第171回国会 衆議院 厚生労働委員会   2009年4月1日

○西川(京)委員長代理 次に、内山晃君。
○内山委員 民主党の内山晃でございます。
 レセプトオンライン請求義務化について少し掘り下げて質問させていただきたいと思っております。
 二〇一一年四月からはほとんどの医療機関にレセプトオンライン請求が義務化されます。この件について全国保険医団体連合会がアンケート調査をいたしました。その結果について、全国の医科一万一千六十九件、歯科三千十件、合計一万四千七十九件の医療機関からの回答では、オンライン請求に対応できるか否かについて、対応できない、わからないという回答が過半数を占めた。対応できるという回答は、医科四六・二%、歯科三三・一%にとどまりました。さらに、レセプトのオンライン請求が義務化されれば、医科千三百三十六件、一二・二%、歯科二百十二件、七・二%が開業医をやめると回答し、地域医療に重大な影響を及ぼすことが予想できるとしています。
 医療機関の負担について、現在手書きでレセプトの請求をしている医療機関は、レセコン、レセプトコンピューターの導入で百万から三百万の費用がかかる、大変な負担になるわけでありますけれども、またオンライン化の費用や従業員の教育にも費用がかかり、大変な課題となるという声がたくさん出ております。
 そこで、医療機関の過大な経費負担を国はどのように考えているか、答弁を求めたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
 レセプトオンライン請求についてでございますけれども、これにつきましては、本来御自身でオンライン請求をしていただくのが筋でございますけれども、それが手間の面あるいは費用の面で賄われないという場合につきましては、代行請求という道も開いているわけでございます。
 したがって、御自身で請求する場合の費用負担、それから代行請求を利用する場合の費用負担、二つあるわけでありますけれども、それぞれにつきましてどういった負担軽減策を講ずるべきか現在検討しているところでございます。
○内山委員 コンピューターができないドクターが千葉県内では百二十八名いらっしゃるという情報があります。医師不足が叫ばれている、社会的に大きな問題となっている中で、こういったベテランの医師の引退に拍車がかかるだろう、こう言われておりますけれども、大臣、こういったことをどのようにお考えになりますか。
○舛添国務大臣 日本各地に私が行くときに、三師会、つまり医師会、歯科医師会、薬剤師会の皆さんとよく懇談する機会を持ちますけれども、今一番多いのはこの問題で、もうとにかく、千葉だけじゃなくて、これじゃもう廃業するぞという方がたくさんおられます。
 一つは、若いお医者さんはいいけれども、お年を召された方はなかなかコンピューターは苦手だ、だからそんな急がないで、例えば、もう十年もすればお年を召されてお医者さんを引退されるわけですから、もっとゆっくりできないか、こういうような陳情を各地で受けていますので、状況は非常によく理解をしております。
 だから、地域の医療を崩壊させない形で、それまで代行請求とかいろいろなお手伝いをし、また軽減措置も考えていきたいというふうに思っております。
○内山委員 医療機関に対して、レセコンの導入と同時にオンライン化のための光ファイバーを引きなさい、こういうことも言われているようであります。しかも、光ファイバーも、安くて、今使っているものではなくて、特定の会社のものを引くようにと指導されているということを聞きましたけれども、これはどのような経緯からそのようなことになったんでしょうか。お尋ねをしたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
 レセプトのオンライン請求を導入いたしましたのは平成十八年四月でございましたけれども、その当時は、医療関係団体からセキュリティー確保への強い懸念が示されたことなどから、回線を閉鎖的なネットワーク、ISDN回線あるいはIP―VPN回線に限定していたということがございました。このために、回線を供給できる業者が限られていたわけでございます。
 しかしながら、医療情報システムの安全管理に関する検討が進められる中で、閉鎖的なネットワークのほか、暗号化した通信経路を確保したインターネット回線を用いる方式についても安全性が確認されたところでございます。これはより安価だということもございます。
 このため、現在では、御指摘のような特定の業者に限定されているというようなものではございません。
