体的な判断につきましても、先ほど申し上げたような基準を改正法成立後に関係審議会で御議論いただきまして、基準を決めた上で省令改正等も行いまして、統一的な基準で運用を行ってまいりたいと考えているところでございます。
○内山委員 今回、改正案にある所定給付日数を超えて基本手当を支給する日数を延長すると、平成十二年に一たん廃止されました個別延長給付のようにならないだろうかと心配をしています。一時的な支給日数の延長効果が失業者の生活安定にどれだけ寄与するのか、非常に疑問を感じておりまして、再就職にどれだけ効果が出ると皆さんは予想されていますでしょうか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の改正案におきましては、今御議論ございましたように、年齢、地域等を踏まえて、特に倒産、解雇や雇いどめによって離職をし、重点的に再就職の支援が必要な方に対しまして、個別に給付日数を六十日分延長することとしているところでございます。
 一方で、先ほど御指摘のございました過去の個別延長給付につきましては、これは石炭鉱業等の事業規模縮小によって離職を余儀なくされました特定不況業種離職者等につきまして延長したものでございますけれども、平成十三年三月に廃止されたものでございます。
 過去の個別延長給付は、限られた離職者を対象としていたものでございますけれども、今回の個別延長給付におきましては、雇いどめや倒産、解雇等による離職者でありまして、先ほど来御指摘のございます、四十五歳未満の者あるいは雇用機会が不足していると認められる地域に居住する者等のうち再就職が困難と認められるものについて、その対象としているところでございます。
 一般的に、雇用保険の給付が切れた後二カ月ぐらいで半数ぐらいの方が再就職しておりますので、私どもとしましては、やはり六十日分ぐらいの延長をすることによって再就職支援が強化できるのではないかと判断しているところでございまして、一定の効果も見込めると考えているところでございます。
○内山委員 数値で、どのくらい救済されるとか効果があるとかというのは、おはかりになっていないのでしょうか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 具体的な数値で何%救済されるということでは試算はしておりませんけれども、先ほど申し上げたとおり、一般的に雇用保険の受給が終わった後に二月以内で再就職される方が半数ぐらいおられるという観点から、六十日分ぐらいの延長が必要ではないか。特に、先ほど来、四十五歳未満の若い方は九十日しか支給期間がございませんので、なかなか九十日では再就職ができない方もおりますので、六十日間延長することによって、かなりの効果が期待できるのではないかという判断の上で、六十日分の延長をお願いしているところでございます。
○内山委員 特定受給資格者だけが今回延長の対象となりまして、一般離職者は対象としていない。その点はなぜでしょうか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 今回、給付の延長の対象としている者は、いわゆる特定受給資格者と、先ほど御議論ございました特定理由離職者でございます。
 一般の方につきましては給付日数を延長していないところでございますけれども、一般の方は、やはり基本的には自己都合によって離職された方でございますので、自己都合で離職された方と、倒産、解雇等によって離職された方とでは、やはり再就職の事情が違う、あるいは予見可能性も違うということで、特定受給資格者等につきまして給付日数の延長を図ったところでございます。
○内山委員 そんなにやはり自己都合でやめると不利益になるのかなと。先ほどからも言っていますけれども、やめたくなくてもやめざるを得ないというケースがあって、ここはやはり一般の方も、こういう厳しい状況であれば、自己都合でやめたとしても延長給付や何かの対象として考えてもいいんじゃないですか。厳しい状況ですよ、今。
 そこはどう思いますか。もう一回、ちょっと考え方、少し直した方がいいんじゃないかなと思うんですけれども。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 自己都合であるかどうかの判断につきましては、これは離職証明書の事業主の判断だけではなく、離職者本人からもしっかりと事実確認を行った上で、実態に即して判断をしっかりと行ってまいりたいと考えているところでございます。
○内山委員 次に、雇用保険料を引き下げる理由について大臣にお尋ねしたいと思うんです。
 ことし一月の完全失業率は四・一〇%、有効求人倍率は〇・六七倍と、十四カ月連続して一を割り込んでいます。失業等給付関係収支状況は、一九九九年度の支出額約二兆七千八百億円に対して、二〇〇七年度の支出は約一兆四千九百億円で、不況と好況では二倍の差が生じています。
 今、これから大変な状況を迎えようとしているわけですね、経済的にも。そんな中において、二〇〇九年度限りといえども、安易に保険料を引き下げている状況ではないと思うんですけれども。
 さらに、厚生労働大臣は、衆議院の予算委員会におきまして、保険料を下げればそれだけ手取りがふえて景気回復に資する、そう答弁されているようでありますけれども、どうやって景気回復に資するのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
○舛添国務大臣 雇用をしっかり守っていくという要請があるとともに、新しい雇用を創出することが必要であります。