○内山委員 今の説明はわかりましたけれども、それでは、オンライン回線までなぜ医療機関に引かせる負担を求めるのか、その根拠をお尋ねしたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
 レセプトの原則オンライン化につきましては、一方で高齢化等によりまして医療費が増大しているという背景がございます。その中で、医療機関のみならず保険者や審査支払い機関におきましても医療保険事務の効率化を図るということは必要なことだと思っておりますし、また、このオンライン化によりまして医療サービスの質の向上に寄与するということもあろうかと思っております。
 この質の向上という点について申し上げますと、従来、限られた範囲で行っていたレセプトの分析調査、これは年一回、六月のレセプトにつきまして、どんな診療報酬上の項目が使われたかというのをサンプル調査をしているわけでありますけれども、それが迅速に全数で把握されることになりまして、診療報酬改定に係る正確な政策論議が可能になる、こういったこともございます。
 正確なエビデンスに基づく議論あるいは政策を通じて、医療サービスの質の向上に資するものと考えておりまして、こうした目的を達成するためにこのオンライン請求を進めているわけでございます。
○内山委員 今の御説明では、医療機関にオンライン回線まで費用を持たせるという理由にはならないと思うんです。それはあくまでもデータを収集する方の論理じゃないですか。
 もう一度答弁を求めます。
○水田政府参考人 オンライン請求につきましては、先ほど御指摘のFDでありますとかその他の電子媒体で行う請求に比べまして、次のようなメリットがございます。
 一つには、形式的なエラーが事前にチェックできますので、同月中にエラー修正の上、再請求が可能となり、支払いの早期化につながること。二つ目は、診療翌月の五日から十日の十七時以降あるいは休日も受け付けが可能になるほか、エラー修正後の再請求が十二日まで可能となるなど、受け付け時間が拡充されるということがございます。それから、電子媒体の搬送の手間や、紛失等の事故を回避できますし、審査支払い機関側でも受け付けや電子媒体内の情報を機械に読み込ませる作業が不要になるなど、医療機関や審査支払い機関の事務の効率化が図られるということがございます。さらに、社会保障カード、この導入を検討しているわけでございますけれども、これで、オンラインでの医療保険資格確認、あるいはレセプト等への自動転記が可能になるということでございます。医療費の過誤調整事務が軽減されるなど、事務コストが軽減できるということでございますので、オンライン請求には固有のメリットがあると思っておりまして、こういったオンライン請求への移行を進めているところでございます。
 なお、引き続きFDあるいはMOといった電子媒体による請求をしたいという方につきましては、事務代行者を介してのオンライン請求、代行請求の一つの形態であります代行送信を利用して請求することも認めているところでございます。
○内山委員 情報漏えいの危険についてお尋ねをしたいと思います。
 診療報酬明細書には、患者の氏名、性別、生年月日のほか、医療機関で診断された病名、受けた診療内容等の診療情報が記載されております。オンライン請求の場合、診療報酬に関するデータは医療機関から審査支払い機関に送られ、審査の後、保険者にデータ送信される流れですけれども、この過程で診療情報が漏えいする危険はないんでしょうか。答弁を求めます。
○水田政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおり、レセプトのオンライン請求におきましては、患者の氏名でありますとか傷病名等、慎重な取り扱いを要する個人情報を伝送することになるわけでございます。
 このために、レセプト上の個人情報を適切に保護することを目的といたしまして、国として、オンライン請求におけるセキュリティーの基本的な考え方を示したガイドラインを策定しております。さらに、このガイドラインに即した安全対策の規程を、医療機関、薬局、審査支払い機関、保険者それぞれが作成するように求めているところでございます。
 また、請求に当たって用いるネットワーク回線につきましても、先ほど申し上げました閉鎖網か、暗号化した通信経路を確保した上でのインターネット回線に限定しまして、第三者からの不正アクセス等を排除しているところでございます。