 そのためには、一定の経済成長をやっていかないといけません。日本国のGDPが五百兆円です。そのうち個人消費が約六割の三百兆円を占めます。ですから、企業の設備投資その他の経済活動はあるにしろ、最終的には、この六割を占める個人消費を伸ばすということから見れば、定額給付金などの制度というのが、この個人消費の刺激策としてある。
 そういう意味では、公租公課、租税それから保険料について、これを減額するということは可処分所得がふえますから、それが消費に回れば、そこから景気の刺激を行い、それが新たな雇用を生む。こういうことの一つの要請に対して、〇・四%の引き下げ、しかし一年限りであると。
 ただ、委員がおっしゃったような非常に厳しい雇用状況であるわけですから、そこは勘案した上で、しかし、過去の例を使って推定すれば、今のところはまだ潤沢にプールしているお金があるということで、雇用の創出、そして雇用を守る、この二つの要請をミックスした形の答えとして、政府の中でいろいろ議論をし、こういう形での決定となったわけであります。
○内山委員 雇用の創出とおっしゃられても、保険料率を千分の四引き下げて、月収三十六万円で計算すると、一カ月七百円程度、年に直せば一万円足らず、これで本当に効果があるんだろうか、こう思うわけでありまして、こういう引き下げることをするのであれば、より給付を手厚くした方がいいんじゃないですか。ここで一たん下げたら、次、一〇年度、上げられますか。ここは厳しいと思いますよ。どうですか、大臣。
○舛添国務大臣 雇用保険料を下げるということは、雇用保険を払っている人全体に均てんをいたします。給付の増大ということは、給付を受けている方々だけになりますから、その点が一つあると思います。
 委員がおっしゃるように、一たん下げたものを上げるというのは極めて難しいと思いますが、そういうことの議論も、こういう問題点もありますということも、すべて政府の中で議論のときには、私は今のような点はきちんと申し上げ、最終的には麻生総理を初め、さまざまな閣僚がさまざまな見解を持っている中で、麻生内閣としての一つの政策のパッケージとして、こう決めるということでありました。
○内山委員 私でしたら、雇用保険なんかは下げずに社会保険を下げる、そう提案したいですね。健康保険や厚生年金、けたが違いますよ。こういうことを下げてくれれば、事業者だって相当助かりますよ。それに、被保険者、従業員だって減税効果がありますよ。さらには、消費税を下げる。対策はいっぱいあるはずだと思いますけれども、なぜこんな一番金額の低いところを下げて、下げましたとPRする意味がないような気がします。我々が政権をとったら本当に社会保険を下げたいな、そんなふうに思いますね。
 それでは次に、育児休業給付の改正について質問をしたいと思います。
 育児休業者職場復帰給付金を廃止して、育児休業給付を統合し、これを育児休業給付金とするとあります。育児休業給付金を休業期間中に今度は全額を支給するということにしましたけれども、その理由は一体なんですか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 育児休業給付は、労働者が育児休業を取得しやすくし、失業を予防するとともに、雇用の継続を援助、促進することによりまして雇用の安定を図るものでございます。
 最近、育児休業取得率は上昇しているものの、出産を契機に育児休業を取得せずに退職する女性労働者はいまだに多いわけでございまして、雇用の継続の観点から、育児休業を取得しやすくすることが必要でございます。
 こういうことを踏まえて、できるだけ収入の不安がない形で育児休業を開始できるようにするためには、既に一定の収入がある職場復帰後に給付を支給するよりも、全額を収入のない育児休業中に支給する方が効率的であると考えられることから、今回、給付を統合いたしまして、育児休業期間中に支給することができるようにしたわけでございます。
○内山委員 それでは、お尋ねしますけれども、職場復帰率というのはどのくらいでしょうか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十八年度の数字がございますが、職場復帰率が八三・四%でございます。
○内山委員 休業後、職場に復帰しなかったら、もう全額払っちゃっているわけですから、育児休業給付金の一部を本人に返還させたりすることになるんでしょうか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 基本的には、育児休業期間中の収入を保障して不安のないようにするという形でございますので、仮に職場復帰がない場合、割合としてはかなり少ないとは思いますけれども、そういう方に対しまして返還を求めることは考えておらないところでございます。
○内山委員 先ほど、十八年度の数字で復帰率は八三・四%、だから一〇〇%じゃないわけですから、こういう人たち、五〇%として給付金をいただいてしまって、うまく考えればもらい得ということになってしまう人も出てくるんじゃなかろうかと危惧はしますけれども、大丈夫ですか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げたとおり、大半の受給者が職場復帰しているという状況、また、仮に復帰しなかった場合もやむを得ない理由によるものが多いと思われることを踏まえれば、必ずしも、給付が統合されて休業期間中に給付するからといって、給付を受けてすぐに離職する者が増加するとは考えていないところでございまして、むしろ、給付をすることによって収入を安定させて、育児休業中の生活保障をする方が適当であるというふうに考えたところでございます。
○内山委員 では、しっかりとその辺は推移を見守っていきたい、こう思います。