○内山委員 いろいろ防止策をやっているというところでありますけれども、住基ネットでもインターネット上への流出など情報漏えいの事件が現に発生をしておりまして、もしデータの送信過程で情報漏えいが発生した場合に、責任は一体だれがとるのかということをお尋ねしたいと思うんですが。
○水田政府参考人 それは、まず、その情報漏えいというのは一体どこで起こったのかというところで決せられるべきものだと思っております。ただ、先ほど言いましたような回線について、専用回線あるいは暗号化された回線を使っておりますし、それから、審査支払い機関におきましては二重のファイアウオールを設置するということもしておりますので、まず考えられないなと思っておりますし、現在、既に三万カ所、三万件の医療機関、薬局からオンライン請求をいただいておりますけれども、今のところ順調にいってございます。
○内山委員 順調というお話でありましたけれども、去年、二〇〇八年の五月に大規模なシステム障害が現に発生をしているじゃないですか。このシステム障害は、八時間、ネットワーク接続が不可能になっておりまして、大体二日ぐらいトラブルが起きていたと。こういうやはりシステムの脆弱性というのが現にあろうかと思うんです。
 情報漏えいの対策は本当に万全ですか。もう一度お尋ねをしたいと思います。
○水田政府参考人 その点に関しましては、私ども、医療・福祉情報に関する専門家から成りますコンソーシアムの技術的サポートをいただいておりまして、そこでさまざまな検証をいただきながら、万全の対策を進めているところでございます。
○内山委員 例えば、レセプトのオンライン請求をしてほしくないという患者さんがいた場合に、医療機関はどのように診療報酬を請求することになりますかということをお尋ねしたいんです。
○水田政府参考人 その点に関しましては、これはまさに請求省令で医療機関と審査支払い機関、保険者の関係を律するものでございますので、患者の意思そのものはその中には反映されないことになろうかと思います。
○内山委員 国民は、自分の受けた医療に係る情報がオンラインにて伝達されるようなことは知らされていないわけでありまして、また合意を得ていないわけであります。このような内容は国会の審議を経て決定されるべきじゃないんだろうか、非常に重要な変更であろうと私は考えています。
 みずからの傷病等の情報が漏れやすいオンラインに置かれることを受忍せよと強要することにならないか、患者の憲法上の権利を侵害することにならないだろうかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○舛添国務大臣 そこまで言えるかどうかということでありますので、基本的には、二重のファイアウオールを設けるなどしてセキュリティーをきちっと確保する。その上で、全体の医療の効率化、それから例えば、匿名化しますけれども、このシステムによって、経年的に、ある患者がどういう形で病状が悪化していったか、そのためにどういう手当てをやればいいか、そういう全体を見たときに、セキュリティーが簡単に破られるのなら別ですけれども、そうじゃなければ、全体として、本人そして社会全体にとっても公共の福祉を上げることになる、そういう判断であるから、憲法上の背反はないというように思っております。
○内山委員 レセプトのオンライン請求義務化は、患者の視点に立った、安全、安心で質の高い医療が受けられる体制の構築というところにあろうかと思うんですが、例えばデータ漏えいとか、オンライン請求の多大な費用とか、いろいろな問題を生じさせてまでレセプトのオンライン請求を義務化させる必要はないんじゃないかな、オンライン請求と手書きによる請求を併存させれば足りるんじゃないかな、こう思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○舛添国務大臣 ただ、これはさまざまな観点から、先ほど肝炎の話がありましたけれども、韓国の場合はこういう問題が起こらなかったのはなぜかというのは、ソーシャル・セキュリティー・ナンバーがあることにもよりけりなんですけれども、やはり、きちっとこういうカルテの電子化、オンライン化を進めることによって、正確に、個人まで特定できなくても、ある病院でフィブリノゲンという投薬があったよというのは比較的早くわかるというようなメリットもありますし、それから、何といっても、今月の請求分、一億何ぼというレセプトが来るわけですけれども、それを一気に処理できる、それはコストも下がる。そういうこと全体を考えたときに、やはり医療の効率化もやらないといけない。
 私も随分、二千二百億円の削減に反対をしてやったときに、政府の部内で、しかしながら厚生労働省はまだ効率化の努力が足りないじゃないかと。その最大のシンボリックな問題がこの問題であって、先般、当時の大臣をやっていた大田弘子さんが、ある新聞に、またぞろ抵抗派がこの義務化に反対する、ひどいじゃないかという原稿を書いておられましたけれども、それに全部賛成しないにしろ、そういう意見が片一方でございます。
 したがって、我々は効率化もちゃんとやります、しかし国民の生命を守りますということの政治的な意味でも、政治的な意味でやっているわけではありませんが、今のような意見に対するきちんとした反応としても、これは、すぐ地域医療を崩壊させちゃいけません、その配慮をしながらやはり前に進めていくべき課題じゃないだろうかと私は考えております。
    〔西川(京)委員長代理退席、委員長着席〕
○内山委員 先ほど政府参考人の方から事務代行者という話が出ましたけれども、この事務代行者について、どのようなものか詳しくお尋ねをしたいと思います。
○水田政府参考人 事務代行者といたしましては、日本医師会、歯科医師会、それから薬剤師会という関係団体を想定しているわけでございます。ただ、その場合、現実の事務処理につきましては第三者にも委託できるという体制で、現在、具体的なシステムのあり方について相談、協議を重ねているところでございます。
○内山委員 このレセプトオンライン請求義務化は、二〇〇六年の四月の厚生労働省令百十一号で導入され、義務化をされたと思います。その第一条でレセプトのオンライン請求義務化を定めて、第四条で療養の給付の請求の代行という規定が設けられました。「医師、歯科医師又は薬剤師を主たる構成員とする団体で、医療保険の運営及び審査支払機関の業務運営に密接な関連を有し、かつ、十分な社会的信用を有するもの」がレセプトオンライン請求事務を代行するものとして定義をしていると思いますが、事務代行者について、省令百十一号の第四条以外に制度の内容を定める規定が全く何もありません。政令第四条の事務代行者はだれが認定をするんでしょうか、お尋ねをします。
○水田政府参考人 具体的な認定ということに関しましては、先ほど御紹介がありました請求省令第四条に関する団体はどこかということは、解釈上、先ほど答弁申し上げましたように、具体的には三師会、このように私どもは解釈しているということでございます。
○内山委員 それでは、今おっしゃった三師会を想定しているということですけれども、これらの団体を事務代行者と認定する権限はだれが持つんですか。
○水田政府参考人 特に法律上認定という行為はございませんけれども、事実上そういった取り決めがなされれば、それを私どもとして認めるということになります。事実上の行為としてそういった契約があれば、支払基金なり国保連がそこと契約を結ぶことを我々として認めるという手順になろうかと思います。
○内山委員 我々とはだれですか。
○水田政府参考人 所管の組織たる厚生労働省保険局でございます。
○内山委員 保険局のサイドで権限を持って認めるということなんですか、大臣ではないんですか。
○水田政府参考人 先ほど申しましたように、特に法律上認定という行為があるわけではございません。まさに省令で書いてある状態と支払基金なり国保連がなした契約が合致するかどうか、事務的に私ども保険局として判断するということでございます。
○内山委員 この事務代行者のところをきちっと明確に浮き彫りにしておかないと後で大変な問題になるんじゃないかなと思って心配をして、今くどく質問をしているわけでありますけれども、三師会は社会的な信用を十分有すると。これだけでは、認定の基準としてやはり非常に具体性を欠いているんじゃないのかな。さらに、第三者に委託もできるなんという話ですと、そこからの守秘義務とかこういったものが一体どうなるんだろうかと、さらに危惧をするんですけれども、いかがでしょうか。
○水田政府参考人 その点につきましては、まさに医療機関、薬局の便宜ということも考えて、三師会みずからがやる方法、さらに、実務そのものは委託する方法もあろうかと思っております。
 具体的に、守秘義務あるいは情報の取り扱いにつきましては、それは契約上明文化されますし、さっき言いましたガイドラインに基づくセキュリティーポリシーを遵守していただくということは、これは当然の前提でございます。
○内山委員 さらに、くどいようですけれども、もう何点かお尋ねをします。
 事務代行者の権限とか所掌事務とか、こういったものはどうなりますか。