 育児休業給付の額について、「当分の間、」こうありますけれども、なぜ当分の間なのか、お答えをいただけませんでしょうか。そして、五〇%というのはいつまで続くのか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 当分の間という形での暫定措置にしていることにつきましては、審議会の議論の中で、雇用保険の中で育児休業給付についてやるのが適当であるのかどうかというような議論、さまざまな議論がございまして、恒久的な制度にするよりも、暫定的な措置として当分の間にするのが適当であるというふうな議論になったところでございます。
 当分の間につきましては、一定の期間ということについては定めておりませんので、さまざまな状況を勘案しながら判断をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○内山委員 そうすると、これはすぐやめるということもあるんですか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 この育児休業給付につきましての五〇%というのは、やはり生活保障の観点から大変重要なものであると考えておりますので、当分の間ということでございますので、少なくともすぐやめるというようなことは考えておらないところでございます。
○内山委員 安心しました。やはり審議会でもあったようでありますけれども、雇用保険の枠でこういったことをやっていていいのか。やはり抜本的に少子化対策として国がしかるべき力を入れてやるべきだな、こう私も強く思います。
 続きまして、再就職手当金を計算する日額はなぜ基本手当日額を用いないのかということについてお尋ねをしたいと思うんです。
 六十歳以上六十四歳未満の者は四千七百三十八円、それ以外の者は五千八百七十五円の単価で再就職手当金を計算しています。上限を設けて、それ以上の金額はカットされています。賃金日額から基本手当日額を計算する際においても上限をカットされているわけで、さらに再就職手当を支給する単価の上限をカットする、その理由は一体何ですか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねの再就職手当金を計算する際の日額の上限でございますけれども、平成十五年の法改正において設定されたものでございます。
 再就職手当につきましては、これは、失業中に一時的な生活保障をするものではないということで、あくまでも早期再就職のインセンティブを図るための奨励金としての性質を持った手当であることから、再就職へのインセンティブとしての効果を維持しつつも、過度に有利な給付とならないように上限を設けているところでございます。失業中の一時的な生活保障ではないという観点から上限を設けたということでございます。
○内山委員 これの根拠は何ですか。どの法律でそういう形になっているんですか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 雇用保険法の五十六条の二、「就業促進手当」で定められているものでございます。
○内山委員 社会保険適用事業所と雇用保険適用事業所数の乖離、数字を確認したいんですけれども。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 社会保険適用事業所数が、平成十九年度末現在で百七十一万五千五百九十所でございます。一方、雇用保険適用事業所数が、これも平成十九年度末現在で二百二万四千七百二十二所でございます。
○内山委員 何で社会保険と雇用保険の適用事業所の乖離を聞いたかといいますと、今、公共職業安定所に求人の申し込みをするときに、社会保険の加入がないと、一時的な扱いで後は受け付けできない、こういう状況を聞いています。完全失業率が四・一〇、有効求人倍率が〇・六七、こういう時代において、安定所が、社会保険に加入していないと求人票の受け付けがうまくいっていない、ここを何とか緩和して、一時的にでも社会保険の加入がなくても受けるべきだと思うんですけれども、そこはいかがですか。
○太田政府参考人 お答え申し上げます。
 職業安定法の第五条の五のただし書きで、その申し込みの内容が法令に違反するときには、その申し込みを受理しないことができるというふうになっているところでございます。したがいまして、法令上、社会保険の加入義務があるにもかかわらず、社会保険の加入意思がないことが明確な事業主の求人申し込みにつきましては、今の規定に基づきまして、その事業主の求人申し込みを受理しないという取り扱いを行っているところでございます。
 しかしながら、ハローワークにおいて、厚生年金などの社会保険に未加入の事業所から求人申し込みがあった場合、社会保険事務所に相談するように指導いたしまして、社会保険の加入を真摯に検討している場合には、受理しているところでございます。
○内山委員 大臣に最後にちょっと今の件でお尋ねしたいんですけれども、御意見でも結構ですけれども、社会保険に加入していないと実際には法令違反で、安定所で求人票を受け付けない、しかし、一回は受け付けるけれども更新はしない、そういう扱いをぜひ少し今とめてもらえませんか。有効求人倍率が〇・六七なんという数字なんですから。求人を出したくたって使えないという事業所があるわけですよ。何とか、今、内部でできることですから、やっていただきたいんですけれども。
○田村委員長 舛添厚生労働大臣、簡便にお願いいたします。
○舛添国務大臣 ただ、社会保険というのはきちんと全事業所が入ってもらわないといけないので、入らないことのインセンティブになってもまただめだと思いますので、そのことをしっかり原則にしながら、委員の御意見も念頭に置いて、何かできることがあるかどうか検討させていただきます。
○内山委員 ありがとうございました。終わります。