○水田政府参考人 所掌事務とか権限と申しますか、医療機関、薬局が行うべきオンライン請求を当人にかわって行うわけでございますので、まさに、当人にかわって行うというのがやるべき事柄でありますし所掌事務でありますし、権限は、本人に成りかわって行うわけでありますし、そこと依頼主との関係というのは契約で律せられるべきものと考えております。
○内山委員 同じように、事務代行者に対する認定権者の監督権、こういうものはどうなりますか。
○水田政府参考人 それにつきましては、先ほど言いましたガイドラインを、そもそもこういった医療に関する個人情報、レセプトオンライン請求に関するガイドラインをつくることにしておりますので、その遵守状況につきましては、やはり私ども保険局として監督することになろうかと思います。
○内山委員 もう一点、事務代行者に不祥事が発生した場合、認定の取り消し事由等はどうなりますでしょうか。
○水田政府参考人 特に不祥事が起こるということを前提に考えていないわけでありますけれども、まさにそれは不祥事の態様によって責任の所在が決まるものと思っております。
○内山委員 今、ガイドラインをおつくりになるということですけれども、そのガイドラインというのはどの程度できているんですか。タイムスケジュールをちょっと公開していただけませんか。
○水田政府参考人 レセプトのオンライン請求に関するガイドラインについてという通知を、平成十八年四月十日に、私ども保険局総務課長通知で関係機関に周知をしておりまして、現在は、これに基づきまして、代行請求を行うべき方につきまして、それぞれの規程をつくっていただきたい、代行請求を行う場合にはそういったセキュリティーポリシーをつくっていただきたい、こういうお願いをしているところでございます。
○内山委員 ガイドラインはもうできているんですか。(水田政府参考人「四月十日」と呼ぶ)四月十日にできているんですか。(水田政府参考人「十八年の」と呼ぶ)
○田村委員長 勝手にやりとりはやめてください。
○内山委員 失礼しました、委員長。
 事務代行者は、膨大な数の患者の医療情報を大量に扱う、先ほども申し上げたところでありまして、国民のプライバシー、個人情報の最たるデータを扱うことでありまして、こういうことを実は国会で審議していないんですよね。こういうのを政省令で定めていくというのは国会軽視じゃないかと考えているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○舛添国務大臣 釈迦に説法ですけれども、法律の委任を受けた省令ですから、それは憲法上もやれることにはなっております。
○内山委員 国権の最高機関である国会が制定する法律に基づいてすべての行政活動が行われなければならないんじゃないんですか。レセプトのオンライン請求義務化について、省令の改正というもので、行政内部の手続だけで行われるんじゃないですか。これは憲法四十一条違反ではないのか。オンライン請求は、国会を唯一の立法機関と定めた憲法四十一条に違反する違法な制度じゃないかというふうに言っているんですけれども、大臣、どうでしょうか。
○舛添国務大臣 先ほども申し上げましたように、この件については、健康保険法上、手続などの診療報酬の請求に関する細目が厚生省令に委任をされている。したがって、法律学的に言うと、省令で規定することについての法令上の問題はない、先ほどのをもっと具体的に言えば、そういうふうに思っております。
○内山委員 他の制度との比較で、個人情報保護法というものがあります。個人情報保護の推進のため、認定個人情報保護団体という制度が導入されています。当該団体の認定権者は主務大臣でありまして、団体の業務、欠格事項、認定の基準、報告徴収権、業務改善命令、認定の取り消しなどが国会の定める法律によって定められています。しかし、オンライン請求についての事務代行について、法律によるべき部分、国民の代表である国会で決定されたことがありません。ここが大きく違うところだ、こう指摘をしているわけであります。
 オンライン請求義務化の根拠となった厚生労働省令百十一号は、診療報酬請求の方式を、旧省令一条の紙媒体等による請求方式から、新省令一条でオンライン請求義務化に変更する方式をとったが、事務代行者は、旧省令にこのような制度が存在しないために、新省令四条でいきなり新設されたということですね。国民の医療情報という重大な情報を取り扱う機関の新設について、個人情報保護法の場合と同様に、法律によってその制度の基本事項を定め、その上、法律の委任に基づいた省令により具体化するのが当然ではないでしょうか、こう言っているわけです。
 しかし、オンライン請求義務化を国会で議論せずに政省令改正で強行した結果、事務代行者についてもいろいろと矛盾が出ているわけでありまして、制度の議論を国会でさらに練る必要があるんじゃないか、こう思うんですけれども、大臣、どうですか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
 まず、代行請求機関でございますけれども、これは通常、個人情報保護法におきます個人情報取扱事業者に当たると考えられますので、個人データの漏えいや減失を防ぐための安全管理措置、あるいは従業者、委託先の監督など、法令上の義務を負うことになるわけでございます。
 先ほども申し上げましたガイドラインあるいは個人情報保護法令を踏まえまして、代行請求機関を含めた関係機関における個人情報の保護につきましては、国としても適切に指導していきたい、このように考えております。
○内山委員 少し飛ばして質問をしたいと思います。
 請求システム開発、電算システム開発を行っていると思いますけれども、その請け負った会社と費用について答弁を求めたいと思います。
○水田政府参考人 レセプトオンライン化のための補助金の執行についてのお尋ねでございます。
 これは、審査支払い機関におけるシステム開発に要する経費につきまして、国民健康保険中央会及び社会保険診療報酬支払基金に対しまして、平成十八年度に約三十億円、平成二十年度に約十六億円を助成したところでございます。なお、平成十九年度については助成は行っておりません。
○内山委員 これはどういう費用に使われたのか具体的に聞きたいんですけれども、審査支払い機関の何にこのお金を充てているんですか。
○水田政府参考人 これは基本的には、先ほど申しました国民健康保険中央会及び支払基金、この審査支払い機関で共通して開発しなければならないソフト等でございまして、十八年度におきましては、医療機関等を識別するための認証局の設置に関するもの、それからネットワークの構築、三点目がレセプトデータを送受信するためのウエブサーバー等のハードウエア、それから関係するソフトウエアの開発でございます。
 それから、平成二十年度の調達についてでございますが、これは、歯科レセプトをオンラインで受け付け可能とするソフトウエア開発でございます。と申しますのは、医科と調剤につきましては既にオンラインで受け付け可能になっておりますけれども、歯科につきまして、二十年度にこういったソフトウエアの開発に関する調達を行ったということでございます。
○内山委員 さきに厚生労働省が開発した電算ソフト、レセスタとの関係はどういう関係になるんですか。
○水田政府参考人 ただいま申しましたように、補助金助成で行ったものは、審査支払い機関がオンライン請求を受け付けるためのシステムの開発をしたものでございます。
 それに対しまして、平成十七年度にレセプト文字変換ソフト、通称レセスタと言っておりますけれども、これは、医療機関なり薬局サイドにおきましてレセプトの文字データを電子請求できる形に変換するソフトでございまして、医療機関サイドのシステム開発でございます。
○内山委員 このレセスタの普及状況はどうですか。
○水田政府参考人 レセスタの利用状況でございますけれども、平成二十一年二月現在、申し込みをした医療機関数は二百五医療機関でございます。これにつきましては、冒頭御指摘ございましたけれども、レセプトコンピューターに既にこういったデータが盛り込まれるということが最近、通常になっておりまして、レセスタそのものの利用はこの二百五医療機関となってございます。
○内山委員 幾らかけたか後で聞きますけれども、二百五というのは余り普及していないんじゃないかなと思うんですけれども、費用対効果で何かもったいないんじゃないですか。
○水田政府参考人 この文字変換ソフトにつきましては、もともと各ベンダーがそれぞれ開発していたものにつきまして、それを共通の変換、どのタイプでありましても変換できるようにする、こういうソフトなわけでございますけれども、これを私どもが無償で提供したということをきっかけといたしまして、レセコンメーカーにおきまして電子レセプトを作成可能とするレセコンの開発や販売が進んだということになったものと考えてございます。その結果として医療機関への導入が図られまして、その結果、レセスタへの利用が少なくなったものと考えております。
○内山委員 費用は幾ら開発にかかりましたか。
○水田政府参考人 契約金額は十三億一千二百五十万円でございます。
○内山委員 これまで、審査支払い機関とかレセスタの開発とか、いろいろお金をかけておるわけですけれども、当の医療機関には、レセコンを入れたりオンライン化するための経費の補助は全くないわけであります。初診料にIT加算というのが三点ほどつくだけで、経費負担をもう少し、こういうところをかけるんであれば、医療機関そのものに初期投資に当たる部分の設備費用を賄うような補助をするべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○水田政府参考人 お答えいたします。
 基本的には、私どもの考え方といたしましては、レセプトの本質は請求書の明細でございますので、その作成にかかる費用はこれまでも医療機関において御負担をいただいてきたところでございます。また、医療機関におきましてもさまざま、レセプトの印刷、編綴、あるいは請求事務時間のコスト、こういったものが削減できるとか、形式的なミスが減るとか、そういったメリットがございます。
 そういったことで基本的には医療機関の御負担でお願いをしておりますが、やはりこの普及促進という観点から、オンライン請求をみずから行うことが困難な方々を念頭に置きまして、その負担軽減、あるいはその代行業者の利用の負担の軽減、こういうことについて、冒頭申し上げましたように、今後検討したいと考えております。
○内山委員 時間がなくなりましたのでちょっと飛ばして聞きますけれども、オンライン請求によるレセプトデータは、医療機関から医療費の請求に使うことしか患者の了承をとっていないわけでありますけれども、医療費の請求、支払い以外に使うという目的があるようですけれども、目的外使用にならないんでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
○水田政府参考人 お答えいたします。
 電子化されたレセプト情報につきましては、今後、国において全国規模のデータベースの構築を進めることとしてございます。
 その根拠は、高齢者医療確保法第十六条がございまして、その規定に基づきまして、国が、医療費適正化計画の作成、実施及び評価に資するために、医療費等について調査及び分析を行い、その結果を公表すること、そのために国が医療保険者等からレセプトデータの提供を受けることによるものでございます。
 さらに、このレセプトデータの一義的な利用目的は医療費適正化計画の作成等に資する調査分析でございますが、これ自体、公の情報でございますので、その活用のあり方につきまして、医療サービスの質の向上等のためのレセプト情報等の活用に関する検討会を設けまして、ここでその利用、活用について検討をお願いしたところでございます。
 ここでの結論といたしましては、学術研究の発展に資するような研究等、公益性が確保されるものであれば他の目的での利用も考えられるというふうにされているところでございます。
○内山委員 質問主意書等への答弁を見ますと、レセプトオンライン請求はすべての医療機関が対応できると答弁をされているわけでありますけれども、現時点でもその認識に変わりはないんでしょうか、お尋ねをします。
○水田政府参考人 これは、先ほど来申し上げておりますように、みずから請求する場合と、それから事務代行者を介したものがあります。
 したがいまして、パソコン操作ができないという方の場合は、理論的に整理をいたしますと、代行請求によって対応は可能なものであると考えております。
○内山委員 三月、先月に閣議決定されたのかどうか大臣にちょっと確認しますけれども、規制改革推進三カ年計画で、レセプトオンライン請求義務化に関して、地域医療の崩壊を招くことのないような配慮との文言が加えられたと思いますけれども、その具体的内容についてお尋ねをしたいと思います。
○舛添国務大臣 これは、昨日、三月三十一日に閣議決定されまして、この文言は、「レセプトオンライン請求化に関して、平成十八年の厚生労働省令について」「オンライン請求化の期限が努力目標ではなく義務であること。」「義務化において原則現行以上の例外規定を設けないこと。」「義務化の期限以降、オンライン以外の手法による請求に対して診療報酬が支払われないことを、医療機関・薬局に周知徹底する。」その後に、今おっしゃった、「その際、地域医療の崩壊を招くことのないよう、自らオンライン請求することが当面困難な医療機関等に対して配慮する。」この文言がつけ加えられました。
○内山委員 具体的なものは、まだこれからということでしょうかね。
○舛添国務大臣 これから、与党の皆さん方も含めて検討してまいりたいと思っております。
○内山委員 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。